法案に投票したい

今回の選挙は自民党が分裂するという前代未聞な状態であるが、この騒動を見るにつれ、つくづく候補者もしくは所属政党という大枠に対する投票システムへの不信感が募ってくる。


凡そすべての意見に於いて信頼に足る人物など、まずいない。烏合の衆たる党ともなれば尚更で、個人の鋭い意見は軒並み削り取られて箸にも棒にもかからないような方針だけが残るのが常である。
そんな状態で、個人にせよ党にせよ、それを任期いっぱい信頼する前提で投票するなんて無理というものだ。
ではどうすれば良いか?投票対象の細分化を!


例えば小泉純一郎を、私は強力な実行力と壊死組織をざっくり切り捨てる強引な改革路線で好意的に評価しているが、一方で軍国主義的嗜好を大変危ぶんでいる。これを総体として捉えてしまうと、肯定も否定もし難い。
政党に至っては、個人よりも更に信頼が置けない。
例えば、自民党は党方針として郵政民営化推進の方向で行くようだが、内心では異を唱える構成員も多かろう。大っぴらにそれをやった人々は公認を取り消されたが、恐怖政治が怖くて黙っているだけの人がまだ残っていても不思議はない。そうすると、仮令与党の座を守り切ったとしても、その後(今回そうあったように)造反して法案否決に回る可能性だって十全に考えられる。
逆に野党という立場から民営化に反対する党も、個人としては賛成という議員だって少なくないかも知れない。
そんな状態で方針を信じることができようか。


組織票を集めるためのシステムとしての「党」が政治を停滞させている。数の暴力により声の大きい者の意見だけが通り、少数意見は黙殺される。そんなものに頼らずに、一人一人が意見を戦わせてはどうか。政治とは技術であるべきではない。信念であるべきだ。
だから、常に争点を明確化し、最終決議を国民投票で決めるようにしたい。「決議する代理人」としてではなく「立案する代理人」としての政治家を確立し、決議そのものは国民自身が直接行うシステムに。
それは不可能なことなのだろうか。