「クラロワ系」のスゝメ

スマホ向けのオンライン対戦ゲームで、俗に「クラロワ系」と呼ばれるジャンルがある*1。代表作「クラッシュ・ロワイヤル」に由来するカテゴリで、少数のカードで組まれたデッキを使い、時間回復するリソースを消費することでカードを出して戦わせ、敵陣のタワー破壊を目指すものだ。
1戦3分前後で済み、移動中の隙間時間などでも遊べる気軽な対戦ゲームである。

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クラロワ系とは

この説明ではちょっとイメージが湧かないかと思うので、もう少し詳しく説明してみよう。
クラロワ系のゲーム画面は縦長であることが多い。画面最下部には自分の手札とリソース量を示すゲージが表示されており、その上に自軍のメインタワーが、前方左右にはサブタワーがある。
ゲームの基本的な目的は、手札のユニットカードを戦場に召喚して相手陣地へ送り込み、相手のメインタワーを破壊することだ。サブタワーの方は破壊してもただちに勝利とはならないが、一定の対戦時間(3分程度であることが多い)でメインタワーが破壊できなかった場合にはサブタワーを破壊した本数の多い方が勝ちとなるし、いずれにせよメインタワーへのルートを塞ぐように建っているので、まずはこれを破壊する必要がある。

手札にあるユニットカードは、戦場の下半分、自分の陣地側ならば好きな場所に召喚できる。召喚時には、カード性能に応じてリソースゲージを一定量消費する。ゲージはおよそ3秒程度で1づつ回復し、上限は10だ。
召喚されたユニットは自動的に敵陣のタワーめがけて進軍し、途中で敵ユニットと遭遇すれば攻撃を行なう。基本的に、ユニットの行動をプレイヤーがコントロールすることはできない。
戦場は中央が水路などで区切られ、左右2本の細い橋などで繋がっている。互いのユニットは相手陣地へ侵攻するためこの狭隘部を通らねばならず、必然的に橋を渡ろうとするユニットとそれを阻止しようとするユニットが橋を挟んで衝突することになる。

ユニットは自動で行動するから、プレイヤーにできることは基本的に「ユニットを出すタイミングと位置を選ぶ」だけなのだが、ユニット同士の三竦み的な性能バランスの兼ね合いによって、ここに駆け引きが生じる。
たとえば、一撃が重いユニットは1対1だと相手に大きなダメージを与えることができるが、小さくて数の多い敵に当たるとダメージが無駄に余り、攻撃の遅さが仇となってなかなか殲滅することができない。
逆に小さくて数の多いユニットは、一撃のダメージこそ小さいが手数も多いので相手のHPをどんどん削ることができるし、敵の攻撃による被害は1体分で済むので生存性も高い。ただし一体一体のHPは低いため、範囲攻撃を受ければあっという間に全滅する。
範囲攻撃ユニットは群れ相手に極めて効果的ながら、火力そのものは高くないため単体で敵と戦うには不利となる。
また、各ユニットは原則として最も近い敵を攻撃するため、高いHPを持つ「盾役」を先に接敵させて相手からの攻撃を引きつけ、後方からHPは低いが高火力なユニットを当てるようにすると、打たれ弱いユニットでも安全に攻撃を継続できるので、大きなダメージが期待できる。

喩えるならば格闘ゲームに似ている。相手の攻め手に合わせ、それに強いユニットでガードすることで被害を抑えつつ、可能ならばカウンターへと転じる。
カードはそれぞれ性能に応じてリソースゲージを消費するので、攻めにも守りにも限度がある。相手が攻撃に要したコストよりも少ないコストで防ぐことができれば、反撃時には相手よりも多くのゲージを消費した攻勢が可能となり、防衛を圧迫できる。そういうイメージだ。
一方、格闘ゲームとは決定的に異なるのは時間感覚で、リソースゲージの回復にも召喚したユニットの移動にも時間がかかるため「相手の出方を見てこちらの手を考える」余裕があり、基本的には防衛優位なバランスとなる。勝敗は反射的な操作精度の差などではなく、リソース量の差により「打つ手がなくなる」形で決着する。

操作が単純で素早さを要求されず、また通信的にもシビアでないため、モバイル向け対戦ゲームとしていくつものタイトルがリリースされている。
課金スタイルは本家クラロワからほぼ一貫してPay2Winで、「カードを買う」ことで戦術幅を広げ、またカードごとのレベルを上げて性能を向上させる方式となる。だがプレイ報酬などでカードは順次入手できるし、レベルキャップの存在とラダー制、「互いのレベルを揃えて対戦する」ルールなどにより、無料プレイでもそう極端に不利ということはない。

新型クラロワ「ソウル・オブ・エデン」

本家クラロワはオーソドックスな西洋ファンタジーをモチーフとしており、ゴブリンやスケルトン、あるいは騎士や弓兵などを召喚して戦う。絵柄は良くも悪くもシンプルで物語性は薄く、「対戦」に注力したデザインだ。その影響から後発にもファンタジーものは多いが、少数ながらSF系や近現代戦ものなども存在し、またよりキャラクター色の強いものなどもある。
そんな中にあって、やや独自性の強い現役タイトルが、台湾RayArkの「ソウル・オブ・エデン」だ。

ソウル・オブ・エデン Soul of Eden

ソウル・オブ・エデン Soul of Eden

  • Rayark International Limited
  • ゲーム
  • 無料
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これはSFとファンタジーが混在したようなイメージで、4系統の種族それぞれに戦術が異なっているのが特徴である。
機械系ユニットの多い「共和国」や、昆虫と軟体動物を併せたような「異種」はRTSスタークラフト」やミニチュアゲーム「ウォーハンマー40000」的な雰囲気を持っている。獣人を中心とした「獣族」と、魔法を用いる人族の「帝国」はさしずめ「ウォークラフト」か「ウォーハンマー エイジ・オブ・シグマー」の方か。

それぞれの種族を、簡単に説明しよう。

共和国

機械ユニットの多い科学文明種族で、基本ユニットである2コストの「マリーン」をはじめ、射撃ユニットが充実している。またHPの高い「ディフェンダー」タイプが多く、「硬い盾役が敵の攻撃を引き付け後方から射撃ユニットで殲滅」という基本的フォーメーションに忠実な構成となっている。
接敵まで姿を隠し敵に狙われない「ステルス」能力と、初撃のみ特別な攻撃を加える「ファーストアタック」が特徴的。
また機銃掃射や爆撃など指定位置に範囲ダメージを投射するスペルを多く有し、敵後方への対応力に優れる。
多くのカードを異種にも提供しており、異種からも少数の供給を受ける。

異種

昆虫と軟体動物が融合したような外見の異星種族で、撃破した敵を味方に変える「マゴットクイーン」や自軍タワーにダメージを与える代わりに性能の高い「ソウル」系ユニット、自軍タワーHPが30%以下でないと性能が下がる「アボミネル」など、エキセントリックなカードが多い。
ディフェンダーに乏しい構成で防衛にはやや難があるものの、攻撃毎に回復する能力によってスペック以上の耐久性を発揮する。またデバフ系能力と除去スペルが充実、特に全カード中最大のコストを持つ「コントロール」は効果範囲内の敵ユニットを奪って我が物とする強力なカードで、これ1発で勝負が決まることも珍しくない。
少なからぬカードを共和国に依存しており、特にレジェンドユニットについては異種独自のカードを1種しか持たない。

獣族

獣人を中心とした魔法系種族。ユニット生産建物と回復系スペルが充実しており、手数での攻めに優れる。また持続時間の長い範囲ダメージスペルや強力な範囲攻撃ユニットも取り揃えており、乱戦には強い。
一方では全種族で唯一、除去系スペルを持っていないため、敵の大型ユニット対策が大きな課題となる。
共有カードでは多くを帝国に依存している。

帝国

魔法系の人類種族。自軍の他ユニット召喚をトリガーとして能力が強化される「センサー」能力持ちのユニットが多く、小型ユニットを次々に召喚して互いの能力を強化できるのが特徴。
またユニット生産系建物やバフ系・妨害系スペルも充実しているため、手数で攻めつつバフをかけて一気に削るような戦い方が得意。
全カード中最大コストのレジェンド「ヤコブ」はハイスペックなだけでなく範囲攻撃によって手数で削らせず、敵が召喚する度に貫通ダメージを放つためユニット追加で応戦されにくく、しかも味方を強化までするという構成で、これだけで勝負が決まってしまうことも少なくない。ただし高コストのため除去されると痛い。

クラロワとの違い

ソウル・オブ・エデンとクラロワの主な違いは、種族以外にも
・戦場が分断されておらず、タワーは1本のみ
・ユニットの配置を分散可能
・デッキは30枚
などがある。

クラロワでは戦場が中央で分断され橋のみで繋がっているため、侵攻ルートが橋からの直線コースにほぼ限定される。そのため迎撃体制を整えやすく、橋を挟んで膠着しがちだが、ソウル・オブ・エデンは戦場がひとつづきなので進軍を阻むものがなく、防衛線が横に広い。そのため単純に言えば攻勢有利なデザインになっている。
その代わり、ユニットカードを出すとき「指でなぞった線に沿って均等配置」できるという特徴がある。たとえば横一線に出して足止めしたり、敵一体を囲んで集中砲火を浴びせたり、あるいは縦列を作って一度に接敵する数を抑えたりといった、柔軟な運用が可能で、これによって戦場全幅を効率良く活用でき、ユニット配置の駆け引きが広がる。
また1デッキ8枚のクラロワとは異なり30枚構成なので使用できるカード種類が多く、そのぶんだけ「引き運」には左右されやすく、また相手の手の内を読みにくい。

基本的なところでは同じでも、細部の違いが意外に大きく、異なったゲーム体験を生んでいるように思う。
クラロワは初めてという人にも、慣れている人にも、新たな体験としておすすめの1作。

*1:成立の経緯などからRTS(リアルタイム・ストラテジー)やTD(タワー・ディフェンス)と呼ばれることもあるが、一般にRTSは資源回収・建築・研究開発・生産などを探索・戦闘と並行して行なうジャンル、TDは敵の侵攻ルートに防御施設を建て進軍を阻むジャンルで、ゲーム性はまったく異なる