タミヤ ウェザリングマスター Bセットの効用

久し振りにミニチュアフィギュアを塗装した。高さ3cmぐらいの、ゲームの駒として使う奴だ。
こういうものの塗装は、単に色を塗り分けるだけでは巧く行かない。サイズの小さなものにスケール感を与えるためには、陰影の強調が不可欠なのだ。
一般的にはシェイディング*1による影付けとドライブラシ*2によるハイライト強調、あるいは暗色←→明色のグラデーションによる凹凸感強調を行なうのだが、薄く溶いた黒を塗布すれば概ね処理できてしまうシェイディングに対しハイライトの方は安易に白を使うのも難しく、各色のベースに白を混ぜて明色を作るなど手間がかかる。また溝や小さな穴など比較的エッジが明瞭な陰部に対し明部はなだらかな盛り上がりの頂点あたりになんとなく存在することも多く、コントラストが強過ぎるとハイライト部分だけが不自然に浮いてしまうし弱くするとあまり効果が出ないなど、使いどころが難しい。


そこでタミヤの「ウェザリングマスター」Bセットの出番だ。

タミヤ メイクアップ材シリーズ No.79 ウェザリングマスター A (サンド) 87079

タミヤ メイクアップ材シリーズ No.79 ウェザリングマスター A (サンド) 87079

(何故かBのみ検索にかからないのでAをリンクしておく)
簡単に説明すれば、これは化粧用塗料(アイシャドウとかなんかそんな奴)に着想を得たドライブラシ専用塗料である。付属のスポンジブラシ/刷毛(これ自体、多分化粧用のものの流用ではないかと思われる)でトレイ内の塗料を擦り取って対象に擦り付ける。
ウェザリングと銘打つことからも判るように、タミヤとしては主に汚しのための利用を想定しているのだろう。錆、泥、砂、煤など汚れが各色揃っているのだが、Bセットには「スノー」という文字通り純白の塗料も含まれている。これが実にハイライト用に具合良い。
まあかなり邪道というか、手抜きな方法なのだが、この白い塗料で適当にシェーディング済みフィギュアの各部を撫で回すだけであら不思議、結構それっぽく立体感が出てしまうのだ。ちょっと白過ぎるときは指で擦り落とす。
無論完成度の点では真面目に入れたハイライトには敵うまい。剥離耐性についても弱い。が、ウォーハンマー用兵士フィギュアのように何十と揃える必要があるフィギュアをそこまで気合入れて塗装するのも何なので、そういう手抜きしても良い代物を流れ作業で熟すには丁度良い手法だと思う。
ニッチなノウハウで何だが、お試しあれ。

*1:影を強調するため暗い色を薄く溶き流し込むことで、塗料を凹部にだけ溜める手法

*2:水気を抜いた塗料を少量付けたブラシで表面を軽く擦ることで凸部にのみ塗料を乗せる手法