コミュニケーション幻想

現在管理中の老朽化したECシステムの全面置き換え案が進行中なのだが、提案書に安易なBlog利用が盛り込まれていてげんなりする。
「オンラインショッピング作れば成功しますよ!」という言葉と同じぐらい、「Blog作れば成功しますよ!」は嘘臭いのだと気付いて頂きたい。


提案書中では掲示板の荒れ易さに対してスムーズなコミュニケーションが図れるような書き方がしてあるが、それは明らかに間違いである。掲示板でも適切に運用されればそうそう荒れるものではないし、コミュニティとして活性化する例もある。
逆にBlogを使っても活性化は難しい。少なくとも専任のライターを雇って「読み物」として成立するクオリティの記事を書くこと、また問題のあるコメントなどに迅速且つ適切な対応をすること。それがこの会社にできるとは思えない。


大体、ショッピングサイトにBlogが必要なのだろうか。「店長」役が商品の紹介でも書くのか。それならば単に新商品を優先表示して、その説明文でたっぷり語れば済むことだ。
コラムなどをコンテンツの一部に取り入れるのに、その管理用にCMSを導入するというなら話は解る。しかしそれならば、Blog的特長であるコメントやトラックバックは不要だろう。単にURLがパーマネントであれば済むことだ。
どちらかというと、コメント・TBが活かされる場所は個々の商品詳細ページだと思う。商品に直接リンクを張れて、その評価などを書き込めるならば、それは有効な販促ツールとして機能し得る。但し、荒らし対策のため購入者以外は書き込めないようにすること、また言及URLのないTBは弾くこと。


コミュニケーションツールとしてBlogが有効に機能するのは、運営側←→ユーザーではなくユーザー←→ユーザーのケース、例えば会員にBlogを与えてコミュニティを形成する場合などだ。そういう場では、単に発言だけが残るBBSではなく普段の記録から為人が伺い知れるBlogやSNSのような構成が活きる。しかし提案書の例示を見る限り、明らかに前者のケースになっているのだ。
百歩譲って、運営側の公式アナウンス発表の場としてBlogを運用するならば問題は少ないだろう。それでもコメント/TBを生かしておけばトラブルを呼び込まぬとも限らない。Blogはその運用者と閲覧者の立ち位置が同じ場合にのみ効果を発揮するコミュニケーションツールであって、上下関係に近い隔たりがある場合では却って逆効果ともなりかねない。


可能ならば開発会議に出席してその辺り進言したいところだ。取り敢えず担当の課長に直訴メールしておこうか。