「早い者勝ち」

情報には二つの価値がある。一つは「質」、即ち情報の正確さ・豊富さであり、もう一つは「早さ」、即ち他よりも早い言及である。この二つは基本的に排他関係にあり(質を重視すれば複数の情報源にあたって裏を取り、また推敲して正確に情報が伝わるようにせねばならないが、これには時間がかかる)、両方を満足するのは困難である。


早さが価値を持つのは初回発信時のみで、発信された瞬間に他の情報源がないことによってのみ、その価値は発揮される。後発の情報は先発にはない価値を含むことで「質」を高める必要が生じるし、また先発は他の情報が出回った時点で既に早さという価値を失効しているので、情報を追加補強することで「質」への転換を図らねばならない。
発信から充分な時間を経たとき、既に早さは何の価値も持たず、そこで求められるのは「質」のみとなる。即ち「早さ」は本質的に「質」に劣ると言える。


一方、質については早さのように一刻を争う必要がなく、比較的容易にその価値を創出することができる。
無論、先発の情報源により言うべきことが網羅されてしまっている場合もあろうが、そのようなときでも複数の情報源を束ねる結節点としての機能へ転換することで充分な価値を見出すことが可能である。
また、他の質的情報群との意見交換により新たな情報を生み出したり、偏らせた視点により先発が網羅し切れなかった隙間を埋めることもできよう。


翻ってコミュニティサイトのシステムを考えるに、「早い者勝ち」的行動原理が強く働いているように思える。関心空間然り、mixiのコミュニティ然り、はてなの質問やキーワード然り。いずれも重複が歓迎されず(関心空間についてはキーワードを個人が所有する関係から重複は何ら忌避されていないはずだが、現実にはユニークであることに価値を見出されることは多い)、ために急いで登録して、後から練り直すような傾向が見出される。
コミュニティの持つ魅力の半分は、蓄積された情報が握っている(残り半分は情報を提供するメンバーの魅力である)と言って良い。即ち情報の質を高めることがコミュニティーの価値を高めることに直結する。
そろそろコミュニティの構造自体が早さよりも質を尊ぶようなシステムに変化していく必要があるのではなかろうか。


えーとつまり…もう少し落ち着いて書けということで。