キーワード収集型RPG

先のエントリに興味深いコメントをいくつか頂いているので、その辺への反応のつもりで少し。


「漠然とダイス振るだけのRPG」という状態は勿論、あらゆるシステムで回避可能である。ただしそれがシステムによるものではなく運用によるものである、という点が問題。
中にはその辺の解消策がシステムに組み込まれたものがあることは知っている。経験値消費で目標値を修正するメックウォリアーとかカルマでダイス数を変えるシャドウランとか。変わり種では、航行中のトラブルに対し「出港前に備えておく」ことで稼いだポイントを消費して対処するクレギオン(辺境アレイダ)なんて例も。
一回性の消費リソースで場をコントロールする方向性は間違っていないと思う。ただ、与える(もしくは予め規定されている)リソース量と想定するシナリオ中の消費量バランスを取るのはゲームマスターに一任されてしまうのが悩ましいところ。


後半は直截的には関係ない、が丸切り無関係でもない。
調査フェイズに「漠然とダイス振る」が出現し易いのは、ひとつに「回数が制限されていない」からなわけだが、要するにこれはリソースとしての「時間」という存在を見落としがちであるためではないかと思う。戦闘中はターンの形でそれが明確に規定されているが、戦闘以外のシーンで時間単位を区切るゲームは知る範囲であまり多くない。TSRで処理するガンドッグとか、日単位で移動コントロールする迷宮キングダムとか。まあシーン制のN◎VAなんかも区切りはあるのだが、その中での行動量に明確な規定がない。
もうひとつの理由として「行動の明示が要求されていない」というのもあるかも知れない。先の例では動詞のみで行動宣言する例(目的語がない)を引き合いに出したが、要するに5W1Hを明示すること、とりわけ「なにを」「どうする」の規定範囲を可能な限り絞り込むことはかなり重要だと思う。
「ゴブリンについて聞き込みする」→「単体ならそんなに怖くないけど群れると厄介な奴らだ」
「そんなこた知ってるよ。そうじゃなくて、どこに出るのとかいつ出るのとか何匹いるのとか」→「最初からそう言えよ。目撃数は……」
みたいな。


アドヴェンチャーゲームの中に、選択肢による分岐型ではなく文中のキーワード取り込みにより新たな情報を取得、または取り込んだキーワードを並べて行動宣言文を作るようなシステムがある。RPGでもこれをやるべきなんじゃないかと思う。GMは情報収集の結果として、文章と共に用意した単語カードを渡す。これを使って正しい文章を組み立てることができればミッションクリア、のような何か。


またちょっと逸れるが、戦闘時に「漠然とダイス振る」が多いようなシステムは多分、距離の概念か行動順の処理が緩いんじゃないかと思う。ヘックスマップ使って距離を厳密に処理したり、キャラごとに行動順位や回数が異なるシステムだと、考えなしの行動が命取りになる。
「みんなでゴブリンAを攻撃します」「じゃあゴブリンB、Cは君の後ろに回り込むよ」とか、「この通路部分は狭いから一人づつしか通れない。でもゴブリンのいる部屋は広くなっているから、ゴブリンは先頭のキャラを3体で攻撃できる」とか。逆に言えば行動次第で自分に有利な状況を作ることも可能なわけで、それが前提になると「正面から当たるとデッドリーなバランス」で戦力構成するぐらいで丁度良くなってくる。
(この後、ファンタジー系に特徴的な死の軽さとか一発逆転の超必殺技とかについてゴニョゴニョと)