NHKサイエンス・ゼロ:地震対策

就寝前に入浴をとTV付けっ放しで湯船に身を沈めたところで上記番組が放映開始され津波の分析とか非常に愉しそうなことをやっているので慌てて上がってバスローブで保温しつつ最後まで視聴。
スマトラ島沖の大津波で大被害が出た理由の一つに、大波と津波は遠くから見ても区別がつき難い、というのが挙げられた。ってかそれ以前に大きな地震の後急に水が退いたら津波の前兆という基礎知識がこのあたりでは全く知られていなかったのではないかと。船が呑まれたってのに観光客普通に見物してるし。
津波という言葉を生み出し地震に慣れていた日本でさえ、地震の際にこの教訓をとっさに思い出す人がどれだけ居るだろうか。


大波であっても波は波、山一つ分では大した勢いもないが、津波の場合は先頭の波に続いて同じ量の水が塊となって押し寄せるので威力が違う。また波が砕け始めたとき、落下の勢いで一気に加速、そこへ後続の水が続くので速度を2倍ほどに増した状態で多量の水が連続して流れ込むことになる-----この辺りの研究は非常に興味深い。


そして地震被害と対策。振幅が数秒とゆっくりした大きな横揺れ(長周期震動)では、大型建造物の震動周期に共鳴することで揺れが増幅され大きな被害が出る-----というのは数年前の十勝沖地震に於いて苫小牧で発生した石油備蓄施設の火災でも知られたことであるが、日本列島の主要な平野が長周期震動を増幅し長引かせる地質構造であるというのは興味深い。
こうしたエリアでは固い岩盤が擂り鉢上に窪んでおり、その上に軟らかい地盤が堆積している。だから広い平野が形成され居住に適しているのだが、ここへ地震波が伝播した場合、周囲の岩盤に波が反射し長時間に渡り留まる上に波がより長周期化し易く、これが高層ビルなどの大型建造物を激しく揺さぶる結果となる。そして当然ながら、広い平野には長周期震動の影響を強く受ける高層建築類が多く存在する。
無論、最近の高層建築ではそうした研究を踏まえて耐震性/免震性を高める工夫が施されているのだが、それとて理論の面を幾らも出ないシステムであり、実際に大型自身に対応できるかどうかは「やってみないと判らない」。


ところで現在予定されている超巨大構造物といえば軌道エレヴェータであるが、地震対策についてはどう考えられているのだろうか。あれを共鳴させるほどの超長周期震動が発生し得るかどうかは知らないが、少なくとも縦揺れでの瞬間的なテンションなどは考慮せねばなるまい。
崩壊時の被害は高層ビルの比ではないので、その辺慎重に検討したいものだ。