Twitterは140字しか投稿できない「一言呟きサーヴィス」だが、その特性を逆に利用して超短編小説を書く「twnovel」という試みが広まっている。
俳句が5-7-5の厳しい字数制限に情景を詰め込むように、twnovelもまた140字で何を語れるかを問われる遊びだ。徹底的に削ぎ落とされた表現の凝集には心踊る。
が、この企画は少々注目を集め過ぎてしまったようだ。元々、無数の人間が好き勝手呟くのがTwitterの身上。これにちょいと興味を持った素人による呟きを止める術はない。
悪貨は良貨を駆逐する。初期にはプロ作家による呟き割合も高く面白い作品の望めたtwnovelは、多数の素人流入により「どこが小説なのか解らない」駄文の吹き溜まりへと堕してしまった(ように私には思える)。まあその一人が私ではあるのだが。
本来、Twitterは「自分がフォローした人の呟きだけを見る」サーヴィスだ。これによって無数の有象無象から自分の必要とする情報(を発する可能性の高い人)だけを切り出すことで、それぞれにとっての高品質を維持する。
twnovelの問題点は、フォローリストに関係なく公開されたポスト全体からタグ付きのものを引き出すハッシュタグによって取り纏められていることなのだろう。それにより「自分にとって低品質な」投稿もすべて同列に扱われてしまうのだ。
今ひとたび、これにフィルタをかけるべきだろう。例えばFavolite順でのソート、例えば「自分がfavした作品をfavしている人のfavをお薦めしてくれる」機能。あるいは1日中#twnovelのTLに張り付いて優れた作品を拾い集め転載するまとめ師。そういった形で優れた作品を掘り起こす手段を用意しないと、この企画は完全に悪貨に駆逐されてしまう。
作品としての良貨は確実に、悪貨よりも手間をかけて生み出される。単なる殴り書きではなく隅々まで気を配り技法を凝らして作られるものだけに、生産速度もそれだけの技術を持つ作り手も絶対的に不足であり、必然的に有象無象が書き散らす悪貨に量の上で圧倒されることになるだろう。
とりわけtwnovelというものを広く紹介し書籍化を目論んでいるという某氏には、云わばこの状況を生み出した責任*1と抜粋の技量の双方があるものと思う。正直なところWebのものを本にすることの有効性には些かの疑念を禁じ得ないが(QRコードでも付けてFavりに行けるようにする?)マスの力によって良貨が悪貨を凌駕するのもひとつの手ではある。
*1:まあこれは時間の問題だったかも知れないが