大砲とスタンプ:公国軍 近接支援車「肉挽き機」

架空戦車コンペ用に架空の戦闘車両を作るのが結構楽しかったので、次のネタを考える。
流石にヤンセン脚歩行戦車ターレー・テクニカルのようなネタ方向は限界があるので、もっと実在しそうな奴を作ってみよう。
今回はネタ本として「大砲とスタンプ」から架空車両を引用することにした。

公国軍 近接支援車「肉挽き機」は、6巻に登場する。型遅れとなった戦車の車体を流用し、オープントップの砲塔に大口径の榴散砲を搭載した、対歩兵・軽車両用の近接戦闘用車両で、治安戦を得意とする部隊が運用している。
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コミカルな見た目に反して精神的にキツい場面に登場する、業の深い車両である。

一見して解る通り、デザインのベースとなっているのはフランスのソミュアS35だ。というわけで今回の素体には、評判の良いタミヤのキットを用いる。

まずは車体をざっくり組んでゆく。
足回りは4輪を一対としてリーフスプリングで支えたサスペンション構造が再現されている……のだが、それを完全にカバーで覆ってしまうため折角の凝った構造は完成すると見えないという……
車体上部はS35と少し形状が異なる。車体全部のボンネット状構造はなく平面的な台形構造であるため、まずはプラ板とパテでここを作り替えてゆく。斜めに切れ込んだ左前部は一度切断して直線的に接着し直して、ボルト接合部を生かす。
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元イラストからははっきり判らないものの、車体後部は一段高くなっているようだ。砲塔に全周能力がないというのも、ターレットリングより高くなった後部に邪魔されるためだろう。
というわけで 後半を切断し、上面を切り取って間をプラ板とパテで繋ぐ。
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駆動部側面の装甲にブチ穴などの装飾を追加する。
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アクセサリはターレー・テクニカルのフィギュア用に買ったSASジープから流用したのだが、古いキットのためディティールが甘く、側面はのっぺりして布のように見えないので半田ゴテでなぞって彫りを深くする。
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後部にもアクセサリを取り付けてゆく。車体上面中央にあったマフラーは右背面下方から上に向かうように変更。
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ターレー・テクニカルの時と同様に、3mmプラパイプを接着してゆく。ただし今回は120度で切り開いたパイプを周辺にも接着、間をプラ板とパテで埋めて、リヴォルヴァーの回転弾倉めいた構造を作ってゆく。これが榴散砲の砲身になる。
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さて、榴散砲の機関部をどうするかが問題である。内部の見えない砲塔ならば砲身さえあれば良いのだが、オープントップゆえにそれっぽい構造が必要になる。しかし回転砲身の榴散砲など史実兵器に存在していないので、それっぽい形を作るにも参考資料がない。
ひとまず口径の近い榴弾砲が使えないかと考えてみた。できればあまり高くないもので。
色々探したところ、1/72 60cm自走臼砲カールの中古キットを見付けた。スケールが半分程度なので1/35に合わせれば30cmぐらい、榴散砲の砲身は3mmパイプだから35倍すると105mmぐらい。それが束ねられて3倍の太さになるので丁度30cmぐらいで合うはずだ……と買ってみたものの、砲塔部分に乗せてみたらどう見てもオーバースケール。乗せて乗らないことはないとはいえ、これでは人の乗る場所がない。
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なお、パテで埋めて磨いてしまった装甲表面の鋳造表現は溶きパテで作り直している。


仕方がないので手持ちの部品や使えなかったカールのパーツなどを組み合わせて、なんとなく砲の機関部っぽく見えなくもない何かをでっち上げる。
ついでにプラ板で砲塔を作り始める。車体サイズと合わせてバランスを取りつつ回転角を調整し、なんとか左右60度ぐらいの回転が可能なように。側面装甲は曲げがキツくてプラセメントではすぐに剥がれてしまうので瞬着で固める。
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形が出来上がったところで塗装。カラーリングは1巻表紙の塗装パターンを参考に、ベージュ+パステルブルーの2色迷彩とした。マーキングはプラ板で作った原型を元にマステをカットしてステンシル塗装で白→オレンジを重ね塗りし、極細油性マジックでストライプを手書き。車体左前面の黒死病連隊マーキングも手書きである。
車体は全体にダークコッパーのドライブラシで錆を付け、歴戦の車両らしさを演出。布パーツはブラウンに塗った後、白をドライブラシで縦横に重ねることで布っぽさを出してみた。
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