架空

蒸気装甲戦闘工兵開発史(4):英領サツマ

前史 1854年。 クリミア戦争に於いてロシアと対峙している英国は、ロシア艦隊がナガサキに寄港し補給を受けていることを確認、日本幕府に対し対ロシアの局外中立と英国艦隊の寄港許可を求めた(日英和親条約)。これは外交権を持たない英国東インド・中国艦隊…

超音速・垂直離着陸戦闘機 F-104V/J

F-104Vは、実用戦闘機として初のマッハ2を達成した超音速戦闘機F-104を素体として開発された、超音速VTOL戦闘機である。当時は東西冷戦下であり、東側と国境を接する国々では常に臨戦状態の緊張が続いていたため、兵器の開発は青天井の予算を投じて非常に早…

大砲とスタンプ:共和国軍 主力戦車

前回の擲弾戦闘車 マズルカを仕上げたところで3月も残り数日。架空戦車コンペの締切は3月一杯だったので流石にもう時間がないのだが、公国と帝国を作ったならば共和国も作りたくなるというもの。 実は「大砲とスタンプ」は戦争の話ではあるが戦闘がメインで…

大砲とスタンプ:帝国軍 敵弾戦闘車「マズルカ」

架空戦車コンペ第4弾、前回の「肉挽き機」が良い感じに作れたので、今度も「大砲とスタンプ」5巻に登場する小型車両を作ってみる。 ドイツ軍っぽさのある帝国軍の軽装甲車「マズルカ」は20mm機関砲と擲弾砲を備えた3輪ハーフトラックである。史実的に言えば…

大砲とスタンプ:公国軍 近接支援車「肉挽き機」

架空戦車コンペ用に架空の戦闘車両を作るのが結構楽しかったので、次のネタを考える。 流石にヤンセン脚歩行戦車やターレー・テクニカルのようなネタ方向は限界があるので、もっと実在しそうな奴を作ってみよう。 今回はネタ本として「大砲とスタンプ」から…

「テクニカル」を作る

テクニカルというのは、「市販車の荷台に武装を搭載して戦闘車両に仕立てた」改造車のことだ。 元は内戦地域で活動する非政府組織が、護衛の入国を拒否されたため「技術支援助成金」の名目で民兵を雇ったことから転じて、民生車両を武装化したもの全般の呼び…

1/35 四式甲脚砲乙型「呑竜」

オランダで発明された連動式多脚歩行機構を取り入れた「楊ヤンセン式」駆動装置を採用した大型甲脚砲。 楊式は他の脚歩行メカニズムと異なり、歩行時の動揺が少ないため射撃プラットフォームに適しているが、その反面で機構上どうしても高さおよび幅が大きく…

電化以前の回転寿司

「電気がまだなかった頃は、回転寿司はどうやって回していたのか」という疑義が示されたので、近代以前の回転寿司についてまとめておこうと思う。「電気がまだなかった頃は、回転寿司はどうやって回してたの?」と真顔で聞いてくる高校生どう思います?ええ…

花井沢町公民館探訪(1):花井沢町はどこにあるのか

「花井沢町公民館便り」は、架空の小さな町に引き起こされた「生物だけを通さない」障壁の暴走事故と、その結果として外界と隔てられた閉鎖社会を描くSFである。花井沢町公民館便り(1) (アフタヌーンコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 講…

NERFでSci-Fiなライフルを作る

NERF HyperFire AssaultRifle mod.格好良いライフルの画像を見掛けた。 www.thefirearmblog.com どうやらAR-15をベースにしたカスタムモデルらしい。銃にはあまり詳しくないが、原型である「ゴルゴ13の銃」M16とはずいぶんイメージが違う。どうやらAR-15には…

オキナガ考

ゆうきまさみ著「白暮のクロニクル」は、オキナガと呼ばれる「不死の人」たちが存在する現代日本を描いたサスペンス調の漫画である。白暮のクロニクル(1) (ビッグコミックス)作者: ゆうきまさみ出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/04/25メディア: Kindl…

NERF:西部劇を目指して(リヴォルヴァー改造計画)

西部劇には馴染みがなかったのだが、マグニフィセント・セブンがなかなか面白かったので当時の銃をいろいろ見ていたら、コルトの1860年頃のモデルが流麗で美しく、ちょっと欲しくなった。 iura.militaryblog.jp けれど俄興味で手を出すには些か高価な代物で…

言語災禍と生府前史

英語圏を中心に世界中を災禍にひきずり込んだ「虐殺期間」。今ではそれがある種の言語汚染により引き起こされた脳の機能不全が原因であることが判明しているが、その嚆矢となった特殊部隊員の証言からわずか半年で、かつて世界一の大国であったアメリカは滅…

NERFに装飾を

何度でも書くけどNERFは塗装すると見違える。というわけでNERFリペイント・プロジェクト第三弾は8銃身ショットガン「ROUGHCUT」の銃身装飾。N-Strike Elite Rough Cut 2 x 4 Blaster エリートラフカット2×4ブラスター並行輸入品出版社/メーカー: Nerfメディ…

日出処の屍者

屍者労働社会に於ける目下の問題は、社会の高齢化である。 労働力として重宝されるのは若く壮健な肉体だが、自然死は当然ながら老齢のものが多く、それらは肉体機能が低下した状態で提供される。かといって、若い肉体であっても事故死では肉体の損壊著しくま…

彷徨える積層廃墟群、第N無人居住区

神保町駅すぐそばのギャラリーで開催されている、N区の展示を見てきた。blog.livedoor.jp もう10年以上、段ボールで街を作り続けている燈さんの個展。無人なのに居住区。増築を続ける廃墟。 縮尺はまちまち、展示の度に組み合わせ方も違うし分譲や新築もある…

横浜駅の無限工事に関する仮説

博士「横浜駅無限増殖仮説を知っているか」 助手「なんですそれ」 博士「100年以上も工事を続けて、未だ完成しない横浜駅はこのままどこまでも増築を続け、やがて全世界は横浜駅に飲まれてしまうだろうという説だ」 助手「でも戦前の横浜駅に対して現在の横…

憲法空条問題

日本国憲法は全11章103条から成るが、うち9条だけが欠番となっている。 ここには、本来ならば非戦条項があったと言われている。 憲法がどのような経緯で成立し、なぜ空条が存在するのか、その過程を追った。 日本国憲法の制定 1945年8月。 足掛け7年にも及ぶ…

シビュラシステム論集

正式導入から僅か30年あまりで、シビュラシステムは国民の生活に浸透した。行動の指針や将来の指標、服装アドヴァイスやリラックスするための環境整備など、今やシビュラの補佐なしでの暮らしなど考えられないまでに社会は変化している。 とりわけ犯罪係数計…

人は死んだら電柱になる

都市から電柱が消えつつある。 かつて通信及び送電インフラとして張り巡らされた電線は、都市景観と交通の邪魔となり風雪にも害される欠点から地下埋設への順次移行が進められ、電柱は再び唯の柱となり果てた。 それに伴い、電柱利用のために奨励されてきた…

ハイチ革命に於ける独自屍者技術の介在可能性について

1791年から1804年にかけて、フランス及びスペイン領であったイスパニョーラ島に於いて発生した、所謂ハイチ革命は、最終的には黒人奴隷による独立を以て終焉した。 総数こそ島民に分があったとはいえ、当時ヨーロッパ随一の精強を誇ったフランス軍が碌な武装…

蒸気装甲戦闘工兵開発史(3)

早くから、所謂「産業革命」が起こり機械化の進んだ英国では、1820年代には大型の蒸気自動車が発明され乗合自動車の運用が開始されたが、これは明確に既存の馬車産業と衝突するもので、また先行した鉄道事業にも影響を与えた。これら競合する事業者たちは早…

蒸気装甲戦闘工兵開発史(2)

最初に実戦投入されたグレイヴ、Mk.Iは非武装の純作業用だったが、現地では武装化の要求が高まっていた。自在に移動可能な鉄の塊は実際かなりの威圧感を持っており、心理的な効果だけでも充分な打撃が期待された。 当時はまだ機関砲もなければ車両に搭載可能…

蒸気装甲戦闘工兵開発史

グレイヴが初めて用いられたのは1854年である。当時、英国はクリミア半島にてロシア軍と激しく衝突、これは近代化された軍同士の初めての大規模戦闘となった。 近代戦に於ける大きな特徴は「すべての兵が銃を装備していること」である。白兵突撃を基本として…