鉄道は点、自転車は線

鉄道を移動手段に使っていてつくづく感じるのは、それが点と点を結ぶ移動手段であるということ。乗車中、客は実際の地理をあまり意識することがない。精々窓外の景色を認識する程度で、それが平面上のどの地点なのかがよく解らなくなる。実際、私は中目黒と渋谷が歩いて移動可能なほど近いということを知らなかった。それまでの認識では、この2駅はまったく異なる系列の路線の終着駅であり、必然的にその距離は結構離れているものと思っていたのだ。
歩行、自転車、あるいは自動車などでの移動ではこうした誤解は発生し難い。とりわけ日常的に使うルートでは、移動中の景色を記憶するのみならず状況に応じて他の道を通ることになるため、平面的に付近の地理を認識してゆく。当然と言えば当然ながら、急速に通過するより周囲に目をやりながらゆっくり移動する方が認識でいる情報量は多いから、自動車よりは自転車、自転車よりは徒歩が望ましいことになる。ただ、徒歩の速度で長い距離を移動するのは体力的にも時間的にもかなりキツいことになるから、こういう用途にはあまり向かないが。


道を識らずに歩いて移動することはできない。不測の事態により徒歩で帰宅せざるを得なくなったとき、電車通勤組は果たして正しい帰路を見付け出すことができるだろうか。
普段から通勤手段として使う必要はないが、一度くらいは自宅〜職場間を徒歩または自転車で移動しておいた方がいいのかも知れない。
事故に対して用心深くなるのと同じ程度には、災害に備えて準備しておいて損はないだろう。