位置情報ゾンビゲー「The Walking Dead:Our World」

タイトルからもわかる通り、ゾンビ・アポカリプスものドラマ「ウォーキング・デッド」世界のサヴァイヴァーとして、地図上に表れる敵を狩るゲームである。
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言ってしまえばポケモンGOのゾンビ版みたいなものではあるが、なかなかに工夫されていて面白い。今ほかに位置情報ゲームをやっていなければ、おひとつ如何だろうか。

基本プレイ

基本的には「スタミナを消費して周辺に出現する敵を掃討する」だけのゲームである。
敵とはいうものの、こちらから攻撃しに行かない限りは何をするでもないので、放置しても害になるようなことはない。
マップ上に表示されるウォーカー(および光の柱)が各ミッションの位置を、立っているウォーカーの種類がそこに出現する敵の種類を、一定範囲内に近付くと表示されるアイコンがミッションの種類と強さ、それに「射程距離内である」ことを示している。アイコンの色が薄いものは現在の装備でも危険性が低いことを、濃いものは危険性が高いことを示し、右下の数字が強さのランクを示す。

戦闘は「画面上のタップした箇所に銃弾を撃ち込む」というシンプルな形式。武器によって連続発射可能な弾数が決まっていて、撃ち切ると数秒のリロードが発生する。武器の種類によって特定のウォーカーに対する効果が高く設定されているので、敵の種類に応じて使い分けることになる。
ミッションを解決すると何らかのリソースが得られる。遭遇戦「エンカウントバトル」ではカードが、連続3〜5回の戦闘をこなす「大発生」ではコイン(+大発生全体の解決時にカードほか多数のリソース)、襲われる生存者を助ける「救出」ではサバイバーを確保し各地のセーフハウスに連れてゆくことで施設に応じたリソースが入手可能である。
戦闘してカードを集め、コインを支払ってカードをレベルアップさせることで戦力を拡充する……この辺りはまあソーシャルゲームによくある形式だ。

ミッション

出現する敵の種類はランダムだが出現位置は固定されているため、漫然とプレイしているとどうしても単調になりがちだ。毎日同じ行動を繰り返して物資を集めるというのもある意味「ゾンビアポカリプスのリアルな日常」ぽくはあるのだが、ゲームとしてはやはりそれなりの張り合いが欲しいところである。
そのため、定期的にデイリーミッション──「大発生を何回掃討しろ」「何人のサバイバーをセーフハウスに連れてゆけ」など──が出され、行動にちょっとした変化を与える。べつだんクリアしなくてもペナルティなどはないが、報酬が得られるので積極的にこなしてゆきたい。

また、個々人にランダム提示されるデイリーミッションとは別に、所属グループで共有される「エピックシーズンチャレンジ」が存在する。
これは6週間の周期で毎週のチャレンジをクリアしてゆくもので、5x5のビンゴ形式で数々の課題が出される。縦横列を消化すると交点にあるカードパックが得られるほか、全課題のクリア時にも報酬が得られ、次の5x5が表示されてゆく。
1週間以内に3段階のチャレンジを全クリアするとティア(階層)が上がり、より難易度の高い/より報酬の良いチャレンジが始まるが、3チャレンジすべてをクリアできなかった場合は次週でまた同じティアをやり直さねばならない。
こういった課題には少なからず「この武器で倒せ」「このヒーローで倒せ」などカード指定が含まれるので、レアリティの低いカードにも使いどころが出てくることになる。

カード

ゲーム中で入手できるカードには武器のほかに、一緒に戦ってくれる「ヒーロー」、持ち物を増やしたり追加効果を得られる「パーク」がある。各カードには★1〜4(コモン、レア、エピック、レジェンダリー)の4段階のレアリティがあり、同じカードレベルでは高位レアリティのものほど性能が高い(が、そのぶん入手可能性が低く、またアップグレードコストも高いため育成は困難になる)。

武器

大きく分けて、スリムウォーカー相手に効果的な「ピストル」、スパイクウォーカーに効果的な「サブマシンガン(SMG)」、腐敗ウォーカーに効果的な「ショットガン」、ヘビーウォーカーに効果的な「アサルトライフル(AR)」、アーマーウォーカーに効果的な「スナイパーライフル」の5系統がある。それぞれに「ダメージ(=1発あたりの火力)」「上限(=連続発射できる回数)」「リロード(=上限まで撃ち切った後に再使用可能になるまでの時間)」が設定されている。
この中

後発位置情報ゲームとしての洗練

位置情報ゲームは「現実世界の位置とリンクする」ことに面白さがあるのだが、同時にそれが問題点ともなり得る。
たとえば得点源がランダムな位置に出現する場合、現実世界では到達できない場所に出現してしまうような場合がある。逆に現実世界の位置に沿ってポイントが設定される場合、設定しやすい場所とそうでない場所の差が出てくる(都会では申請者が多いため登録済みポイントも多いが地方では少ない、など)。
また、現実世界でのプレイヤー密度差も問題となり得る。たとえばIngressでは、「都会ではプレイヤーが過密すぎるので自分がプレイした結果がすぐかき消されてしまう」「地方ではプレイヤーが過疎すぎて環境に変化が生じない」といった問題が発生した。すれ違いで地図を交換するドラクエでも、入手機会の差が問題となった。
かといって現実世界とリンクさせないのならば、位置情報ゲームである必要がない。現実世界を取り込みながら、それに振り回されすぎない調整をどうするかは悩ましいところだ。

The Walking Dead:Our Worldの場合、まずゾンビやアイテムの出現位置を「立ち入り可能な場所」に限定。具体的に言えば公道および公共空間からアクセス可能な範囲のみに、自動的に出現する形を取った。これによって都会でも地方でもアクセスすべき地点の密度には差があまり生じない。
出現地点は共通だが、その消化は他プレイヤーと共有されないため、少ないリソースを取り合うようなことにもならない。逆に言えば、その分だけ他プレイヤーとのインタラクションが低くソロゲーム的になりがちではあるが、その点は救出した生存者を連れてゆく(ことでカードやコインなどのリソースを得られる)「セーフハウス」を全員で共有すること、およびグループ内で協力して達成を目指す「チャレンジ」によって補完されている。

現実感

位置情報戦闘ゲームにはありがちだが、AR機能によって現実の光景にゾンビの姿を重ねて戦闘ができるようになっている。夜に人気のない路地裏などでゾンビと戦闘するのはかなりのサバイバル感が得られる。
またセーフハウスは、建設から10日が経過するとレイダーの襲撃を受けて破壊される。このタイムリミットはサバイバーを集めてアップグレードすることで延長可能だが、セーフハウスが大きくなるほどアップグレード困難になり、いつかは破壊されてしまう。「大きくなりすぎた拠点は襲撃者にとって美味しい獲物」ということで、ゲーム的な都合としての環境変動の仕組みと世界設定とが巧く噛み合っている。
一通りの操作説明や基本行動指針こそチュートリアルが示されるものの、「武器/ヒーローごとのゾンビとの相性」などの情報はまったく説明がなく、「自分で試行錯誤しろ」感はむしろゾンビサバイバルの雰囲気を高めている気もする。
詳しく知りたい向きは攻略情報サイトを。
ourworld.gameinfo.io