三角コーナーのカビに抗う

キッチンシンクの片隅に置かれる三角コーナーは、生ゴミを流し込んで水を切るためのものである。
必然、そこには多量に水分を含んだ有機物が付着し、カビの温床となる。
これをどうにかしたい。

※おことわり:この記事では「どうやってカビを洗い落とすか」の話ではなく「どうやってカビ洗浄の必要を回避するか」の話をしています。


もっとも一般的な三角コーナーは「下半分が目の細かい金網になっているステンレス製」と思われる。我家でもこのタイプを使用してきた。

これは考え得る限り最悪で、金網の目が水切り袋の網から漏れた細かい生ゴミの欠片を絡め取り、そこを起点にカビが増殖して金網をびっしりと覆い尽くす。また金網とステンレス板の継ぎ目部分に段差があり、ここにも生ゴミが溜まりやすい。そのくせ洗おうとすると頑固にこびり付き、ブラシで格闘する羽目になる。
すべり止めのためゴム足になっているのも困ったところで、ここもカビにやられてヌルつく。

あるいはスリットの入った樹脂製三角コーナーを使っているご家庭もあるかしれない。

私は使ったことがないので想像するに留まるが、風呂の椅子などを考えるとこれもカビに悩まされることには違いなさそうだ。


いちおう製品の名誉のために言っておくならば、これは半分以上ユーザの運用が悪い。
そもそも三角コーナーがなぜカビるかと言えば、水気のある生ゴミを入れたまま放置するからだ。なぜ放置するかといえば、コーナーが一杯になる/ゴミ捨ての日になるまで捨てようとしないからだ。
恐らく、三角コーナーに溜め込むのをやめ、ゴミを入れて水を切ったら都度ゴミ袋に移し、三角コーナーを水洗いした後に伏せて水を切っておけば、これらの三角コーナーであってもカビの発生はだいぶ抑えられるだろうと思われる。

が、「ユーザーが小まめにメンテナンスする」ことを前提とするのはフール・プルーフが足りない、という言い方もできる。家事労働などというものは可能な限り労力最小化されるべきであって、三角コーナーについてもメンテナンスフリーを目指すべきであろう。

よって、まずはこれを捨てるところから始めるわけだが、代替案としては以下のような方向性が考えられる。

バスケット

金属メッシュでは細かい網目に残飯のかけらが詰まることでカビの温床になるわけで、目が荒いバスケットならば詰まりようがないのでさっと洗い流せるはずだ。
ただ、金属棒の接点部分など多少の付着は避けられないかもしれない。それでも全面メッシュに比べ挟まる場所自体が少なく、また周囲とは離れていることでたとえカビが発生しても範囲は限局されると期待され、洗いやすさも格段に高まるだろう。

我が家ではこのタイプを導入した。今のところ水切りメッシュの利用では従来製品とほぼ遜色なく(形状が異なるため容積が若干狭くはなった)、カビが覆う気配はない。滑り止めゴムもないのでそこがカビの拠点になる気遣いもなく、たいへん良好である。

銅パンチング

銅イオンはカビの発生を抑える効果があるため、ステンレスではなく銅に変えるだけでも恐らくカビの問題は抑制できる。その代わり錆びるが。
また下メッシュ型よりも段差がなく洗いやすい全面パンチホールタイプにすることで、掃除もいくぶん楽になることが期待される。
とはいえ、これもまた有機物の付着と無縁になるわけではなく、カビ抑制効果もどこまで有効かはわからない。結局、小まめに洗うべきだという点ではそう変わるまい。
できればステンレス三角コーナーとの比較検証がしたいところだが、あまりそういう情報がない。

ひとまず個人の動画で、三角コーナーではなく排水溝の方だが銅に変えて4ヶ月後の事例があるので紹介しておく。
www.youtube.com
変色はするがヌメリはかなり抑えられるとのことで、これはこれで有効かもしれない。

三角コーナーいらず

三角コーナー自体をなくす方向。
もちろん生ゴミの水切りが不要になるわけではないので、水切りネットをかける枠のみを用意し、有機物と接触してカビやすい網上構造部分をなくす思想である。
そもそも洗うべき対象自体がなくなるので洗浄の手間としては最も楽だろうが、その反面ゴミの重量をネットのみで支えるため、ちょっと入れすぎると破れる、枠を支える吸盤が外れるなどのトラブルが予想される。
下面で水切り袋の重量を支える三角コーナーとは異なり、調理/後片付けで生じたゴミを入れたら即捨てるような小まめな運用を前提とした商品と思われ、それが苦にならないようならステンレスのコーナーでも運用できるのでは⋯⋯ という疑念もある。

自立型水切り袋

三角コーナー自体をなくす方向その2。水切りゴミ袋自体に硬さを与え自立できる構造とすることで、洗うべき三角コーナーそのものを除去しつつその役割を代替する。
過去いくつか使用してみたが、設計としては「防水加工された紙袋の底面および側面下方に水抜きの穴がいくつか空いている」または「やや厚手で硬さのあるビニール袋の底面および側面下方に小さな穴がいくつも空いている」というもので、たしかにそれなりに自立はしてそれなりに水は切れるのだが、通常の三角コーナーで使用するようなメッシュの水切り袋に比してだいぶ水捌けが悪く、生ゴミが穴を塞いでしまい内部にいつまでも水分が残りがちであった。
液体成分の少ない生ゴミに限定すればそこそこ使えるだろうが、それだと水切り袋としての意義は薄くなる。率直に述べて、中途半端な商品と言わざるを得ない。
側面の硬さをそのままに、底面を水切りネットと同様のメッシュにするような設計はできないものだろうか。