中国は本気だ

神舟7号による船外活動の成功、及びそれに続く月面有人着陸計画の発表。中国は本気だ:多分、アポロ計画を実施した時の米国ぐらいに。
中国全体としての工業技術力平均は決して高いものではないが、先端としての科学技術力は結構なものだ。これはアポロ以前まで宇宙開発をリードしていたソ連によく似ている。先進国であれば底上げによる格差解消を狙うところが、むしろ大多数を放置してでも上位を引き上げる方に向いているあたり共産主義らしい。
とまれ、トップダウンによる強力な推進作用と投入可能な資本により、中国はアポロ以来足踏みを続ける米ソに代わり一躍「月に最も近い国」となった、のかも知れない。いやもしかしたら火星にだって。


無論、技術的優位は未だNASAの側にあるだろう。しかし(アポロの例からも実証されたように)真に重要なのは現在の技術水準ではない。今すぐ物にならぬ研究に大枚を投入できる意志力、20年先、50年先を見据えた超長期的視野と不退転の決意こそが必要なのだ。
この点、最長8年しか任期のない大統領制では厳しいものがある。だからこそアポロ計画一点豪華主義の短期決戦仕様だったのだが、こういう国政を左右するような大規模公共事業の類はある意味で任期の心配をする必要のない社会主義国家的システムの方が適しているのかも知れない。