神戸・須磨の洋館
神戸といえば北野の異人館が有名だが、もう少し離れた須磨にも実は素敵な洋館がある。
須磨離宮公園向かいにある「神戸迎賓館」(旧西尾邸)である。
www.nishiotei.org
大正8(1919)年の洋館で、レストラン/ウェディング場としても運営されている。
至るところにステンドグラスが嵌められており、室内を柔らかく彩る。
古い館だけあって流石に室内は暗く、窓からの光を背に受ける席だったのでライティング的には厳しかったが料理も撮ってみた。
大阪・中之島〜北浜
中之島といえば明治時代のルネッサンス様式「中之島図書館」、辰野金吾設計の赤煉瓦建築「中之島中央公会堂」が非常に有名だが、実はこの近辺には他にも多数の古建築が残る。
まずは淀屋橋に面する日本銀行大阪支店。東京の日本銀行本店と同じく辰野金吾の設計。
中之島に架かる橋もまた古いものが多い。
水晶橋は昭和4年のもので、元は河川浄化のための可動堰だったものだそう。
難波橋は大正時代のもので、昭和50年に掛け替えられた際も当時の部材を残してその姿を保っている。
中之島を南へ抜け、土佐堀通り沿いに東へ進み難波橋を過ぎたあたりに、明治時代の古い建物を利用した「北浜レトロビルヂング」がある。
元は証券の仲買業者の社屋だったものをカフェとして利用しているものだそう。2階からは川向こうのバラ園が一望できる。
ビルを挟んで2軒隣りには大正時代の見世蔵を利用したカフェとカレーハウス。ゆるくカーブを描いた屋根が特徴的である。
難波橋のたもと、土佐堀通りを挟んで向かいにあるのは昭和初期の外観を残した大阪取引所。
アール・デコ調の直線的装飾枠を透かしてステンドグラスが見える。
アール・デコ風といえば「ぢ」の看板で知られるヒサヤ大黒堂のビルも入口が謎にアール・デコというかフランク・ロイド・ライト風というか、そんな感じの装飾になっているのだが(ビル全体はごくシンプルな現代建築)、これは何なんだろう。
古建築風といえば光世証券ビル、煉瓦積み壁面に鍛鉄の装飾格子というクラシックな外見ではあるが2001年の建築とのこと。
難波橋からの堺筋沿いには古建築がいくつも立ち並ぶ。
まずは大正時代の「新井ビル」。
arai-bldg.com
次いで高麗橋野村ビルは昭和2(1927)年の鉄筋コンクリート造りで、1階のみ煉瓦装飾が施されている。7階は1964年の増築。
その向かいにはギリシャ神殿を模した新古典様式の三井住友銀行大阪支店中央支店ビル、1936年竣工。
実はこの近くにもうひとつ、1926年の大阪本店ビルもあったらしいのだが、そちらは見そびれた。
また少し先には1903年の和風建築、接着剤メーカー「コニシ」創業者の屋敷がある。
ここからやや逸れるが、近くには日本の近代医学の祖である緒方洪庵の私塾跡も。
もう1区画先には1930年の生駒時計店ビル。フランク・ロイド・ライトの影響著しいスクラッチタイル張りのアール・デコ様式である。
さて、ここからは西へ。平野通りを2ブロックほど進むと、1930年の「小川香料 旧大阪本社ビル」が見えてくる。
次の三休橋筋を北上すると、見えてくるのはヴォリーズ(「メンソレータム」で知られる近江兄弟社の創設者)の設計による日本基督教団 難波教会(1922年)と、辰野金吾による赤煉瓦建築、旧大阪教育生命保険ビル(1912年)というものすごい取り合わせ。
これを見ただけでも来た甲斐があるというもの。
更にもう少し北へ行くと、グランサンクタス淀屋橋。
辰野金吾と片岡安により設立された設計事務所による、1918年の旧大阪農工銀行ビル外観を残すいわゆる「腰巻ビル」なのだが、上部の意匠もよく合っている。
三休橋筋の入口まで戻ったあたりには、特に保存建築の指定などはないが古い長屋の名残りが。
そのうち一軒、吉田理容所を紹介して終わりとする。