今や据え置きゲーム機というものの立場は些か危うい。
携帯端末が高性能化し、一昔前の据え置き機に匹敵する性能を持つようになってくると、「テレビの前に縛られる」据え置き機よりも「いつでもどこでも遊べる」携帯機の方が優位になるのは当然のことだ。それすらも徐々にゲーム専用機から汎用携帯ハードウェアに移行しつつあるのかも知れないが、現状ではまだ「ゲームに特化した設計」の優位性が揺らぐほどではない。しかし据え置き機の方は、「それならPCでもいい」し、PCでは高くつくほどのスペックを要求するようなゲームとなるともう完全にマニアの世界になってしまっている感がある。
まあそれでもマニア向けであれゲーム需要があるプラットフォームなら、それはそれで当面生き残るだろう。問題は携帯ゲーム機と競合してしまうライト向けの方だ。
ゲームを「友達と一緒に遊ぶ」子供は多い。マンションのエントランスや公園などで3DSやPSPを持ち寄って遊ぶ姿がよく見られる。
携帯機では手軽にできることが、据え置き機ではできない。ならば据え置き機なりの価値というものが必要だ:それも「マニア向け」ではなく「子供向け」な方面で。
据え置き機の優位性といえば第一にネットワーク接続だ。携帯の場合はWi-Fiの導入が必須だし、ネットワーク接続設定をしなければならない。大人ならば自力でできることでも、子供に買い与える割合の高い携帯機の場合は親がそこまで面倒を見ていない事例がとても多い。しかし有線のネットワーク環境ならば今時分だいたいの家庭にあるので、有線で行ける据え置き機はネットワーク接続率が高い。
据え置き機が携帯機との通信機能を受け持ち、有線を介して携帯機を簡単にネットワーク接続させられるならば、携帯機の遊び幅が据え置き機によって広がると期待できる。
……が、単にそれだけなら他にもっと安く済ませる方法もある。敢えて据え置きゲーム機を追加購入しようという気にさせるには、これでは足りない。
そこで、「据え置き機が携帯機の結節点として機能し、複数人での遊びを広げる」方向について考えてみた。
だいたいの3DS用ゲームでは同時参加人数が4人程度となっている。通信機能の限界なんだろうか。PSPのアドホックでは8人まで行けるようだが、たとえばこの人数を「据え置き機がサーバとなる」ことで拡張することは可能だろうか。
もっと発展させてみよう。たとえば「誰かの携帯機のデータにみんなが集まる」形ではなく「据え置き機に共有のワールドデータを置き、各自がそこを発展させる」ような方式はどうか。Minecraftのマルチプレイサーバのようなイメージで、必ずしも同時プレイでなくても「一緒に遊ぶ」が実現する。
更にもう一歩踏み込むなら、いっそ「複数のゲームがひとつのワールドに接続する」なんて方式でもいい。たとえば「どうぶつの森」で接続しに行くとワールドに村が増える。「ニンテンドーランド」なら遊園地が。「A列車」だったら都会が発展したり線路が敷かれたりするかも知れない。また各ゲーム側もこの「ワールド」から何らかのフィードバックを得る。たとえばどう森の村を訪れる動物が増えたり、路線利用者が増加したりといった変化が発生する。
「たくさんゲームを買って接続する」ことでワールドが発展してゆくし、同じゲームでもセーブデータの進行度が上がるとその変化が反映されたり、逆にワールドの発展がゲームへ影響もするので「たくさんのゲームをやる」動機になる。併せて任天堂発表のように「たくさん買った人には1本あたりの販売価格を下げる」DL販売方式ができれば、多数購入多数プレイが加速するかも知れない。