共産的資本主義(という妄想)

経済システムとしての共産主義が破綻するのは、あまりに善性を盲信し過ぎて集権による腐敗や怠け者の存在を防止する方法を持たないからであるが、一方で資本主義というシステムは激しい資本格差を引き起こし、平等な前提条件の元の健全な競争が成立しない点でやはり破綻している。中国が実質的に資本主義であることや、先進各国で不就労者が増加していることからもこれらは裏付けられよう。


資本の格差が労働のコストパフォーマンスの差となって顕現し、条件の良い職は供給過剰であり失業者が溢れるというのに、一方で条件の悪い職では需要をまったく満たせていない。
ここで労働の意味を金銭価値のみならず消費時間や遣り甲斐などを含めた総合的な指標で判断することで、このアンバランスを解消する案を検討する。
評価すべき指針とは即ち需要と供給のバランスである。職種ごとの人気は金銭的な条件以外にも労働環境や好みが大きく影響すると考えられるが、環境と好みを左右することは不可能であるので、唯一調整可能なパラメータである賃金をコントロールすることで供給バランスをコントロールする。
つまり、需要の割に供給が多い職ほど賃金が低く、逆に需要に比べ供給が少ない職では賃金を高く設定することで全般にわたり就労バランスを調整できるのでは、ということである。
実行するには労働状況チェックの上で国が細かく賃金を決定、それを企業に遵守させねばならないが、賃金はそのままコストに反映されるわけだから、ただ強制するわけにも行かない。少なくとも高額賃金職種に対しては何らかの補助が必要だろう。不人気職種では税金も割安になるとか。
また、単に現状の需要/供給バランスから一意に賃金を決定すると、今度はその反動で大きくバランスが変動しすぎることも考えられるので、何らかの再帰的なフィードバックが必要なのだろうけれど……その辺のアルゴリズムは本筋から外れるので割愛。


実現すれば、例えば高額賃金の職に週1日だけ就いて他の日は自由に過ごす(=時間を買う)とか、好きな職種に就くが賃金が低くてそれだけでは成り立たないので、副業として高額職にも就く(=趣味を買う)とか、そんな労働形態が広まるかもしれない。