ブラウザでウォーゲーム

時々、無性に「大戦略」のようなウォーゲームをやりたくなることがある。コンシューマゲームで手持ちもないではないのだが、あまり長いものをじっくり遣り込むまでの意気込みでもないので、割合軽く終わって、かつきちんと醍醐味だけは味わい尽くせるようなものが欲しかった。
ブラウザゲームであればいいのに……と思ったら、程良いものがリリースされていた
ごく簡素なウォーゲームである。陸上戦力8種、航空戦力2種、海上戦力5種。ユニットはそれしかない。
操作はちょっと変わっていて、普通なら移動終了→攻撃その他の順に処理するところだが、このゲームでは移動+戦闘を1クリックで行なう。つまり「移動経路+攻撃対象」をマウス操作で指定、実行するのだ。それ以外の行動は移動の代わりに行なわれる。
面白いのは攻撃力で、ユニットの残耐久力の割合と密接に関係している。つまり1ユニット=1機ではなく1部隊であるから、謂わば残兵数を表しているのだろう。攻撃時には+/-/=のマークで有利不利が表示されるが、=であっても先制攻撃によって耐久の減った相手からの反撃なのでこちらの受けるダメージは比較的少ない。
またユニットごとの三竦み的戦力バランスがよく練られており、直協の重要性が身に沁みる。
例えば対空戦車は戦闘機を1撃で全滅させ、また歩兵をほとんど全滅近く削る能力があるが、戦車に先制されるとほぼ一撃死する。逆に歩兵や戦車は航空機には手も脚も出ない。従って行軍に際しては戦車と対空戦車を組ませたり、また航空機などで支援する必要がある。
あるいはミサイル車は広範な射程距離と地上に対する大火力、航空へもそこそこの火力を有する強力な兵器だが、近接距離では攻撃できない上、機甲打撃に極めて弱い。また移動か攻撃かどちらか一方しか行なえない。従って運用に際しては戦車で防御し接近を許さぬこと、また移動の隙を2〜3台のチームで移動→射撃を繰り返し攻撃を途切れさせない長篠方式とすることなどが重要になる。
また敵砲台は長大な射程と空陸に万全の火力を誇るが近接攻撃ができない。しかし通常、複数のペアで運用され死角を補うので、これは唯一アウトレンジできる戦艦からの艦砲射撃が有効になる。
長射程と大きな火力を持つ戦艦や地上兵器をほとんど一撃粉砕する重爆撃機は積極的に活用したい兵器だが、そのためには制海権・制空権の確保が欠かせない。
このように、単純ながらきっちりと戦術性・戦略性を要求する作りになっているので、ある意味で本格ウォーゲームの訓練にも良さそうに思われる。
単に単一兵種の量産力押しでは絶対に勝てない。相手の兵器バランスを見てそれに抗するように生産計画を立てて行く必要がある。とりわけ、生産拠点や司令部を早期占領し敵の生産力を減らす戦略はかなり有効だが、そのためには敵防衛線を突破できるだけの兵力が要求されるので悩ましいところだ。