バグの副作用として

ソフトウェアのバグは排除されるべきものだが、現実問題として多機能なソフトウェアからバグを取り除くのはほとんど不可能なので、ありとあらゆるソフトウェアには何らかのバグがある。
問題は、そのバグが度を越して多い場合だ。


度を越して、というその度がどの程度なのかという判断は難しいが、概ね発生頻度とその影響で計ることができるだろう。発生したが最後強制的に終了する以外ないような致命的なバグは発生頻度が低くても印象に残るし、そこまで酷いバグではなくとも日常的に遭遇するのは鬱陶しい。
しかし、バグが本当に厄介なのは、バグ自体の被害よりもむしろユーザに与えるソフトウェアへの悪印象ではないかと思う。


様々に不具合が残ったままリリースされたソフトウェアを使用していて問題に遭遇した場合、ユーザはたとえそれが自身の操作ミスによるものであるとしても、バグではないかという疑いを抱いてしまう。
それがユーザサポートなどに連絡され、結果として自身のミスであったと理解されるならば大きな問題にはならない*1けれども、単にユーザグループなどで「バグだ」と発言されるに留まった場合、ありもしないバグ情報が増加し、結果として更なる悪印象を呼んでしまうかも知れない。
悪印象のポジティヴ・フィードバック*2である。
また、技術者から見れば自分の責任でない部分の不具合でも、ユーザにとっては判断付かないという問題もある。たとえOSのバグに起因する不具合であっても、ユーザになんとかする手立てがない以上、実装上はそこを避ける手段を講じるほかない*3


まあ制作サイドで回避できる問題ならば良い方だ。実際には手の届かない範囲で問題が発生し、解決策がないという場合だってある。例えば……回線事業者のトラブルで接続できないWebページとか。
本当は、ユーザ側でも原因がどこにあるのかある程度調べられる知識があると良いのだけれども。

*1:そのような誤操作が頻発するとすれば、それはそれで設計に問題があるとは思うが

*2:悪印象なのにポジティヴという表現には違和感があるかも知れないが、ここで言うポジティヴとは正方向の、即ち増幅されるフィードバックという意味。逆に抑制されるのはネガティヴ・フィードバックという

*3:正直言ってIECSSレンダリング不具合なんかに一々対応したくはないのだが、ユーザにしてみれば「Webページが正常に表示されない=Webページ制作者のミスであってブラウザのバグとは考えてくれない/或いは「どっちでもいいから何とかしろ」と言う