このところ夫婦で散歩促進のために遊んでいる「信長の野望 出陣」で北陸行きの新幹線乗車キャンペーンが実施され、またそのタイミングと重なるようにしてリドラのポケモン謎解きが福井県で開催されたので、北陸新幹線で福井を観光してきた。
⋯⋯後でよく見たら信長出陣のキャンペーンは北陸新幹線じゃなくて上越新幹線だったわけだが、まあそこはそれ。
北陸新幹線
実は東海道新幹線以外の新幹線にはほとんど乗ったことがない。 とはいえ新幹線規格自体は同一だし、そう極端な差があるわけではないだろうけれども。
大宮駅のホームにはなんとホームドアはおろか柵すらない。新幹線を撮りたい人にとっては嬉しいが、仮にも高速鉄道線でそれ大丈夫なのか、ちょっと心配にもなる。
E7系は東北新幹線と共通だそうで、各車にスキー板などの積み込みを意識した荷物ラックが設置されている。座席は赤+黒を基調としたカラーリング。結構ゆったりしていて、前席がシートをリクライニングしても圧迫感がない。「東海道より間隔広い?」と思ったがサイズは同一らしい。
各席にコンセント。東京発だが管轄はJR西日本なので周波数は60Hz。
東海道新幹線では廃止されてしまった車内販売が健在なのは嬉しい。シンカンセンスゴイカタイアイスの苺味を食べる。
GPS位置情報ゲームを新幹線乗車中に遊ぶのは初めてだったが、思ったより遊べた。
信長出陣は「一定区域内にいる間にタッチする」ことで領地を所有してゆくのが基本操作となるが、移動中など操作できない状況でもプレイできるよう委任機能が実装されており、これを利用することで新幹線の移動速度でも問題なく領地が確保できる。
ただし、自動処理のみでは領地の読み込みが追い付かないため、頻繁に手動でマップ表示を切り替えて読み込みを促す必要がある。また駅間が非常に長いため通過区画数も多く、たとえ登録枠を拡張していたとしても次駅までに満杯になってしまうので多数の取り零しが発生することは免れ得ない。
なお、 信長出陣ではマップ上で自分の周囲一定範囲内に表示されているオブジェクトを取得することもできるのだが、こちらは移動が速すぎて読み込みが間に合わず、たとえ表示されても一瞬で範囲外になってしまうため、停車駅周辺以外ではほぼ機能しないと考えるべきだろう。
些か予想外だったのはトンネルの多さだ。
日本アルプスを突き抜けるコースを取る北陸新幹線は、全新幹線路線中でもっともトンネルが多く、北陸新幹線のトンネル一覧に拠れば(この表では金沢までしか書かれていないが)全区間のうち48.2%、実に半分近くがトンネル内ということになる。
とりわけ長野県の安中榛名駅〜軽井沢駅間に至っては90%以上がトンネルのみでほぼ地上に出ることがなく、また新潟県内を通過する区間もその75%ほどがトンネル内という、ほとんど地下新幹線である。そのためGPSが位置情報を拾えず、区画取得が飛び飛びになってしまう。
総じて北陸新幹線は、新幹線の中ではイマイチ位置情報ゲームに不向きな路線だということになる。
まあそれでもプレイ開始から今まで行けていなかった長野・新潟・石川・富山の各県について1%以上の取得率を達成できたので、リアル遠征としては概ね成功と行って良い。
福井駅
JR福井駅は地方の新幹線駅としては標準的な構造で、2階が新幹線および在来線ホーム(北陸本線を3セクに分割譲渡した「ハピラインふくい」)、地上階は駅の東西を繋ぐコンコースと、改札に隣接する土産物・飲食などのショッピングエリア「くるふ」という構成になっている。
また駅舎の外には2系統の私鉄ホームが接している。
旧福井城址である福井県庁や福井市役所などがあり大型商業施設の多い西側エリアには県中南部までの路面電車である福井鉄道、東側エリアには北部および東部へ伸びる単線のえちぜん鉄道ターミナルがある。
着いた日は城の周辺でなにやらフェスが開催されていた。
くるふに入っている魚屋「魚廣」の惣菜が美味しそうだったので、コンビニで買った塩おにぎりを添えて昼食に。
なお寿司イートインも併設しており、日本海の海の幸を堪能できる。
恐竜
福井では県を挙げての恐竜推しを行っており、駅内や周辺では至るところに恐竜があしらわれている。
これは県東部の勝山地域に中生代地層である「手取層群」が露出しており多数の恐竜化石が発掘されていることによる。
日本ではアンモナイトなどの海棲生物や首長竜・魚竜など海棲爬虫類、あるいはもっと後世の哺乳類化石などは多く出土しているものの恐竜の化石はなかなか見つからなかったのだが、近年になって恐竜化石の発見が相次ぎ新種として登録されたものが13種存在し、そのうち半数近くにあたる6種は福井県勝山地方の手取層群から発見されている。また骨の一部に止まらずほぼ全身の骨格が発見されるなど保存状態も良く、それゆえ県は恐竜専門の博物館を建設して観光の目玉として宣伝しているのだ。
駅前のこうした恐竜展示はその宣伝を兼ねているのだろう。
そのほか、駅ビルには壁を壊して飛び出してくる恐竜のトリックアートも描かれていた。
駅前広場の動く恐竜像は現在も拡張工事中で、まだまだ種類が増えるらしい。
駅ビルの西側には大階段があり、どうやら福井を舞台としたアニメが始まるらしく、その宣伝パネルが飾られていた。
その下は観光案内所、2階はカフェになっている。
これは観光案内所で販売されていたもので、お菓子や乾物類とその産地ガイドブックをひとつにパッケージしたアイディア商品。
屋上は恐竜広場になっていて、こちらにも複数の像が。
屋上に寝そべる恐竜の子供にはQRコードが添えられており、専用のARアプリで読み込むことで画面内に親恐竜の姿が描写され、サイズを比較することができる。
なお博物館は化石の発掘現場に近い勝山地域にあり、福井の中心部からは些か距離がある。鉄道でおよそ1時間、そこから更にバスというルートで、今回は謎解きメインということもありそちらまで回る時間がなかったので見送り。
謎解き
今回の主要な目的であるリドラの謎解き「カイリューと謎解くフクイタビ」はえちぜん鉄道とのコラボで行なわれる。
えちぜん鉄道は福井駅から北方向に海へ走る三国芦原線と、東方向に山へ走る永平寺勝山線で構成される1〜2輛編成の単線鉄道で、駅の多くは無人駅となっている。
9月現在ではICカード非対応で紙の切符に入鋏が行なわれているが、10月よりICカードへ切り替えが行なわれる予定。
謎解きキットはJR福井駅の東側に隣接するえちぜん鉄道福井駅内のカフェで購入できる。行き先はキット内で予め示されており、それぞれの路線名に代表される三国芦原線の三国・あわら湯のまち駅、永平寺勝山線の永平寺口・勝山駅の4コース。
各地点での謎解きに要する時間はだいたい30分〜1時間程度だが、福井駅から各駅への移動は片道1時間ほど、また列車の運転間隔は30分ごとのためスケジュールには注意。
なおキットには1日乗車券が付属しているが、回り切れなかった場合は土日・祝日のみ1200円で1日フリー切符が販売されている。
よほどテンポ良く解かない限り、到着して30分以内に解き切って次の便で移動するのは少々難しいのではないかと思われ、1駅あたりの滞在時間は1時間ぐらいになる。同路線の2駅間での移動は10分ぐらいで済むとしても、2駅それぞれに1時間、終点までの往復に2時間とすれば1路線で最短4時間。両路線を1日で終わらせるなら8時間はかかると思って準備されたい。
会期中はカイリューのラッピング車両も走行しておりポケモン好きにはなかなかそそるイベントになっている。カイリューのTシャツやぬいぐるみを身につけた参加者の姿も見られ、ファンを集めることには成功している⋯⋯のだが、その割にコラボグッズを取り扱ったりするような商売っ気が見られず些か心配になる。もうちょっとあざとく売り込んでも良いのでは⋯⋯
三国駅
三国芦原線の終点ひとつ前である三国駅は、えちぜん鉄道の中では大きな駅で、2018年完成の新駅舎はゆったりした待合室とカフェ、アクセサリーショップを伴う洒落た雰囲気。
一面の田畑を行く長閑な路線だが、このあたりはちょっとした町で、近くには大正時代の銀行だった赤煉瓦建築なども残っている。
雪国仕様の民家も雰囲気があって、ついあちこち撮ってしまう。
夕景が撮りたかったので、河岸沿いに一駅先の三国港駅まで歩いてみた。
夜漁なのか、日没が近づくと船が一斉に出てゆく。
三国港駅は雰囲気ある木造の駅舎だった。
駅手前の、橋をくぐる短いトンネルは、アーチ部分にレンガを斜めに積み上げる「ねじりまんぽ」構造。
一駅だけ乗って、ホテルのある三国駅へ帰る。
あわら湯のまち駅
芦原(と書いてあわらと読む)は温泉街で、JR芦原温泉駅は北陸新幹線の停車駅にもなっている。
えちぜん鉄道のあわら湯のまち駅はそこから4kmほど離れたエリアで、数少ない有人駅のひとつ。
駅前にはちょっとした屋台村と足湯コーナーもある。
訪れたときはまだ日中だったが、夜になると提灯が灯って雰囲気が変わりそう。
宿泊
福井駅を起点とした謎解きのために宿泊するならば福井駅付近のホテルが便利ではあるのだが、日本海に面した福井県の売りの一つは水面に映える夕陽ということで、全室オーシャンビューを謳う三国の観光ホテルに宿を取った。
breezbay-group.com
海に面したホテルなのかと思ったら、港からは一駅離れて小高い丘の上にあるホテルだったが、西に面した窓が大きく取られ九頭竜川の河口から日本海が大きく見える、言に違わぬオーシャンビュー。
まあ写真に撮ると海ちょっと遠く見えるが、手前に九頭竜川の水面もあるため夕日の照り返しは存分に堪能できる。
また廊下に面した東側にも大窓があり、 こちらからは真言宗総本山成田山の福井別院越しに福井平野の日の出が見渡せる。
なお、このあたりは店数も少なく閉店も早いため、食事については駅前のコンビニで弁当を調達しておくか、あるいはホテルをビュッフェ付きプランで予約されることをおすすめする。
龍翔博物館
ホテルのすぐ隣には、明治時代に建てられた八角形4階建ての洋式小学校を再現した素敵な建物「龍翔博物館」が建っている。
素敵すぎて沢山撮ってしまった。
生憎と再現されているのは外観のみで、本来の木造4階建構造ではなく鉄筋コンクリートだが、内部は郷土博物館とトリックアート美術館として利用されている。
郷土博物館はともかく、トリックアートの方はなんなのかというと、近くにある明治時代の重要文化財(三国突堤)を設計したオランダ人技師G.A.エッシャーが、同時期の西洋建築である龍翔小学校の設計者でもあるのではと思われており(のちにエッシャーではなく大阪の柳自知という人物の設計であったことが判明した)、そのG.A.エッシャーの息子というのが騙し絵の画家として知られるM.C.エッシャーであることから、「特に関係はないけどトリックアート」という⋯⋯
ともあれトリックアートの方はさほど凝ったものではなく、どちらかというと「郷土博物館に興味ない子供を遊ばせる仕掛け」ぐらいのものに過ぎなかったが、ちょっとした遊び道具として大型のピープ・ショウ(切り抜かれた情景を重ねて奥行きを演出する、紙製の仕掛け)が展示してあったりするのは好ましい。
むしろ常設展示品である「
「ネットでよく見る錯視」の画像がずらりと並べてあると思ったら、まさかの錯視画像を作った当の本人(立命館大学教授 北岡明佳氏)自身の作。
だが一番感銘を受けたのは同コーナー内に展示してあった明治時代の「透影はかき」、表に昼の絵が描かれた絵葉書の裏に夜の影が印刷され、光に透かすことで夜景へと変わるポストカードである。葉書コレクター垂涎の一品だとかで、ネットで検索しても透かした状態が出てこないのだが、それをバックライトのON/OFF切り替えで見せてくれる。これだけでも訪れた価値があったというもの。
土産物として量産された印刷物のため、そこまで希少性の高いものと思っておらずちゃんと撮ってこなかったのが悔やまれるので、同行していた妻の撮った写真を借りる。
ギミックがおわかりいただけるだろうか。
東尋坊
恐竜博物館と並ぶ福井の観光名所といえば東尋坊である。自殺の名所として、また刑事もの2時間ドラマの終着点としてお馴染みの場所だ。マグマが冷え固まって柱状の摂理を見せる地形は各地にあるが、東尋坊のそれはひとつの柱状節理が数mもの幅を有するのが特徴で、これほど大きなものは世界的にも3箇所しか例がないのだという。
三国からはバスで15分ほど。
バス停から土産物屋の並ぶ道を5分ほど歩くと崖上に出る。全域が国定公園であるため、基本的に柵などが立てられないそうで剥き出しの崖であるので十分注意されたい。
崖下への階段はあるが、古い時代の整備につき足元は決して良くはない。
1800円で30分ほどの遊覧船があり、すぐ近くの無人島である雄島と併せて洋上からガイドしてくれる。
船を降り、崖に一番近いカフェでアフォガートをいただく。
近くには松島越前水族館があるが、今回は寄らなかった。
芦原温泉駅
帰りは三国に戻らず、バスで芦原温泉駅へ。ここからはハピラインふくいで福井駅へ戻れる。帰りの新幹線は芦原温泉駅にも停まるので戻らずここから乗っても良かったが、福井駅で買いたいものもあったので。
駅前施設「アフレア」は基本的にはちょっとした催事スペースのようなものだが、併設のカフェは温泉街らしく銭湯をモチーフとしたデザインで、料理も美味しかった。
名物であるおろしそば・ソースカツ丼のセットと、名産の厚揚げを用いたオリジナルの厚揚げバーガー(バンズの代わりに厚揚げに切れ目を入れ、炒り卵・ライスコロッケを挟んでいる)をいただく。
土産
福井駅の「くるふ」で土産物を買う。
金花堂はや川の「羽二重くるみ」は福井名産の羽二重餅(要するに求肥である)に胡桃を混ぜ、またシュー皮で挟むことでくっつかず手に持ちやすくしたもので、福井駅ではコンビニでも個売りしていた。
越前田村屋の手押し焼き鯖寿し、正直なところ鯖は臭みが強い印象であまり好きな魚ではないのだが、試食があまりに脂乗りが良く美味かったので帰りの駅弁として購入。