フォントのアンチエイリアス表示に納得しない人たち

以前アンチエイリアスは情報量を増やす - 妄想科學日報を書いたとき、ブクマコメントで「Osakaの10ptでのビットマップ表示が一番読み易い」という所が強調されていた。まあ確かにそうは書いたが、これだけ見るとまるで「ビットマップフォントが最も読み易く、アウトラインフォントのアンチエイリアスなしが最も読み難い」という結論であるかのように見える。実際にはビットマップフォントが読み易いのは最適化された限定サイズのみ、サイズを限定できるシステムフォントなどにはまあ良いとしても表示環境を限定できないWebや印刷利用も視野に入れた文書ファイルなどでは使い勝手が悪いので、その辺考慮するとアンチエイリアス処理+アウトラインフォントが最も適している……という話なのだが。
同じ人がフォントのレンダリング - 鍋あり谷ありのブクマコメでも「10ptで比較したらビットマップの方が」と発言。しかしこのサンプルでは敢えて画数が多く潰れ易い文字を比較用に入れているので、アンチエイリアスなしの10ptあたりでは黒潰れもしくは歯抜けが多くなんだか判らない。
そういうことまで視野に入れてなお、「ビットマップが最高」と言えるのかどうか。


それはそれとして、印象で言えばビットマップ表示が一番くっきりしているとは思う。このサイズでは細目のフォントだと線太さが1px未満となりアンチエイリアスをかけると100%塗り潰しで表示される部分がなくなってしまい、全体としてぼやけた印象を受けがちである。
これを解消するには、ディスプレイの画素密度を向上させるしかあるまい。1pxのサイズがごく小さければアンチエイリアス表示でも線が100%塗り潰し状態を保つことができ、くっきりとした印象を与える。その上で細部が滑らかに表示されるから画数の多い文字も潰れずに読めるし、ルビのようなごく細かい文字もきっちり視認できる。
現在普及している液晶がそれほどの解像度を持たないのは多分製造コストの問題なのだと思うが、では技術的にどの程度まで微細化可能なのだろうか。
限界は判然としなかったが、「ウチだけだったので驚いた」――開発陣に聞く「N903i」のVGA+ディスプレイ (1/2) - ITmedia Mobileあたりでは332ppiを実現。印刷に供する写真の解像度が350dpi程度なので、ほぼ匹敵する密度、つまり印刷物に近い微細表示となっているわけだ。
丁度職場に実機をお持ちの方が居られたので拝見したが、確かに細かい。どれぐらい細かいかと言うと、定規の1mm単位を示す細線、あれの半分以下がくっきり出る細かさ。もはや1pxの見分けは不可能である。
これぐらいの密度がPC用ディスプレイにも欲しい。