沖縄へ行こう:準備編

会社の勤続記念でもらった旅行券では金沢に行ったのだが、この時は土日を含め3日間の行程だったので有給を1日取ったのみで、同時にもらった「連続1週間の休暇」の方が浮いてしまった。これは特別な休暇であり1年で失効するので、期限内に絶対使ってくれと労組から言われており、じゃあちょっと遠いところに観光に行こうかということになった。
本当なら海外に行きたいところだったが、生憎とコロナ禍で最大2週間ほどの隔離を強いられる状況では現実的でない。思えば結婚したときにも、休暇と旅行券もらったので海外に行こうかと思ったらアメリカ同時多発テロ事件でちょっと飛行機旅行どころではない感じになってしまったのだった……なんなのこの間の悪さ。
さておき、ならば国内旅行で普段あまり行けない距離、ということで沖縄へ行ってみようということになった。

日程を決める

早いに越したことはあるまい。
なにしろ未だコロナ禍ではある。ワクチンも普及して一時期ほどの脅威感はなくなっているとはいえ、また新たな変異種が増加しつつあるようで次の大きな波がいつ来ても不思議ではなく、情勢が落ち着いており動ける状況のうちに動いておくべきだろうと思われる。ついでに言えば夏休みが近づくと料金も跳ね上がるので、オフシーズンを狙いたい。
月初と月末は仕事の都合で休みにくいので、月中の二週間を想定。

予定を立て始めた5月後半時点では、沖縄は梅雨真っ盛りであった(だからオフシーズンなのだが)。雨そのものは嫌いではないが、観光では傘で手の塞がる状態はあまり嬉しくないし、どうせなら真っ青な夏の海を撮りたい。
その上、5月末に那覇で大雨による洪水が発生。すると6月の半ばではまだ被害から復旧しつつあるあたりと思われ、観光にはどうにもタイミングが悪い。そういえば結婚前、はじめて二人で旅行しようかと計画していたときにも予定先の名古屋で洪水が……なんかそういう運命でも引き当てたのか。
そうすると梅雨が明ける6月下旬以降にした方がなにかと良さそう、ということで7月の第二週に計画を延期したところ、梅雨はさっさと明けて台風シーズンに突入してしまった。幸いにして台風は初週のうちに抜けてくれたので、飛行機が飛ばないとか着いても部屋から出られないといった事態にはならずに済んだが。

旅行代理店を比較する

知らない場所への旅行にあたっては、ツアーパックを利用するのが最も手軽ではある。旅券に宿の手配、現地の主要な観光地までの移動手段。ガイドされるままに動くだけでそこそこ満喫できる仕組みだ。
ただ、過去の経験から、時間単位で行動が決められているツアーパックはあまり自分たちに合わないことがわかっている。だいたい興味ある場所では圧倒的に時間が足りず、そうでない場所では時間を持て余すことになるので、「現地へ移動してあとは自由行動」な方が都合がいい。

というわけで旅行代理店各社で「航空券+宿泊」のみのプランを検索してゆく。
いくつかの旅行会社を見てみたところ、サイト構成が似通っているところが多い。恐らくは独自構築ではなく、旅行代理店向けのシステムが販売されているということだろう。
そうした会社は旅行プランについても提携先が少なめで、あまり選択の余地がないところが多い。「特定会社の旅行券を使う」などの目的(金沢の時がそうだった)でない限りは、大手に頼った方が何かと良さそうだ。

楽天トラベルは流石に自社製で、ホテルの一覧を「地図上に表示」する機能を持っているのは良い。ただ施設写真などはごく少数で、代わりに情報の少なさを補うためか動画で掲載が可能になっている。正直そう見やすいわけではない。

サイトの出来が一番良いのはJTB、流石は元国策会社だけあってシステム構築にもちゃんと金がかかっている。
出発日と帰着日を同じカレンダー上でクリックするだけで指定可能で、便の選択画面下に表示されるホテル一覧には多数の写真が掲載されて雰囲気も掴みやすく、「駅から徒歩5分以内」「夜景が見える」「温泉の泉質効能」など多彩な条件で絞り込めるのは流石(マップ上へのホテル一覧表示も可能だが、動作が重いのでオススメしない)。掲載件数も多く、ここ一社でほぼ用が済んでしまう感がある。
ただ料金は全体にやや高め。JTBで申し込むとホテルで特別なサービスが付いたり空港で専用ラウンジが利用できたりするらしいので割高なりのお得もあるようだが、今回のように素泊まりでの申し込みだとそのあたりはあまり効いて来ない。
また料金表示が総額ではなく「1名あたり」となっているので、他社との比較の際には注意を要する。

HISのサイトも基本的に出来が良く、必要な情報がよく纏まっている……のだが、微妙に「行き届かない」感がある。たとえば一覧画面からホテルを選択すると「プランが見付かりません」と出てしまう(「このホテルのプラン:n件」をクリックするとプランが出てくるのに)とか、写真の解像度が妙に低いとか、「もうちょっとメンテナンスをしっかり」と言いたくなる。
その代わりというべきか、JTBに比して1〜2割ぐらい安い。

一休.comなど、「宿」をメインとした旅行サイトもある。魅力的な宿ばかりであり、思い切ってリゾートを満喫するなら良いのだが、今回は宿より観光に重きを置くので需要と噛み合わない。

ホテルを選定する

沖縄はシーサイドリゾート地なので、ラグジュアリーな感じのリゾートホテルはだいたい海近くにある。空港のある那覇市とて海に面してはいるが、シーサイドのホテルはいずれも中心街からはやや離れた位置となりリムジンバスで送迎という感じになる。
そういうホテルの内装などを楽しみたいという思いもないではなかったが、我々はあまり泳ぎに興味がない。海を撮りに行くぐらいはしようと思っているが、積極的にオーシャンビューを求める必要もない気はする。
むしろ街中観光をメインに据える場合、ホテルは寝泊まりの場所と割り切って交通アクセスの良いホテルを当たった方が、何かと楽そうだ。

沖縄旅行で一番の懸念といえば交通である。旅行代理店のプランでは当然のように「レンタカー付き」が選べるわけだが、なにしろ我々夫婦は運転免許を持っていないので、「何をするにも車で移動」は困る。
しかし2003年に沖縄初の鉄道(と呼んで良いのかどうかはわからないが固定軌道旅客交通手段ではある)、「ゆいレール」が開通。 これで沖縄旅行もばっちり!……と思ったらゆいレール沖縄本島南西部の北側、つまり那覇市周辺しかカバーしてないようだ。
まあ未知の土地テラ・インコグニタなのでその範囲でもそれなりに楽しめるとは思うが、滅多に来れない場所であるからには心残りなきよう多くのスポットを巡りたくもなる。すると流石にゆいレールのみでは対応し切れまい。
当然ながら鉄道が未発達なぶんだけバス網が発達しており、少なくとも南西部地域の主要観光地はだいたい対応できるはずだ。どうやら本島北端地域を除けば、1日3000円でゆいレール・バス乗り放題券が利用できるらしい。
とはいえ「観光地までの交通に都合良いバス停が近い」かどうかを絞り込むのはちょっと大変なので、とりあえずゆいレールの各駅はそれなりにバスとのアクセスが良いだろうと推測し、細かい条件で絞り込めるJTBのサイト上で「駅から5分以内」のホテルをピックアップし、金額と設備のバランスを考慮しつつ「HOTEL AZAT」を選定。ゆいレール安里駅の斜向かいという近さで、これなら空港からの往復で荷物を抱えた状態でも、あるいは観光で疲れた足でも楽にたどり着けるだろう。

後からバスルートを調べたところ、主要なバスはだいたい旭橋駅前の「那覇バスターミナル」からの発着であるらしく、そちらに近いところの方が便利ではあったか知れない(その分宿泊費用も高いのだが)。まあ安里から旭橋まではわずか4駅なので大した違いはあるまい。

旅行の準備

沖縄の日差しは強烈だと聞く。現住な日焼け対策が必須で、暑いからといって半袖など以ての外だそうだ。というわけで白を基調としたUVカットの長袖を用意したい。汗もかくだろうから速乾性のもの、それでいてアウターとして着用可能なもの、ということでスポーツ用のドライメッシュTシャツと、上に羽織る白の長袖を用意。また折り畳みの日傘も準備する。
荷物はなるべく少なくしたいので、服は2日分。大抵のホテルにはランドリーがあるので、替えがあれば用が足りるはずだ。
泳ぐつもりはないので水着は持って行かないが、足を水に浸すぐらいはするかも知れないのでサンダルで行こうか。

暑さ対策

沖縄の気温は関東より低いというが、それは必ずしも「涼しい」ことを意味しない。日中の気温は30℃を越えているし、湿度も高めで、なにより日射しの熱量が高いので体感気温は決して低くはないはずだ。その中を出歩こうというのだから対策には念を入れたい。
飲料は現地調達でいいとして、体を冷やすためにPCMネッククーラーを導入。「猫舌のためのマグ」などで知られるようになった、「長時間一定温度をキープする」素材で、ひんやりする程度の温度を保ってくれる首輪である。

カメラ

夫婦とも写真が趣味なので、観光では撮影も大きな目的のひとつである。
旅行先へはそうたくさんレンズを持っては行けないし、過去に色々試した結果として付け替えの間にチャンスを逃しやすいので、なるべく汎用に使えるレンズで行った方が何かと良いことがわかっている。
妻のレンズは広角から中望遠、寄りの写真まで1本でこなす汎用レンズM.ZUIKO 12-40mm F2.8 PROなので付け替えの必要はないが、自分用にはそれに準じたレンズを持ち合わせていない。最近は標準と望遠のちょうど中間域にあたる程良い画角で立体的なボケがつくれ、寄りも充分にこなせる7artisans 35mm F0.95をメインに使っているが、流石に沖縄となれば広く撮りたい場面が多かろうと思われ、今回は思い切って新発売のLEICA SUMMILUX 9mm F1.7を導入してみた。
また、星空が撮れることを期待して軽量な小型三脚とソフトフィルターを用意。役立つといいが。

バッグ

観光中はなるべく身軽でいたい。
着替えと充電器、マスクなど消耗品は大きめのバッグに詰めて持ち込みホテルに置いてゆくとして、最低限持ち歩く荷物はカメラ+レンズ、iPad、財布、晴雨兼用の折り畳み傘、タオルハンカチ、ポケットティッシュ程度か。これらはいつも使っているショルダーバッグに入れる。
新たに導入した超広角レンズが画角の関係でフィルタ重ね付けできないため都度付け替えが必須で、また中望遠の方はセンサ焼けを防ぐためにレンズキャップが欠かせないので、それらを収納するために小さなポーチを追加。

観光先を調べる

いつものように鉄道駅起点ではなく路線バスでの移動がメインとなるので、行きたい場所へのアクセスは予め調べておいた方が良さそうだ。
というわけでガイドブックなどを参考に行ってみたい場所を拾い出す。メジャーどころだけあってあらゆる旅行ガイドブックから沖縄本が出ているので書店で見比べ、情報のバランスが良さそうだったJTB出版の「ソロタビ」を選出。一人で気軽な一泊二日からのプランを紹介、コンパクトながら必要な情報が読みやすくセンス良くまとまっている。

予めバスマップ沖縄から目的地までのバス路線と時刻表を調べ、独自の観光マップをまとめておいた(のだがうっかり持ってくるのを忘れた。まあ調べたことで頭に入っているので無駄ではないが)。

宿泊地域が那覇中心街、国際通り東エリアなので、主な行動範囲は本島南部〜中部エリアということになるだろう。
ただ、がっちりしたプランは組まない。どうせ当日の気分次第で予定など変わるので、あくまで「行ってみたい場所への行き方」程度に留める。