Flashって必要ですか

要請を受けたので書いてみる。
iPhone/iPadFlashが採用されなかったことで盛り上がる不要論vs必要論。実際のところ、Flashがないとどれぐらい不便になるだろう。


まず、Flashの活用事例を考えてみる。

  1. YouTubeやニコ動などの動画共有サーヴィス
  2. ブラウザゲーム
  3. 映画やファッション系などでのプロモーション

あと何かあるだろうか。

動画

動画系でFlash Videoが活用されているのは、動画フォーマット回りの面倒なあれこれによるものだろう。動画は同じ系列技術でも形式に差があってプレイヤーごとの対応にバラツキが見られる。Flash Videoなら97%以上と言われる普及率によりファイル形式を気にすることなく再生可能だ。
まあMPEG動画なら基本的にどの環境でも対応可能だと思うが、生ファイルなので簡単にダウンロードされてしまうという問題もある。いやFLVだって簡単にダウンロード可能ではあるのだけど、その為の手段を用意せねばならないからちょっとだけ敷居が上がる。
あるいはストリーミング再生という手もあるけど、これはこれで専用サーバを要求される。まあ動画共有サーヴィスぐらいの規模で展開するならストリーミングサーバぐらい安いものだろうとは思うけど。
なんにせよ、この分野ではFlashが優位にあることは間違いない。


余談ながらこの件ではFlashのバグなのか動画サイト側のバグなのか知らんが記憶領域設定を求められてプレイヤーが表示されなくなる事例がある。解消のためにはAdobeのサイト上でFlashのグローバル記憶領域に関する設定を変更せねばならない:なんで自分のPC上のみで設定できないんだか知らんが不便な構造だ。

ゲーム

ブラウザでプレイ可能なゲームを作ろうとするなら、JavaFlashぐらいしか手がない。優位性には差がないと思うんだけど、グラフィカルな表現に特化したFlashの方が動作も軽く、綺麗であることが多いようには感じられる。ゲームのインタフェイスに於いてはその辺かなり重要な要素なので、結果としてJavaゲームよりFlashゲームの方が有望と言える。

プロモーション用

「楽しませる」「驚かせる」「人目を惹く」要素の強い分野では、様々なインタラクションを仕掛けることのできるFlashに優位性がある。この方面を他の技術で代用するのは困難だろう。

Flashを使うべきでないもの

以上3パターンがFlashの有効利用事例である。が、実際にはこれに留まらずFlash使用サイトは存在する。
悪い例を挙げると、

メニュー部にFlash

メニュー部分はそのサイトのナヴィゲーション・インターフェイスであり、これを頼りにページを遷移してゆく部分だ。Flashがないとメニューが使えないようでは根本的にアクセシビリティに欠陥があると言わざるを得ない。

広告にFlash

そもそも広告自体が利用者から見れば邪魔なものに過ぎないのだが、それに無駄なアニメーションなど付けて処理を重くするのは基本的に愚行。

Flashの代替

Flash未実装の環境で上記の機能を代替するとしたら、どのような手段になるか。
iPhoneの事例を考えると、まず動画は専用アプリで解決している。本家サイトの持つ機能がフルに使えるわけではなく不十分ではあるものの、最重要な部分だけはクリアできているのでまあ及第としよう。
ゲームそのものはアプリで多数登場しており、無償のものも多い。「ブラウザゲームiPhoneで」という要求を満たすことはできないものの、「iPhoneで無料ゲーム」については問題なく実現できる。概ね及第と言えよう。
最後の、プロモサイトだけはどうしようもない。もっとも、その手のサイトでもFlashなし環境を前提にHTML版を用意するなどの措置を講ずるのが一般的であり、その場合は問題なく閲覧できる。またプロモの目的などによっては専用にiPhoneアプリを無料公開するなど、別方向の楽しみを提供する場合もある。


結局のところ、Flashを使うことそのものが目的なのではなく、Flashを利用して提供されているもの、またはその代替となるものが得られるかどうかの問題ということだ。