オンセ向きのWebサーヴィス、オンセ向きのシステム

TRPGでは人・時間・場所の確保が結構な障害になる。放課後を自由に使えた学生時代ならいざ知らず、メンバーが社会人になってしまうと休日ぐらいしか時間がなく、家庭を持つとそれすら難しい。
でもオンラインなら、結構なんとかなる。場所は各自の自宅、時間は週末の夜。人数も、その時都合の付くメンバーだけでもやれないことはない。
そんなわけでオンラインでのセッションというのはかなり増えてるんじゃないかと思う。でも、オンラインセッションをやるためにはそれなりの準備が必要だし、システムにも向き不向きがある。
そろそろ、RPGオンラインセッションに特化したWebサーヴィスや、オンラインセッションに特化してデザインされたRPGシステムが出てきても良い頃じゃないだろうか。


RPGをオンラインで行なうために必要なものとは何か。
ひとつは、メンバー全員が相互に発言を配信する環境。これはまあ、チャットシステムがあればいいだろう。
ひとつは、キャラシートの作成・公開システム。単にシートを公開するだけならアップローダを使うなどすればいいけど、システムによっては非公開データ部分をGMにだけ鍵付きで送るなどの工夫が必要かも。
ひとつは、画像の配信システム。参照すべき図版とか、バトルフィールドとか。できれば直接加筆できるものがいい。
ひとつは乱数発生装置。ダイスなどが、コントロールされない状態で処理できるもの。まあダイスボットの類はいくつもあるから、どうにでもなるとは思う。けれどトランプやタロットを用いるものは少々敷居が高いし、独自カードとなると自作に踏み込まざるを得ない。また「手の内からカードを1枚出す」のようなリソース管理、あるいは「好きな目を伏せて出す」のようなプロット処理になると可能な環境が限られてくる。


裏返せば、システム上の難点がオンセ向きシステムを定義することにもなる。
乱数の処理が単純であるもの、隠された要素がないもの、戦闘に細かい位置管理などを必要としないものはオンラインで処理し易い。
ハンドアウトなども、他PLに隠しておく必要のないものならばGMからの提示も簡単に済む。


また、Webサーヴィスには単にシステムハンドリングのための機能だけではなく、オンラインならではの仕組みがあってもいい。例えばユーザデータにプレイを希望するシステムを登録し、ログオンした時に参加可能なセッションを提示し見知らぬプレイヤー同志のマッチングを助けるとか、セッションごとに他の参加者を非公開で評価するとか。またSNSなどを組み込んでセッション記録を公開したり、システムごとのノウハウやエラッタなどの情報を集約するなどのプレイサポートとか。


ただ、オンセ用Webサーヴィスというのはあくまで様々なシステムの共通点を元に汎用性を以て広く使えるよう設計されるもので、従ってそれに特化してルールシステムを設計してしまうと、TRPGの最大公約数的な味気ないものになりかねない。
そうではなく、オンセならではの仕組みを持った(しかし対面のセッションでも勿論機能する)ルールシステムというのはできないだろうか。


具体的に何か考えがあるわけではない。まあ大々的な展開を行なうならば、ある種のPlay By Mailのように大きな枠組みとしての世界を用意し、その上でのオンラインセッションを解放。GMが立てた卓に参加可能なPLが飛び入りして1回限りのセッションを行ない、運営がそれらを読みながら世界を書き換えてゆく……とか、あるいはMulti Table Sessionのようにエリア毎の担当GMを立てて卓を移動しながら相互に影響し合って固有の物語と全体としての大きな流れを作る……などの遊び方は不可能ではあるまいが、ここまで来ると単一のTRPGとしての機能とは言えなくなってくる。


なんにせよ、WebはTRPGにとってのフロンティアになり得るし、世界の拡がりに伴って新たな表現形式が必要となるだろう。10年後のTRPGは、誰も見たことのない形になっているのかも知れない。