制約と限界

最近はてなに追加された一連の機能はいずれも、はてなキーワードと繋がっている。?Fでは写真をタイトルに含まれるキーワードで分類。?Bではブックマーク先のテキストに含まれるはてなキーワードで分類。いずれもカテゴリを作ったりユーザーにカテゴライズさせたりする代わりにキーワードを利用している。
これはひとつに、蓄積された資産を有効に活用しようという意味合いがあるのだろう。しかし一方では、はてなのオリジナリティとしてのキーワードにこだわっているような印象もある。


これまではてなが立ち上げてきたサーヴィスのいずれも、はてなが最初ではない。完全に同じでは勿論ないが、にたようなサーヴィスが既に存在している。その中で「はてならしさ」を出すための仕掛け(のひとつ)が、キーワードの活用なのではないだろうか。逆に言えば、キーワードを取り去っても尚オリジナリティを保てると言えるのかどうか。


ところで、これまではてなキーワードには常に辞書的側面と捕捉的側面があった。が、ここへ来て急速に捕捉機能が重要視されつつあるようだ。しかし辞書機能の充実を厭がる人はまずいない*1と思うが、捕捉についてはそうでもない。
能動的にしか機能しない辞書機能に対し、極めて受動的である捕捉機能は、ややもすれば望まぬ捕捉を多量に生み出す。短すぎるキーワード登録は登録者の意図しないところでキーワードリンクを作り、「含む日記」を増加させることになる。サプライズを楽しむことはできるが、全般にそれはノイズである。事実、これまで何度も所謂「誤爆」問題は争いの火種となった。
はてなは今のところ、?B/?Fでフリーキーワード検索機能を提供していない。利用できるのはあくまではてなキーワード「を含む」リストのみである。剰え複数キーワードのand/or検索なども実装されていない現状では、的確な検索結果を得ようと思えば誤爆覚悟で広範囲捕捉キーワードを作らざるを得まい。これははてなキーワードを利用する上での制約である。


今のままではユーザー体験の向上は極めて難しい。解決策があるとすれば、それははてなキーワードという縛りからの脱却、もしくははてなキーワードの捕捉機能への改善しかない。
個人的にははてなキーワードに捕捉除外文字列の機能を加えて欲しいと思う。そうすれば、誤爆を恐れることなく純捕捉目的のキーワードを生成することが可能になる。
その機能がアンテナ同様に正規表現を利用可能であれば、尚更素晴らしい。

分類というのは難しい問題を孕む。同じものが受け取り様によって複数の意味を持つ以上、一意なカテゴライズは必ず破綻する-----というのははてなキーワードツリー騒動などでも明らかである。最近のSBSなどが意図したのは、多様な分類によってこの限界を突破することなのだろう。個々のユーザーが好き勝手にタグ付けを行ううちに、重複の多い部分で合意的に分類が形成される。
対してはてなはこの分類自体を自動抽出に任せ、新たな方向性を打ち出した。その意図は必ずしも成功してはいないと思うが、数年先には違うものが見えるかも知れない。

*1:但しその情報が的確である限りに於いて