サタスペ2009年版

アジアンパンクRPG サタスペ (Role & Roll RPG)

アジアンパンクRPG サタスペ (Role & Roll RPG)

「アジアン・パンクRPG」と銘打ったカオティックTRPGルールブック。作者はやはりカオティックなシニカルポップ・ダンジョンRPG迷宮キングダム」作者であるところの河島陶一朗、他。……なんか見知った名が数名……


サイバーパンクを中心に、非合法な活動を扱うRPGはいくつもあるが、非合法であることを真正面から扱った作品はなぜか皆無だ。いや、いっそ「パラノイア」のように徹底してインモラルな作品ならあるのだが……
アイテム調達方法に「盗む」が存在し、カラーページで性産業を取り扱い、気違いをキャラクター属性とするRPG。多分、本邦初のPG-15指定。
ルール部分は、キャラクター・クラス毎の大イラスト、ランダムチャートなど込みでキャラ作成が16P、プレイング・ルールセクションが30Pとかなりシンプル。全体にざっくり抽象化されており、ありがちなリプレイ形式チュートリアルなどもないので少々掴み難いかも知れない。ルール上はダイス振って結果を見るだけでゲームが進行できてしまうので、どうそれっぽい場面を演出するかがキモになりそうだ。
データが70Pほど、世界設定が50Pほどある。これでもごく軽い概説のみ、本気で語り始めたら軽くこの数倍に膨れるだろう。敢えて設定を突き詰めないことでユーザごとの独自設定や今後の追加設定を受け入れる余地を残しているのか。


流し読んだ印象は「(私にとって)悪くなる前の、トーキョーN◎VA2ndの匂い」。
チームプレイを基本とする辺りは古典的RPGベースだが、情報蒐集やチェイスは近年主流な抽象性の強いシステマティックな作り。数値表現は簡単に、付加要素によってスタイルを形作る。PC同士の対立がない以外ではかなりN◎VAクルード(+ちょっとテクニカル)っぽい印象。
キャラの立ち位置をマスターが指定したり行動原理をシステムに規定されたりしないのでプレイし易い。P&EでH&Sな感じで充分シナリオが成立する点ではマスターの負担も大きくないし、ストーリ的に絡める要素も多く参考にできる作品も多いのでなにかと作り易そうな感じ。
システムが抽象的なのでキャラクターも簡素で、具体性は主にカルマによって付加する。こちらが矢鱈具体的にB級アクションを再現する作りになっているので、どこかで見たようなキャラの再現なども容易だろう。一歩間違えると(パンクとは別の意味で)下品になりかねないので注意。
ルールが抽象的な分、演出次第で如何様にも化ける可能性がある。個人的にはこってり呪術ネタ(含クトゥルフ)を展開したい。


頭の中で一瞬、まよキンと結合して何かが生じかけたのだが掴みそこねた。しばらく可能性を追う。
……なんだ、こう……「勢力図」を拡げるような方向というか……各セッションの結果で盟約の勢力図を書き換えていくとか、そういう大掛かりなプレイがしたい。


ところでキャラ作ってみて思ったこと。

  • 趣味表がルールブック記載のものとキャラシート記載のもので一致しないんですが……
  • キャラシートはカヴァ外して裏表紙にあるからコピーし易いのだが、むしろスピークイージーの方がコピー回数多いような。
  • 先に表の顔や外見決めてから能力値割り振った方が巧く行きそう。肉体的に最貧弱の教養系作ったのに表の顔:スポーツ選手/スタイル:健康美になって吹いた。

(ブクマコメントへ反応)佐藤明機は私も驚いた。もっとお願いします。次は八房龍之助なんてどうか。