届かない靴

楽天に出店している石川県のショップで靴を注文したところ、数日後にショップから連絡があった。
「佐川急便から、年末キャンペーン期間中は荷物が殺到し、新入社員が伝票の貼り違いで間違って配達された可能性があります」とのことで、間違った荷が届く可能性があり(届いてしまった荷はどのように処分しても良い)、正しい荷が届かなかった場合は返金もしくは再出荷を受け付けるとのことだった。
私は足に合った靴を見つけるのが難しい都合があり、せっかく見つけた靴を是非とも入手しておきたかったので再出荷を希望。
それから10日ほどでようやくショップの注文ステータスが「出荷済み」となった。

ところが数日待っても荷は来ない。
ショップからの出荷情報にある伝票番号で追跡すると、荷はなぜか大阪のセンターから出荷され福岡の配達店が担当することになっている。うちは関東なのでこれは何かおかしい。
配達店に問い合わせてみたが、「その番号は宛名が違うし福岡県内宛」とのことで、おそらくショップから連絡のあった伝票番号は私の荷のものではないということになる。

そして注文した覚えのない靴が届き、これは例の「佐川のミスによる誤配」のブツなのかも知れなかったが、荷主はなぜか「注文したこともない大阪の個人名」であった。
なんらかの詐欺的手法、たとえば「架空の注文を装って適当な荷を送りつけて料金を請求する」みたいなのを懸念して荷主の住所で検索してみたところ、どうやら実在する住所のようではあり、また氏名からは住所のほぼ一致する個人店舗らしきものが出てきた。しかし靴屋というわけではなく店舗外観からすると青果店、しかし同名同住所でそろばん塾とそろばん通販なども出てくるようで、よくわからない。
ただ、この誤配荷物の取り扱いセンターは荷主住所と同市内であり、ここから配送されたという記録とは符合する。また偶然なのかどうか、私の荷物として伝えられた(が実際には違っていた)伝票番号も、同センターより出荷された荷ではあった。
また、誤配荷物の伝票に記された電話番号は10年前に解約した古い携帯電話番号であり、通販サイトでこれの登録が残っていたのは楽天のみであった。したがって、この不明荷物は「私の注文分ではないが、楽天経由で購入された荷ではある」ということなのだろう。
楽天のユーザ情報が流出している」という可能性もゼロではないが、おそらくは「楽天からの委託を受けた佐川のミス」ではないかと想像する。


ごく一般的な通販形態として想像されるのは、「ショップが自社内に在庫を持ち、注文を受けて伝票を作成・梱包したものを、配達業者が集荷・配送する」という形だが、このやり方ならば伝票はショップが作成し荷物もショップが用意しているので、「佐川の新人が伝票を貼り間違える」ことはない。
配送センター間で荷を移動するための管理ラベルを貼り間違えて、たとえば東京のセンターに送るはずだったものを福岡のセンターに送ってしまったというようなことはあるかも知れないが、その場合でも「伝票は正しく貼られている」ので福岡のセンター側で気づいて正しい配送センター宛に転送することになるだけだろうし、いずれにせよショップが作成した伝票の通りの宛先に届けられるはずだ。
したがって、「佐川が伝票を貼り間違えた」ということはつまり出荷にあたり「ショップではなく佐川が伝票を作成、貼付している」ことを意味する。

前述の通り、記載されていた電話番号は楽天にしか登録されていない古い電話番号であるためデータの出元が楽天であることは疑いないが、それが注文したことのないショップ名義の荷として出荷されたということは、

  • 楽天から佐川に送信された情報が間違っていた
  • 楽天から送られた情報を、佐川が処理する時点でミスして荷主と配送先の組み合わせがずれた伝票を作成した

のいずれかということになろうかと思われる。
そして、「間違って届いた荷物」も「私のものではなかった伝票番号」も同じセンターから出荷されていることを鑑みるに、おそらくは「ショップは自社店舗内で在庫を持たず倉庫内の商品を自社ページで陳列販売し、注文を受けるとデータが佐川に流れて伝票作成・出荷が行われ、その伝票情報がショップへ送られる」のだと思われる。楽天が出店者向けにそういうサービスを展開しているのか、それとも佐川がやっているのかはわからないが、私の注文した石川県のショップも「販売者の住所は石川県だが商品の発送元は大阪」なのではなかろうか。
もしくは、倉庫にストックしてあるのでさえなく「注文が入ると中国あたりの業者に発注、大阪のセンターへ送られてきたものを国内へ発送」という可能性もある。

私の元へ誰かの注文した靴が届いたように、私の注文した靴も誰か知らない人の元に届き、不用品として処分されるのだろう。もしかしたら福岡に行ってしまった荷物こそが私の受け取るはずだった商品なのかもしれない。


ところで当該商品は最初Yahooストア内で発見したものの履けるサイズが存在せず、Amazonで同じ商品のラージサイズを発見したので注文したら「そのサイズは在庫がありませんでした、代わりにこちら(ぜんぜん違う靴)はどうですか?」と言われ、「別のカラーで同じサイズの在庫はないのか、あるいは注文した商品の取り寄せは可能か」と質問するも取りあわれず注文キャンセルとなった経緯があり、「本当にこの商品のこのサイズは実在するのか」疑っていたところ楽天でもラージサイズを発見して「本当にあったんだ!」と注文したら誤配のうえ再配送も届かないという、なんですか私には絶対買えない呪いでもかかってるんですか⋯⋯