旅に軽量ミニ三脚を

旅行用の三脚を考える。
日帰りや一泊程度の短い旅行であれば三脚なんか必要ない。撮れる範囲で撮れば十分だ。けれど纏まった休暇を得てしっかり旅行するならば、なるべく多くを撮れるようにしたい。もちろん携行するレンズも限られるから本腰入れた撮影は無理でも、三脚のひとつぐらいはあったほうが良いのではないか。
夜景などの撮影用に軽量な伸縮式三脚は用意してあるが、これはあくまで三脚を使った撮影を目的として行動するときのためのものである。比較的小型軽量とはいえ、なるべく身軽にしたい旅行で携行することを前提としてはいない。
旅行用の三脚には、旅先で負担にならないサイズと重量に収まることが求められる。脚は伸びなくていい、カメラを手放しで安定させられれば十分だ。ただ、できれば雲台は自由の利くボールマウント、カメラとの接続は手軽なクイックシューにしたい。

実は、一台でそれをすべて備えた商品が既にある。

ULANZI MT-46

自重
335g
耐荷重
1kg
雲台
ボール
価格
4939円

アルカスイス互換のクイックシュー、ボール雲台を備えた三段伸縮式のミニ三脚。ポールを伸ばせば高さ32.5cmになり、脚を畳んだ状態ではグリップとして自撮り棒などに使える。

これで十分といえば十分だが、もう少し軽くすることは可能だろうか。できれば1万円を超えない範囲で済ませたい。

三脚

まずは軽い三脚を物色する。
以前に軽量三脚を探したときにも実感したが、三脚の重さは安定性とも直結しているので闇雲に軽くすればいいというわけでもない。とはいえ伸縮式の三脚とは異なり低い位置で使うものなら、重心がそう高い位置には来ないので軽くてもそれほど安定性が悪くはないはずだ。
どちらかというと耐荷重のほうが問題になってくる。超軽量の三脚はそもそもポケットサイズのコンデジやアクションカメラ、スマートフォンなどを想定していることが多く、1kg前後のカメラを支える性能がない場合もある。

DJI pocket2 micro tripod

自重
27g
耐荷重
250g?
雲台
なし
価格
3019円

細い金属の脚が開くだけの単純な機構であり、角度調節も何もない。その分だけ軽さとコンパクトさは飛び抜けており、全長わずか7cm、重量27gだという。
ただこれ、耐荷重がわからない。そもそもDJIのジンバルカメラに付属する超小型三脚であり、120gぐらいの小さなものを支える前提であってミラーレスを想定したつくりではないと考えるべきだろう。実際、脚の長さは5cmほどしかないので支えられる範囲も高が知れている。
類似した商品でJOBYのマイクロトライポッド https://amzn.to/3mo0Y9L というものもあるが、これも耐荷重250gということになっており、これもさほど違いはなさそうだ。
とりあえず今回の候補からは外す。

Manfrotto PIXI mini

自重
190g
耐荷重
1kg
雲台
ボール
価格
2864円

ミニ三脚の代表格。球の下に長楕円形の脚が突き出た見た目はちょっとタコっぽいが、要するにボール雲台とグリップを兼ねる脚を最小限にまとめたデザインである。
わずか190gと破格の軽さで、しかも耐荷重1kgと観光時のカメラ/レンズ構成なら十分支えられるだろうスペック。クイックシューはないが、本命といって良いだろう。

ゴリラポッド

自重
197g
耐荷重
1kg
価格
4140円
雲台
ボール雲台付属

言わずと知れたフレキシブル三脚の代表格。脚が曲がるため全長を縮めて収納することも可能で、柵などに巻き付けて固定することもできるので柔軟な運用が可能。反面、安定的に水平を確保するようなことはあまり得意でない。
耐荷重の違いでいくつか種類があるが、これは1kg程度を支えられるもの。

CHIHEISENN

自重
210g
耐荷重
2.5kg?
雲台
ボール
価格
1499円

商品名不詳。マンフロットPIXIのデッドコピーのようだが脚部が伸縮式となっている。耐荷重2.5kgとあるがちょっと信用しにくい……まあ1kgぐらいまでなら大丈夫なのかな……

Velbon M32 mini

自重
218g
耐荷重
1kg
雲台
ボール
価格
2374円

ミニ三脚にありがちな「カメラグリップとしての利用」を想定していないオーソドックスな三脚デザインだが、脚は伸縮しない。マンフロットPIXI miniの方が軽くてコンパクトなので、2割ぐらい安いことぐらいしか利点がない。

Koolehaoda MT-02

自重
360g
耐荷重
10kg
雲台
なし
価格
3980円

全長23cmほどのコンパクトな三段伸縮三脚。ローアングル対応と耐荷重は頼もしいが、雲台を付けると500g近くになってしまうこと、また脚を伸ばしても高さ33cmほどに過ぎず、いささか半端の感は否めない。大型のカメラ/レンズを運用しつつ大型の三脚を使わず軽量化したいときには有効か。

SWFOTO T1A12

自重
387g
耐荷重
5kg
雲台
ボール
価格
7200円

SmallRigのミニ三脚あたりのコピーという感じだろうか。URANZIのMT-46と比較すると高価で重く優位性はないが、SmallRigなどのしっかりしたミニ三脚よりはだいぶ軽い。雲台が水平回転可能で目盛付きなので、水平に振る撮影を想定するならば意義がある。

SLIK MEMOIRE T2

自重
125g
耐荷重
2kg
雲台
なし
価格
2255円

シンプルにただ水平近くまで開くだけのローアングル専用三脚。安価軽量な割に耐荷重が高く、軽量構成には最適だが、雲台もないため価格競争力の点では一歩及ばない。

VANGUARD VESTA TT1

自重
156g
耐荷重
2kg
雲台
ボール
価格
3423円

グリップにもなるローアングル三脚。軽量でボール雲台も付いており、耐荷重も2kgと申し分ない。クイックシューを含めてもURANZI MT-46より少し高い程度に収まるだろう。
Manfrotto PIXI miniと並ぶ本命。

雲台

カメラの向きを変更するための雲台が備わっていない三脚もあるので、軽量な雲台を探しておく。

SLIK SBH-61

自重
48g
耐荷重
1kg
価格
2355円

軽量なボール雲台。耐荷重がもうちょっと欲しいところかも知れないが、これ以上となると(主張の怪しい中国製以外では)どうしても重量が嵩む。

クイックシュー

三脚へカメラを取り付けるために雲台に備わったネジを使うと、つけ外しにちょっと手間がかかる。クイックシューは予め雲台側に台座を、カメラ側にプレートを、ネジ止めしておくことで瞬時に脱着が可能なようにしてくれるアイテムだ。
台形のプレートをネジで挟み込んで止める「アルカスイス」方式がデファクトスタンダードになっているが、これだと「下からネジで止める」代わりに「左右から止める」だけなのでイマイチ着脱が早くない。そこで最近はボタンやレバーひとつで着脱可能なジョイントが作られている。

ULANZI F38

MT-46にも付いているクイックシュー。アルカスイス型準拠のプレートにワンタッチ着脱の構造が追加されたもので、アルカスイス式のクランプを持つ製品に対応しつつF38の台座であれば瞬時の着脱ができる。汎用性を重視するならばこれが良さそうだ。

SmallRig Hawklock3513

小さなプレート下部に爪を持った円柱状の突起があり、これを台座がしっかり挟み込んで止める形式。安定性が高いが、突出部が2cmぐらいあるので若干気になる。

ULANZI F22

非常にコンパクトなクイックシュー。アルカスイス型のF38を小型化したような構造で、前後にスライドして固定する。SmallRigのものと違ってカメラ側のプレートが薄いので邪魔になりにくい。

ULANZI Claw

こちらもULANZIの小型クイックシュー。なぜ複数の規格を作ったのかは謎だが、こちらはF22と違って上から嵌め込む形。リリースボタンをスライドすることでロック可能。

Vlogger クイックリリースクラン

他社のものより台座・プレートともに薄く軽量だが、なぜか台座後端にプレート上端より飛び出た部分があるため取り付け位置によってはカメラ底面と干渉しそうな気がする。