ユーザとの距離問題

はてなを使い始めて痛感したことだが、開発とユーザとの距離が近いことは基本的にプラスだ。ユーザからダイレクトにバグフィックスや要望が伝えられ、また開発が随時それに応えてゆく。自分の要求が叶えられるからユーザは活動に熱心になるし、開発にしてみれば開発指針が明確になるし直接の反応がある分やり甲斐もある。


勿論これには副作用もある。熱心に反応を返すのはほとんどヘヴィユーザに限られるだろうが、彼らの要求ばかりを実装してしまうとライトユーザが追従できなくなってくる。ヘヴィユーザの活動はライトユーザを呼び込む原動力ではあるのだが、ライトユーザこそが売り上げを支えるのだ。
また、ある程度コミュニティが拡大してくると、ユーザ間の諍いなどが発生してくる。製品開発だけではなくコミュニティの運用という新たな仕事が出てしまうわけだ。
或いは、要望が多くなり過ぎて全部を吸収し切れなくなってくる問題もある。ユーザのインセンティヴは要望が反映されてこそ維持されるわけだが、逆に「要望を出しているのに反応がない」というのは著しく印象を下げてしまう。


ユーザ密接化は諸刃の剣だが、新製品あるいは落ち目の製品、要するに「失うものがない」場合には起死回生の一手となり得るんじゃないかと思う。勿論、経営者にそれだけの度量があってこその話だが。