金沢旅行:1日目

会社の勤続表彰で休暇と旅行券を貰ったので、一度行ってみたかった金沢に出掛けた。
結論から言えば、金沢は凄い場所だった。あまりに凄すぎて写真の枚数がとんでもないことになったので分けて掲載してゆく。

計画

新幹線の方が時間の融通利いて便利な気もしたが、運賃がかなり違うので航空便に。実質飛行時間はわずか36分、家〜羽田空港/小松空港〜金沢にかかる移動を鑑みても新幹線(およそ3時間)より速い。
新幹線は今のところ金沢止まりで大阪方面へはまだ路線が完成していないのだが、特急サンダーバードが2時間半で結んでいるのでこちらは航空機より手軽なようだ。


箱根旅行の際に「どんな場所でどんなものが撮れるかわからない」旅先では単焦点の付け替えには限界があると痛感したので、できればズームレンズを持って行きたいところだ。しかし手元のズームレンズはキットレンズぐらいしかなく、流石にちょっと物足りない。
じゃあメーカーのレンタルサービス(いいレンズを格安で貸し出し、沼に嵌める陰謀)を利用しよう、とLUMIX BaseでLeica 12-60mm F2.8-4を借りに行ったのだが「写真付きの身分証が必要です」運転免許証とか持ってないので撃沈。
仕方ないので今回も単焦点のみで行くことに。

1日目午前中:空港〜駅まで

朝早くに出たので、空港で登場前手続を済ませた後まず朝食。空港内の和食処Hitoshinayaで白粥をいただく。

だいぶ時間があったので空港内を散策するも、朝はショップも開いていない。
これは店のディスプレイにあったロンデル窓(のために作られる、吹きガラス円盤)。

飛ぶまでは長いが、飛んでしまえば着くまでは早い。機内サービスでJALオリジナルの桃とぶどうのジュースをもらって、紙コップが回収されるともう着陸である。
空港を出てリムジンバスで金沢駅へ。飛行機の搭乗時間と同じぐらいの時間がかかって、到着は昼前。

まずは金沢の新名所、「鼓門」を見にゆく。螺旋状の柱に支えられた木造の赤門が印象的だが、実際にはその門に連なるトラスフレームのガラスドームにまず圧倒される。

持ってて良かった魚眼レンズ。

門の側から見ると、ガラスドームが見事にその陰に隠されていることがわかる。

ドームの左右は曲線状に広がり、バス・タクシーのロータリーになっている。後にわかるが、鉄道が未発達なぶんバス網が整備されており、これが主要な交通手段になる。

青空の反射も美しい。

とりあえず、朝食が軽かったのでまずは昼食を食べようということで近江町市場へと歩く。後にわかったのだがバスで2区間ほどの距離があり、歩けないほどではないが足を温存するならバスを使うべきだった。
市内の主要観光地を周遊するバスは1回200円(距離に関わらず)だが600円で1日乗り放題の券が駅のバス乗り場で購入可能で、様々な施設の入場料が200円ほど値引きになるので迷わず買うといい。なお我々の旅行が終わったその日から電子化され、アプリをインストールすれば売り場に行かずとも乗り放題券が買えるようになるそうだ。

これは市場への途中で見つけた洋品店。なかなか情緒ある店構え。

大通りにはどこも地下道があり、信号を待たずに渡れるようになっている。歩道橋を見ないのは雪国ゆえか。ただ、都心の駅地下にあるような地下街は見られない。

近江町市場にてのどぐろの寿司などを食べて満足。

1日目午後:街歩き

当初、金沢観光ではひとまず兼六園21世紀美術館を主たる目的に据え、他にいくつか気になる観光スポットを拾ってなんとなくプランを練っていた。
2日目の夕方〜3日目は雨の予報で、特に3日目は寒くなるようだったので、暖かい1日目〜2日目のうちに兼六園を回るのが良いのでは……と言いつつ、とりあえず街中をぐるりと巡っておこう、とバスに乗り……すぐに気になる建物を見付けてバスを降りた。
思えばこれが大正解(あるいは大失敗)だった。

来るまで知らなかったが、金沢という街は至るところに古建築が残る場所である。あまりに数が多いので、目立つもの以外はさして貴重とも思われていない節があり、気軽にリノベーションされて店舗として使われていたり、あるいは単なる民家として今も現役だったりする。
そういうわけで、一軒見付けて写真を撮っているとその近くにまた一軒見付け……と足を運んでいるうちにすっかり街歩きに時間を取られてしまうことになった。

まずは旧三田商店。

昭和5年建築のコンクリート造スクラッチタイル貼り。丸みを持たせた角に入口を設け、装飾的な正面を成す。

隣には喫茶店が続くが、こちらは壁の意匠を合わせてはいるものの後世の築。

続いて旧村松商店。

こちらも昭和3年築のアール・デコ建築で、直線と曲線を組み合わせた装飾が特徴的だ。
現在はCazahanaというインテリアショップが入っていた。
cazahana.com
あまりに素敵なので内装を撮らせてもらう。

こちらの店で、近所の古建築内覧会の情報を教えていただく。ちょうど当日とその翌日の2日間のみ実施されているそうで、早速そちらへ向かうことに。
……と、その途上で気になる物件を見付けて寄り道。
昭和7年築の旧田上医院は、モルタル塗りの正面こそ地味ながら側面へ回ると木造病室が続く大医院であったことが伺われ、なかなかの迫力。

さてその古建築は、金沢医大の教授であった人物の住んでいた洋館であるそうだ。
最近まで住んでいたのか、外観は樹脂製の雨樋が取り付けられたりと手が加わっているものの、荒れた庭木は屋根に倍する高さで、その年月が伺われる。

ステンドグラスには天馬に跨る騎士の絵。盾には1930とあり、これが建築年と想像される。

玄関は黒塗りに緑タイル貼り。

内部は床も天井も剥がれてはいるが、内装の良さが伺われ映画セット的な雰囲気を醸す。

台所との壁は料理を配膳する棚になっている。

配電盤のある和室は使用人の部屋だったのだろうか。

ここからはざっと写真を並べるに留める。館は和洋室入り混った3階建で、二階には大きな和室や壁一面に本棚を設えた書斎もあったが、見学者が多かったため撮影はしなかった。いくつかの部屋は床が腐り落ちていた。

これほどの建物は他地域ならば自治体の保存指定を受けそうなものだが、今のところ特に指定はされていないようで詳細な情報は不明。

さて街歩きに戻る。
この辺りは特に昭和初期の建築が多く残っているようだ。
昭和4年築の旧高岡銀行橋場支店は、現在は金沢文芸館 五木寛之文庫として運営されている。

木橋のたもとにあり、すぐ裏手を川が流れているのは印象的。

1日目夕:茶屋街へ

旧高岡銀行橋場支店の反対側には浅野川を渡る大橋があり、橋を挟んで手前側に主計(かずえ)茶屋街が、向こう側にひがし茶屋街が広がっている。
この橋自体も大正11年のもので、登録有形文化財だそう。

このあたりを撮るのが当初の二次目標だったのだが、あまりに素敵すぎて日没までずっと撮影していたので、この日はこれでおしまいになってしまった。

ただ、期待していた日暮れの光景については、コロナ禍の影響か夜間に明かりを灯す茶屋がほとんど見られず少々物足りなくはあった。早く観光の活気が戻って欲しいところ。

1日目夜:夜の駅前〜ホテル

日が沈んだので鼓門のライトアップを見に駅へ戻る。

ホテルはトリフィート金沢。
torifito.jp
できたばかりの新しいホテルで、グレイを基調とした落ち着いた内装。

窓際にソファが設えてあるのは嬉しい。

足が痛くなるまで歩き回って、ホテルで歩数を確認したら2万1千歩だった。推定移動距離14km、そりゃ足も疲れるわけだ。