- 作者: 九井諒子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2015/01/15
- メディア: コミック
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1ページ目はほぼウィザードリィな感じでスタート。広大な地下迷宮の存在と、そこへ潜って生計を立てる冒険者たちが描かれる。レッドドラゴン相手に全滅の憂き目を見るパーティ。我が身を顧みず緊急退避魔法で仲間を助けた僧侶、亡骸を回収し蘇生を目指すメンバーたち……ごく普通の(ゲーム寄り)ファンタジーものだ。
が、飯の話から展開がおかしくなってくる。
そう、飯だ。
当たり前だが人間は飯を食わねば動けない。腹が減っては戦はできぬ、何はともあれ飯が必要だ。
しかし何日もかけて攻略する広大なダンジョンに、その日数をまかなうだけの食品を持ち込むのは結構厳しい。となると現地調達が視野に入ってくる。
モンスターにも色々いるが、物理実体を持たぬものや無機物などはそれほど多くない。だいたいは生物的な存在であり、有毒でない限りは食べようがある。
問題は味だ。いかに栄養が豊富であれ、旨くない飯はそれだけで士気を下げる。どんなモンスターを、どのように捕獲し、どう調理すれば良いか。そのためにはあらゆるモンスターの生態を、体構造を、味を、網羅的に知らなければならない。これはもはや博物学の世界だ。
というわけで架空の博物学にまつわる作品をいくつか挙げてみよう。
博物学フィクション
野尻抱介「ピニェルの振り子」
- 作者: 野尻抱介,草なぎ琢仁
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 2000/07
- メディア: 文庫
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19世紀地球人類が何故か別の天体に「コピー」され、航宙技術を与えられる。誰が何の目的で──という謎はさておき、ジュール・ヴェルヌの時代そのままの科学的好奇心と冒険心で星々を巡り、未知の生態系を収集し記録する、まさに「銀河博物誌」である。<1>と銘打ってあるものの2巻以降の出る気配がないのが残念。
わかつきめぐみ「ご近所の博物誌」
- 作者: わかつきめぐみ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2008/09/12
- メディア: 文庫
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瀬野反人「ヘテロゲニア・リンギスティコ〜異種族言語学入門〜」
ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ (1) (角川コミックス・エース)
- 作者: 瀬野反人
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/12/04
- メディア: コミック
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ワーウルフやハーピーなどファンタジー生物の存在する世界だが、視線は限りなくSF寄りの、そんな異世界文化人類学漫画。
ダンジョン飯RPG
ゲーム内での食糧問題についても触れておこう。
一般に、ゲームでは現実的要素のいくつかが(ゲーム的にあまり面白くないので)意図的に無視されており、「空腹」もそのうち一つである。ちょっと進めては飯のために戻る、あるいは飯の調達ができずジリ貧に追い込まれる、そんなゲームをやってもストレスがたまるばかりで面白みが少ないと考えられているのだろう。
しかし世の中には「空腹度」パラメータを持つゲームもいくつかある。現地で食糧調達できるゲームとなると更に限られる。代表的なところでは「ダンジョンマスター」「モンスターハンター」「迷宮キングダム」「トリノホシ」などだろうか。
ダンジョンマスター
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 1991/12/20
- メディア: Video Game
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町がないので店もなく、食糧はすべて宝箱から得るか倒したモンスターの肉で賄うが、調理の観念はない。
iOS に移植されているようだ。
https://itunes.apple.com/jp/app/dungeon-masters-free/id910393401?mt=8&at=10l8JW&ct=hatenablog
モンスターハンター
- 出版社/メーカー: カプコン
- 発売日: 2014/10/11
- メディア: Video Game
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迷宮キングダム
- 作者: 河嶋陶一朗/冒険企画局,ふる鳥弥生
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/11/20
- メディア: 単行本
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多くのTRPGでは単なるフレーヴァーとして軽く扱われがちな食事問題が、このゲームではたいへん重要な意味を持つ:HPが低く回復手段が少ないため食事による回復が欠かせない上に、連続で食事を抜くとダメージが発生する。他に疲労処理もあるため探索期間はそう長く取れないが、そもそも1回のセッションで攻略するのは3×3部屋の四畳半ダンジョンであるため縦深行軍の必要はない。
トリノホシ
トリノホシ ~Aerial Planet~ (スペシャルサウンドCD「Planet Symphonia」同梱)
- 出版社/メーカー: 日本一ソフトウェア
- 発売日: 2008/02/28
- メディア: Video Game
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もちろん食糧など持ち合わせないので食べられそうなものを採取・調理してサイバイバル生活するしかない。発見した動植物には自由に命名できるので、自分だけの博物図鑑が綴られる楽しみもある。