顧客の顧客

ひとくちにデザインといっても出版物のデザインからWeb、工業デザイン、店舗デザインなど様々だが、ほとんどのデザインは注文主自身が使用するものではなく第三者へのアピールのために用いられる。
つまりクライアントとアピール対象は同一ではない。故に、デザインはそのエンドターゲットに対して為されねばならないのだが、まことに残念なことに往々にしてクライアントはそれを理解していない。
例えば若い女性向け商品のカタログを、発注し案を審議するのは中年男性ばかりであったりする。その結果、女性に受けの悪いデザインパターンが採用されてしまったりというのはよくある話。
営業販売の考え方から言えば、注文主が納得してくれればそれで良しとも言えるのだが、作る側からすれば実際に利用する人に受けなければ意味がない。そして長期的に見れば、安易にクライアントの意見を聞くことで事態が改善することは稀*1で、悪化の可能性の方が高い。


Webで言えば、プロモーション目的などヴィジュアルインパクトの重要視されるもの以外で無闇にFlashを用いたりするようなデザインは、多分ほとんどクライアントの満足のために作られてしまった例である。サイトの真のターゲットはそれを閲覧するユーザであって発注主ではない、ということを制作サイドも発注サイドも理解できないと不幸な結果を招く。

*1:ターゲットユーザ層が特定業界など特殊で、制作側がその世界について無知な場合などはクライアントの意見も重要な意味を持つことはある