海洋SF

先日久しぶりに書店に出向いたので色々購入。

全部SFだが、プラネテスを除く3冊は海洋モノ。私の趣味などという恣意的なものが関与しているにしても、これはちょっと珍しいほど高い密度ではあるまいか。
海は宇宙と並んで想像の余地の多い(=未知の部分が多い)フロンティアであるが、SFが扱う割合は多分7:3ぐらいで宇宙の方が多い。蔵書をざっと見ても、他に海を舞台としたSFと言えるのは上記に加え日本沈没とスタンダード・ブルーぐらいのものだろうか。対して宇宙モノは…え〜、野尻抱介だけで10冊(同一シリーズで7冊を含むが)、その他21冊(今ぱっと思い出したものだけで)。
この違いは何が原因なのだろう。技術的困難も想像の余地も、同じほど大きいものだと思うのだが。


さて、それぞれについて感想など。

プラネテス

これで(取り合えず)終わってしまうのが勿体無いほど気持ちいい終わり方。宇宙以外の全てを捨てようとして全世界に対し攻撃的になっていたハチロータが悟りをひらくまでの話、とみても良いのだけれど私の心はロックスミス氏へ。生に理由を求めず、死に意味を見出さず、ただ夢のためだけに現実を見据えつづける姿が素敵。敵を作り続けながらもそれを気にも止めない図太さは羨ましい。
全人類が博愛主義ならば争いは起こらないだろうけれど、全人類が人を気にかけなければやはり争いは起こらないと思う。どちらも来るべき日の人類の姿なのかも知れない。

ダークウィスパー3

前作から随分経過して、暫く状況が思い出せなかった。相変わらずコマ割りという概念が希薄で、時間経過を一つのイラストに押し込めるような書き方に幻惑される。物語は収束に向かっているのかいないのか。見え隠れするアメリカの存在感と希薄さ、ギガンティックトウキョウの異質さが際立つ。

群青神殿

冒頭からぐいぐい引き込んでくれる。ジュヴナイル的で人物描写や文体にぎこちなさを感じるものの、SFとしての筋は良い。但しやや状況説明に欠けるというか、ギミックを詰め込み過ぎて言及しきれていないきらいがある。
ラストは駆け足で、なにもかもがはっきりしないままなんとなく大団円。しかし不思議と不満感は無い。


ところでこれ読んでて思ったのだけれど、ゴジラ環境保護団体の保護対象にはならないのか。或いは台風同様の風物詩的災害として受け流されはしないのか。
ゴジラの攻撃を避けるために日本が全面的に核開発から手を引いた未来が描かれるというのも面白いと思うのだが。でMH開発を推進することで新たな脅威を呼び込んだり。
ゴジラVSニューク。

海底密室

海底4000mの物理的に閉ざされた研究施設で起きた不可解な死。眠れぬ記者と眠らぬ人工知能、二人の探偵。SFの皮を被ったミステリーか、ミステリーのふりをしたSFか。
正直なところミステリーとしては少々アンフェアなのではないかとも思うので、私はSFに分類しておこう。専門的な科学知識なしにはこのトリックは解くことができないし、それは探偵の口から語られるまで気づかれることはないだろう。