タッチパネル対応手袋 レビュー

素手を寒風に晒すのが辛い季節になってきた。手袋をしたいところだが、普通の手袋ではスマートフォンが操作できない。
去年あたりからのスマートフォンブームにより「指先に導電糸を織り込んだ」タッチパネル対応を謳う手袋はかなり増えたが、どうも「既存の手袋を流用し指先に導電糸を織り込んだ」だけのような、使い勝手をあまり考えていない製品が多いような気がしてならない。


スマートフォン用の手袋に必須の要素とは、何か。
もちろん、指先が導電素材になっていてタッチパネルに反応する、という点は外せない。近年のスマートフォンはいずれもマルチタッチ対応の筈だから、最低でも親指+人差し指、できれば中指にも導電素材が欲しい。
もうひとつ欠かせないのが、グリップである。


スマートフォンは突起の少ない板状の形態をしているため、割と掴み難い。重量も130〜150g程度とそこそこ重い。つまり、落とし易い。
素手ならばダイレクトな感覚を元に力加減で落とさないように掴んでいられるが、手袋越しだとそうも行かない。もっと直接的な「滑り止め」が必要である。
ところが、不思議と市販のタッチパネル対応手袋でグリップを考慮したものが少ない。一応掌側に滑り止め加工の施されたものはあるのだが、何故か素材が薄く硬い樹脂で、滑り止め効果が弱く役に立たないものばかりだ。実際に着用してスマートフォンを持ってみたが落としそうで怖い。


家電店のスマートフォンコーナーや東急ハンズなど様々な店を巡ったが、満足の行く製品を見つけられなかった。最終的に、スポーツ洋品店にて発見したのがこれである。
発熱スマートフォン対応ストレッチグローブ X-united 960X1SN4140 商品紹介
伸縮素材の手袋で、内側が発熱素材であるらしい。まあその辺の「手袋としての機能」はあまり拘らない。重要なのは「掌全面にシリコーンの滑り止めが施されている」こと。これによってグリップが安定し、握った時の不安がない。
ただし指先タッチパネル部分は決して使い易いものではない。これは手袋の厚みによる「目測のズレ」と導電素材の性質による「タッチ位置の違い」による影響だろう。


通常の素手による使用を考えると、人差し指または中指でのタッチは普通指先を使用しており、また握った手の親指を用いた片手操作では指の横腹を使っていることがわかる。
しかし手袋がまともに反応するのは指の腹部分であるため、スクロール程度ならばともかく、限られた範囲のタップなどは意識して操作に集中しないと失敗しやすい。特に各要素が隣接しておりミスタッチが多くなる文字入力などはちょっと厳しいものがある。
折角の導電手袋だが、普通の手袋に導電糸でも縫い付けて「好みの位置で通電できるように」調整した方が使い易いかも知れない。


既に携帯通話端末の出荷数の半数以上をスマートフォンが占めるようになっている今、タッチパネルを「不自由なく使える」手袋が当然の如く要求される。
各社には一層の製品開発を期待したい。