防災備品を揃える

これまでの人生で、災害によって避難を強いられたことは(水害などでの予備的なものも含め)一度もなかったが、いつ来るとも知れぬのが災害というものではある。
以前から備えが必要という認識はあり、保存食などを試したこともあったが、一揃い整えるとなると結構な出費となるし、またアウトドア系の用品などに詳しくないため「どのようなものを買っておくべきか」がよくわからないということもあって放置気味であった。
しかし、先日の地震もあって改めて防災用具をという意識になったところで、勢いを付けて買ってしまうことにした。

まずは、買い揃えるべきものをざっくりリストアップしてみる。
これには首相官邸の防災情報や、東京都の防災冊子などを参考にしている。

備蓄

主に自宅内で、ライフライン復旧まで待機する前提でのストック。持ち出しは(安全に回収可能でない限り)想定しない。
ストックは多いに越したことはないが、あまり買い込むと置き場にも困るし、ローリングストック(古いものから順次消費しつつ新しいものを買い足す)にしても消費し切れないので、とりあえず3日程度を目安にすれば良いかと思う。それ以上はまあ、政府/自治体がなんとかしてくれるはずだ。

飲料水

1人1日3リットルが目安だそうなので、×人数分×3日分。

食品

カップ麺やレトルト食品など日持ちの良い日常食などを、最低3食×3日×人数分。これは日常の買い置きも兼ね、随時消費しつつ入れ替えてゆくのが望ましい。

生活消耗品

トイレットペーパー、ティッシュペーパー、カセットコンロ用ガスなど。もっとも、これは常時2週間分程度がストックされているのではないかと思われる。
唯一ストック分量がわからないのがカセットガスだが、岩谷の防災情報に拠れば(気温次第だが)だいたい2人分あたり、1日に1本程度の消費と考えれば良さそうだ。

持ち出し用品

避難時の持ち出し品は、家族で1セットあれば良いものと個々に1セットづつ持つべきものに区分できる。

各自1つ用意するもの

靴底のしっかりした、足に合うもの。普段から履き慣らしたものが望ましいが、非常用として別途用意するとなるとどうしても新品かそれに近くなってしまう。「寝る時はいつも枕元に普段履きの靴を置く」習慣を作るか、非常用の靴を別に慣らしておくか。
瓦礫を歩くことも想定すると鉄板入りの「安全靴」もしくは「踏み抜き防止」インソールがあると安心感が高まる。

寝袋

避難所で布団が得られるとは限らないので、最低限の寝具として寝袋を用意しておきたい。
寝袋にはすっぽり全身を包み顔だけ出す「マミー」タイプと長方形の袋状になっている「エンベローブ」タイプがあるが、長期使用を想定すると拘束性の弱いエンベローブの方が寝やすいのではと考える。
保温性の高いものほど厚みがあるため嵩張り、また重くなる。屋外ではなく避難所内で使用するため、防寒性よりは持ち運びの負担軽減を重視したい。長期使用による汚れを鑑みると洗濯可能なものが望ましい。

比較的薄いものを買ったつもりではあったが、φ25xL45cm、重量1.9kgと決してコンパクトとは言えない。

防災用途に特化した寝袋を見付けた。「普段はクッションに」「枕、アイマスクも装備」「貴重品ポケット内蔵」など使い勝手は良さそう。

マット

床上に直で寝袋を敷くと背中が硬く、また底冷えするため断熱とクッションを兼ねたマットは必須。
マットにはいくつか種類があり、それぞれに特徴がある。

  • 銀マット
    • 発泡性のクッション材にアルミシートを貼り付けたもの。コンパクトで断熱性を有するがクッション性は弱い。
  • エアーマット
    • 空気を入れて膨らませるマット。空気を抜けばコンパクトになり、クッション性は高いが断熱性はやや弱い。息で膨らませるのは大変なので足踏みポンプ内蔵が良さそう。
  • インフレータブルマット
    • 内部に発泡ウレタンスポンジが仕込まれており、栓を空けると自動的に空気を吸い込んで膨張する、エアーマットの一種。スポンジなしのエアーマットに比べ重量と圧縮率は低くなる代わりに、膨らませるのが楽で、クッション性・断熱性は高め。

特徴を鑑みてインフレータブルマットを選択した。面積が大きいほど寝やすいと思われるが重く嵩張ることにもなる。厚さは3cmでは不足、5cmあれば足りるというが商品の一覧に5cm程度のものが見当たらず、ひとまず8cmを試したが、思ったよりも嵩張り重い。収納状態でφ20xL65cm、重量2.4kg。エアータイプも視野に入れるべきか。

ヘルメット

落下物から頭部を守るために。家から被って出るのでコンパクトである必要はないものの、畳めるタイプの方が室内配備でも邪魔になりにくいとは思う。

避難用バッグ

手を空けておけるよう、背負い式のものを。
これには以下のような装備一揃いを入れておく(寝袋やマットなどは嵩張るため、これとは別に持つことになる。可能であればリュックの上か下に括り付けたいが)。

椅子

直に床へ座る生活は長く続けるといささか辛くなろうかと思われるため、折り畳み式の椅子を用意したい。背もたれのあるものを用意できれば最良だが、大きいほど持ち出しにくくもなるので、コンパクトさを優先して。
バッグと折り畳み椅子がセットになっているものがあるので、それらを用意することを考えている。

アルミブランケット

防寒の不足に備えて。薄く軽量で邪魔にならず、体温の熱を外に逃がさないため冬場の体温維持に1枚あると安心できそう。

眼鏡

我が家は全員近視なので眼鏡は必須。新調した時に、以前のものを予備用に回してバッグに入れておきたい。

簡易トイレ

断水時も速やかに仮設トイレなどは用意されるとは思うが、それまでの急場凌ぎとして1回分程度は用意しておいた方が良いのではなかろうか。

飲料水

避難当初まだ配給も儘ならない時期を乗り切るため、備蓄とは別に500mlのペットボトル1本でいいので各自持っておく。

非常食

水も火もなしに食べられるものを、最低でも1食分(可能なら3食ほど)。
しかし水も火も要らない保存食はだいたいレトルトパックや缶詰となるため少々重く、各自の持つ分に1日3食分以上を配備するのはあまり現実的でないように思われる。
たとえば白米・レトルト・缶詰・加熱用発熱剤をセットにした「レスキューフーズ」は1食分600g、1箱あたり12.5*16.5*6.5cmと結構な重さ・大きさである。これで3食を揃えるとバッグ容量の大半が埋まってしまう。

重量を抑えるなら、一部をカップ麺やアルファ化米などに置き換えるのも良いだろう。

カロリー補充用おやつ

カロリーさえあれば当座は凌げる。また心理的にも甘味が用意できると心強い。
チョコレートは暑さで溶けにくいものを。

井村屋の「えいようかん」とイザメシのチョコバーを試食したが、どちらも日常のおやつにしたいぐらい美味しかった。これなら非常時にも安らげるだろう。

箸・スプーン

弁当用のプラ製カトラリーで十分なので、1セットづつ用意しておく。

モバイルバッテリー

当座のスマホ充電用と、何らかの形で電源が供給されるならそこで充電・蓄電できるように、モバイルバッテリーは各自用意しておきたい。

家族で1つ用意しておくもの

ラジオ

大規模災害時は通信インフラも遮断される可能性が高い。通話回線がパンクしていても使えるTwitterやLINEは心強いが、それも電波が通じればこそ。
最後の情報源はラジオ放送に頼るしかない。もちろんラジオアプリは(放送電波を受信しているわけではなくインターネット経由なので)使えない。受信機を備えたラジオは防災用品に必ず入れておきたい。
比較的電池の消費は少ないと思うが、できれば手回し発電/ソーラーパネルを備えた防災ラジオだと安心感がある。

懐中電灯・ランタン

停電状況下を歩かねばならぬ可能性も低くはないので懐中電灯は必ず用意したい。
また、前方のみを照らす懐中電灯は避難生活空間を照らすにはいまいち向かない。水を入れたペットボトル(少しの濁りがあれば尚更効果的)で散乱させる方法もあるが、最初から周囲を照らせるランタン機能があるものなら尚良い。
これもソーラーパネルなどを備えていると安心できる。

誰かが外に出ているあいだ待っている人が灯りを使えないというのも不便なので、最低2つは用意しておこう。

水タンク

水は生命維持に不可欠だが、断水していると給水所まで汲みに行かねばならないので水容器は必須となる。
一人あたり3リットルが目安とのことであるから家族人数を鑑みれば10〜20リットルぐらいが必要だが、それはそのまま手にかかる重量でもあるので、あまり大きいものだと却って困難ではなかろうか。
また、水を使うたびに容器を傾けるのは面倒なのでコック付きのものにしたいが、必然的に水の取り出し位置が底に近くなるので床に直置きでは水が出せなくなる。何か台になるものも用意しておくか、台座がセットになったタンクを購入するといいだろう。
ハードタンクの方が安定感は高いが、非使用時に嵩張るのが欠点。できれば中が見える透明なものにしておくと水の残量が把握しやすくなる。また広口なら使用後のメンテ性も高いし、なんなら持ち出し品の幾許かを中に入れておくこともできる。

テーブル

食事にせよ水タンクにせよ、床に直置きでは色々と不都合なのでテーブルのひとつぐらいは用意したい。なるべく小型軽量、かつ水タンクを支える程度の耐荷重が要る。

カセットコンロ&ガスボンベ

いかに非常食と雖も、加熱調理なしで食べ続けるのはしんどいものがあろうし、水で作れないことはないアルファ化米やカップ麺でも可能ならば湯を使いたい。
アウトドア用の、携帯型ガスコンロとボンベ数本ぐらいは用意しておきたいところ。

クッカー

ガスコンロだけあっても調理はできないので、アウトドア用の軽量コンパクトな調理器具を買っておきたい。
底面に熱伝導性を高めるヒートエクスチェンジャーのあるものだとガスの熱を効率良く使えて湯沸かしも早い。

追記:ヒートエクスチェンジャーを含め、熱伝導性を高めるための「炎を囲い込む構造」を持つ鍋は、空気の通りを悪くしてしまうため不完全燃焼により一酸化炭素が発生しやすいとのこと。「炎を絞ってエクスチェンジャーには直接炎を当てない(弱火で加熱できるということではある)、閉所で調理しない(避難所では室内での火気使用はそもそも禁止かと思うが)など気を付けねばならないようだ。
ガス消費を節約できそうなので被災時にも役立つとは思うが、ちょっと扱いに気を使うので面倒なら普通のクッカーにした方がいいかも知れない。

カップ

飲み水などのためにカップも必要だろう。一人にひとつまでは要らないとしても、1〜2個ぐらいは欲しい。

食器

基本的にはレトルトも袋から直接食べたり、袋麺などは鍋から直接啜ることになろうかと思うが、皿がある方が食べやすいのは確かだ。荷物が増えてでも用意するなら、破損に強いメラミン樹脂皿が良いのではないかと思う。

洗い物に使う水も勿体ないのでラップをかけるなどして使ったという話も。

ソーラー充電器

可能であれば日光でスマホを充電可能なソーラーパネル充電器を用意したい。タブレット用だと5Aクラスの出力が必要になって条件が跳ね上がってしまうが、スマホに限れば2.1A程度で行けるのではないか。