テーブルトークRPGとは何「ではない」か

今月初頭あたりだったか、某所でちょっとした事件を目にして少々考えるところがあったので、ここに纏めておく。
RPGは没入する遊びなので、長くプレイしているうちに色々と見失うことが多い。時々振り返って現在位置を確認しておくのも良かろう。

TRPGは即興劇ではない

GM側はある程度話す内容が事前に決まっているものの、プレイヤーは状況に応じてその場で行動を決めねばならないし、GMにしても全てのセリフが一言一句決まっているわけではない。重要人物以外のキャラ、例えば店員などの端役NPCはまったく即興で応じることになるだろう。
けれど、TRPGはそうした即興のやり取りを目的にプレイするものではない。実のところ、情報さえ適切に伝達されれば演技など不要であり、「即興で行動を決定するもの」ではあっても「劇」ではないことに留意されたい。

TRPGは目標達成を競うものではない

GMの提示するシナリオには達成すべき目標があり、PCはそれを達成すべく努力する、ということを暗黙の前提としてTRPGは成立している。しかしそれはPCの目的であってプレイヤーの目的ではない。
TRPGをプレイする目的は、目標を達成しようとする過程を楽しむことであって、達成することそのものではないと心得よ。

TRPGはストーリーを語るものではない

とりわけGMが強く意識せねばならぬことだが、TRPGの目的はストーリーテリングではない。誰かの考えた美しいストーリーを語って聞かせるための遊びではなく、全員でひとつのストーリーを織り上げる遊びである。ガチガチに縛り上げて予定調和を踏むだけのものにしてしまわぬよう。穴があって予定外の行動が生じるぐらいで丁度良い。
一方で、プレイヤー側もキャラに過剰なストーリーを期待せぬよう戒めねばならない。悲劇の主人公、なんてのは長期プレイの最中に自然と生まれてこそ面白いのであって、ひとり設定して悦に入るのみでは意味がない/或いは邪魔だ。

TRPGは選択肢を選ぶものではない

予め選択肢を用意しておいて、それ以外の行動は不可能なように設定してしまえば、予定外のハプニングが生じず楽にマスタリングできる。が、やらされる方は面白いものではない。とりわけ、縛りが露骨であれば無用の反発を招き却って円滑なプレイを妨げかねない。
勘違いされては困るが、予め考えられる選択肢を検討しておくこと自体は悪いことではない。ただ、それを明示してはならぬということだ。
あくまで行動はプレイヤーが自発的に考え宣言すべきもので、GMがそこまでお膳立てすることはない。
プレイヤー側も、的確に状況を理解し可能な行動と予想される結果を検討しアクティヴに行動するよう努めるべきだ。選択肢が示されるのをただ待つだけなら、ゲームブックかアドヴェンチャーゲームでもやれば良い。

TRPGは戦闘ゲームではない

TRPGには戦闘場面が多い。これは戦闘が典型的な非日常行為であり、またスリルを味わう機会であるが故にしばしば用いられるためだが、ゲーム目的は戦闘そのものではなく戦闘の結果だ。従って、戦闘を回避して同様の結果が得られるなら(また、その為に払う代償が容認できる程度のものなら)積極的に回避されるべきである。原則として、PCは殺戮者であるべきではないし、そうあることを強いるべきでもない。

TRPGは強さを競うものではない

キャラが成長し、強くなってゆくのは喜ばしいことだが、性能だけを考慮してキャラを設計してゆくべきではない。
RPGに於けるキャラはプレイヤー自身のペルソナであり、時には無駄と知りつつも正確設定や背景設定に由来する「縛り」を設けるべきだ。
特定場面に不向きなことはあっても(学者肌で戦闘に非力なキャラとか)それを活かするようなプレイスタイルは成立するはずで、徒にプレイ効率を求めるよりも架空の世界を楽しむことに重きを置くべきだろう。