大砲とスタンプ:共和国軍 主力戦車

前回の擲弾戦闘車 マズルカを仕上げたところで3月も残り数日。架空戦車コンペの締切は3月一杯だったので流石にもう時間がないのだが、公国と帝国を作ったならば共和国も作りたくなるというもの。
実は「大砲とスタンプ」は戦争の話ではあるが戦闘がメインではなく、様々な兵器が登場するものの主人公が後方任務を担当する兵站軍の将校であるため各兵器はチョイ役に過ぎない。むしろ敵軍である共和国の主力戦車こそが、いちばん多く登場する兵器であり、ほとんどイラスト1枚の他の兵器よりも格段に資料が豊富なのだ。
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右前部のスポンソンに大口径砲を、上部の全周砲塔に小口径の対戦車砲を備えた構成やコイルスプリング式の特徴的なサスペンションなどから見て、この戦車のデザインベースは米軍のM3中戦車で間違いない。
ならばシュルツェン付きの特徴的な砲塔を作るだけでおおよそ完成するのでは……それなら数日で完成させられるか?
ということで、1/35 M3グラントMk.1を購入。

とりあえず左前方を切り取ってプラ板とパテで埋めつつ前部装甲を垂直に仕立て直し、砲塔リングを切り出して中央にレイアウトしてみる。
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このあたりで気付いたのだが、どうやらM3中戦車だいぶ恰幅が良いな?
M2〜M4の各戦車のデザインは左右フェンダー部分にまで車体が張り出す構造になっているのだが、共和国の中戦車では左右フェンダーが車体より外に張り出している。
また左右装甲は若干の傾斜が付けられている一方、M3では斜めになった車体後部は水平になっている。
というわけで結局車体を切り刻んで、車幅を切り詰めつつ各所の角度を変更してゆく。車体左前部の角度はなかなかいい感じになった。
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砲塔は基部を円形に整えつつ5mm幅に切れ目を入れたプラ板を巻いて円筒を作り、パテで頂部を形成する。元イラストを見るとシュルツェンは放射状の板で接合されているような感じに見えるのだが……
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流石にそれは手抜きっぽさがあるので、Iビームで支持材を作り直す。まあ雑なことにあまり変わりはないような気もするが。
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車体バランスはこんな感じ。元イラストでは戦闘室がもっと前後に短かく、また砲塔は戦闘室の幅ギリギリのサイズであるように見えるのだが、絵ごとにサイズは曖昧なので「シュルツェンを合わせると車幅よりも大きい」ぐらいであればまあ良いかということにしておく。
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車体幅を詰めるために切り落とした後部上面装甲を2つに切って、中央部の幅に合わせて切れ目を入れて車体尾部を作ったところ、残った半分がちょうど車体前部装甲にぴったり嵌まった。下面にプラ板を貼り軸受け部を作る。
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車体後部の超壕用尾橇をプラ材で作る。第一次大戦の戦訓から初期戦車に見られた構造だが、実際にはあまり役立たず主に荷物置き場になっていたとか。
接合部の糊代は余計で不恰好なのだけど、接着力の方を重んじた。
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切り落とした部分などにリベットを植えつつサフを吹く。表面は整え切れず粗さが目立つが、綺麗に均そうと思うとリベットを削り落として全部植え直す覚悟が必要なので、流石に手間がかかりすぎる。粗さはウェザリングで誤魔化そう。
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砂漠迷彩を意識して、M3の塗装パターンを見本にレッドブラウンをカモグリーンに置き換えてざっと塗り分ける。
全体をミディアムグレーでウォッシングしてコントラストを落とし、錆色をドライブラシして全体を荒らす。
ソビエト歩兵突撃セットを乗せてタンクデサントを演出。今回は乗せてみただけだが、そのうちちゃんと情景にしたい。
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今回はキット入手から塗装までわずか3日という突貫作業で、流石に色々と粗はあるのだが、仕上がってみればなかなか雰囲気は出せたのではなかろうか。