ホグワーツ入学

ハリー・ポッター:魔術の覚醒」を始めた。
www.harrypottermagicawakened.com
モバイル/PC用のオンラインRPG/対戦ゲームである。原作同様、プレイヤーはハグリッドに連れられてダイアゴン横丁で入学準備を整え、9と4分の3番線からホグワーツ特急に乗ってホグワーツ魔法魔術学校に入学する。

(私はそんなに熱心なシリーズのファンではなく、原作小説は読んだことがないし、映画も最初の3作ぐらいは見たという程度の知識しかないので、あまり細かいところを適切に評価できていないかもしれない前提でお読みください)

ゲームは映画の冒頭シーンを再現するかのように始まりはするが、自PCはハリーではなくまったくのオリジナルキャラであり、教師はともかく在校生にも原作の人物らはどうやら出てこないため、全体としては「ホグワーツ魔法魔術学校を舞台としたオリジナルストーリー」という風情である。とはいえ物語世界に引き込まれるような雰囲気はたっぷり味わえるだろう。

グラフィックは写実的なものではなく、イギリス児童文学の挿絵を思わせるタッチ。3Dのモデリングは映画のイメージをよく再現している。所どころポリゴンの描写にちょっと怪しいところがあったりズレが見られたりするのはご愛嬌。

コミカルで表情豊かなキャラクターたちは、敵も味方もなかなかに魅力的だ。家柄を鼻にかけるような高慢なキャラや度を越したイタズラ好きのいじめっ子たち、あるいはちょっとひねくれ者や引っ込み思案で周囲に馴染めない生徒たち。それぞれにトラブルメーカーで、次々に引き起こされる事件がつまりメインコンテンツである「戦闘」にリンクしてゆく。

戦闘の基礎を成すシステムは、いわゆる「クラロワ系」の変種である。

予め呪文のコレクションから8枚を選び出してデッキを組み、時間とともに溜まってゆく魔力のゲージを消費することで呪文を唱える。敵魔法使いのHPを0にすれば勝利、自分のHPが0になれば敗北だ。
ただクラロワとは違って固定された陣地は存在しない。召喚物は自身から一定の距離範囲に出現させることができ、自身も(回数の制約はあるが)移動することでポジションを変え、敵の攻撃範囲から退避したり追い詰めて移動することができる。
これによりクラロワとはだいぶ異なるプレイ感に仕上がっており、戦術バトルというよりは緩めのアクションRPGといった雰囲気がある。

デッキに組み込む呪文カードはガチャで入手する。最初に1回だけ無料で引けるレジェンド登場ガチャは何度でも引き直しが可能な親切設計。


対戦がメインコンテンツとはいいながら、ゲームとしての比重は(少なくとも序盤の時点では)かなりの部分がストーリーを追うことに割かれており、戦闘はその合間に挟まれる対NPC戦が中心である。そのため対人戦に苦手感のある人でもそんなに気にならず遊べるのではないかと思う。
逆に、戦闘主体にやりたい人にとってはストーリーを追う時間が長く少々不満かもしれない(ただし、PvPについては「決闘クラブ」で好きなだけマッチできるため、ストーリー抜きでやり込むことは可能だ)。とはいえストーリー進行に伴って手に入れられる呪文カードも多く、またミッション報酬によるガチャチケなどもあるためストーリーは積極的に追ってゆく方が良いだろう。

その他、ミニゲームとして「舞踏会」がある。リズムに合わせて出現する円をタップする、要するに音ゲーであるが、タイミングの判定はわりと緩い。反面、タイミング合わせが直線ではなく円の大きさで示されるのでちょっとリズムが掴みにくいところはある。

ダンスはパートナーと組で行う。フレンドを誘うことも、クラスメイトのNPCを誘うこともでき、男女ペアだけではなく男=男でも女=女でも問題ないのは現代的だ。
その反面、キャラの作成では男女が明確に区別される。アバターパーツには男女で互換性がなく、口調も固定で変更できない。寮という設定上、男女を同室にできないシステムはまあ理解もするが、外見までもが縛られる理由はないのでは。
(なお、クィディッチもミニゲームとして登場するのではないかと予想されるが、少なくとも私の進行度ではまだ出現していない)

原作登場キャラは主に教師などに限られており、ストーリーもオリジナルであるため、原作再現派には少し物足りないかもしれない(一応、原作の主人公たちはデッキを強化する「共鳴」や他の魔術師との共闘を表現する「仲間」カードなどとしては登場する)が、作中で描かれた幻想生物や魔術具などは呪文として呼び出すことができ、自分がこの世界の一員であるかのように感じさせるには十分なものがある。
対戦カードゲームとしても、ホグワーツRPGとしても十分に面白いので、ぜひおすすめしたい。