ここ数日、病を得て寝込んでいた。
結果から言えばそう大した病状ではなく、同種の症状としても格段に軽い方であったものと考えられるが、個人的には初めての体験だったので、まとめておこうと思う。
発熱
始まりは、背中の張りであった。
私は酷い肩凝り持ちなので背中がバキバキに張るのはそう珍しいことでもなく、この時も「帰ったらマッサージするか」ぐらいに捉えていた。
しかしだんだん背中だけでなく指関節なども強張り痛みを生じるに至り、どうやらこれは凝りではなく発熱らしいということに気付いた。
ただ、これまでの経験的には熱が上がっているときは悪寒を伴うことが多いのだが、このときは(凝りだと思っていたぐらいで)発熱を予感させる自覚症状は何もなく、帰宅して熱を計ってようやくそうとわかる程度であった。このときの体温37.7度。
ひとまずこの日は解熱鎮痛剤を服用して就寝。
発熱外来
翌朝時点での体温は37.1度、まだ熱はあるものの微熱程度である。また咳や鼻詰まり、喉の痛みといった風邪様症状は皆無。
とはいえインフルエンザの爆発的流行期であるから、感染可能性は決して低くなく、用心に越したことはない。近所のかかりつけ内科にて発熱外来を予約する。
この医院はコロナ期以降、発熱外来を常設し感染防御を強めており、院内を仕切って受診者同士の接触を低減している。仕切りの中で待機のちSpO2測定、鼻腔粘膜を拭ってウィルス感染検査。
検査結果は血中酸素濃度99%で呼吸器症状なし、インフル・コロナとも陰性。解熱剤としてロキソプロフェンNaを処方されて帰宅。
翌日も変わらず37.1度と熱は上がりも下がりもせず、若干の体の痛み(ロキソプロフェンで抑える)以外には症状らしい症状もない。
解熱剤を服用していれば動けないこともないのだが、念の為休みを取る。
腰痛
痛みに目を醒ます。左下腹部に内臓系の、キリキリと引き攣るような痛み。左腰背部に筋肉痛系の、重度の凝りのような痛み。
腹を押してみたり腰を押してみたり、姿勢を変えたり便通の不良を疑ってトイレに籠ってみたり色々するが、痛みの波が引いたり寄せたりを繰り返し何が効いて何が効いていないのかよくわからない。
病院へ行くべきだろうが、そもそも何科を受診すれば良いのか。内臓要因ならば内科、筋肉要因ならば整形外科だろうが痛みの部位も判別し難い。
腰から背中の痛みということで想起されるのは結石の類だが、あれは即座に救急車を呼ぶほどの耐え難い痛みとも聞く。しかし今はそこまで辛い痛みというわけでもない。
また痛みというものは必ずしも症状部位に現れるとは限らないというか、部位認識と実際の症状が一致するとも限らないようだ。背中が痛いと思ったら心臓疾患だった、といった事例もあるわけで、素人では判断つきかねる。
とりあえず救急相談窓口に電話してみる。症状を尋ねる内容から察するに外傷性内出血症状(急を要する)かどうかの切り分け、および尿路結石が疑われる明確な症状を確認されているものと思われるが、痛みについてもその他症状についても典型的なものではなかったようで、ひとまず整形外科の受診を薦められた。
たしかに背中は筋肉痛っぽく感じるとは答えたが、それだと腹部の内臓っぽい痛みが説明付かなくない?
あるいは実際に整形外科領域の症状なのかも知れないけど、内臓系の可能性がある場合そっちを優先的に疑っておいた方が安全でない?
いやまあ、相談しておいて疑うのもなんだけども。
病院が開くまでに、結石について少し調べる。尿路結石は尿路中のどこに生じるかで腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石に分かれ、痛みが大きく異なるらしい。
最も痛いことで知られるのが尿管結石。膀胱結石はそれよりは軽く、頻尿や残尿感などを伴う。尿道結石は痛いが瞬間的。腎結石は尿の流れが阻害されない限り明確な症状が生じにくく、痛むにしても背中の鈍痛程度とのこと。
⋯⋯やはり腎結石では?
結局、発熱外来を受診したのと同じ内科に。それほど遠くないところに泌尿器科もあり、そちらの方がより適切ではあったか知れないが、泌尿器科は今まで受診したことがないのに対し内科はかかりつけ医院であり、また直前の発熱について受診済みであることもあってまずそちらを頼ることにした。
病院では尿検査と、指先からの血液採取。指先に針を挿し血を一滴採取するのだが、専用器具は痛みもなくわずかな傷のみで極めてスマートであった。
検査の結果、尿中に潜血が認められ、また血液検査からCRP1.1mg/dLと軽い炎症反応が確認された。つまり軽度の腎結石によりわずかな炎症を生じており、これがどうやら37度程度の悪寒なき発熱の原因でもあったようだ。
「これぐらいだとそのうち排尿とともに排出されることが多いので、水をたくさん摂ってください」とのことで帰宅。以降とりあえず痛みは再発していないものの、石を排出した手応えは感じていないので、しばらくは再発を懸念して恐る恐る動くしかなさそうだ。
というわけで、「凝りかと思ったら発熱、風邪かと思ったら結石」だったという話。