偽500円玉、形状・材質精巧…自販機も通る可能性

500円硬貨の偽造にかかるコストというのはどの程度のものなのだろうか。
500円硬貨の素材はニッケルと黄銅の合金。相場を調べてみると銅が大体$3000/t、亜鉛が$1000/t、ニッケルは$15000/t程度。500円硬貨の重量は7gだから、1枚あたりの素材単価は高く見積もっても¢10といったところか。ただし正規の取引で原料を得ているとは考え難いから、裏での取引相場はもっと高値だと思うが。
製造元はまず間違いなく東南アジア辺りだろう。中国で製造している食玩が200円で売れるところから考えても、人件費は精々1枚あたり数十円。
一番コストがかかるのは多分鋳造部分だろう。特に500円硬貨は周囲の斜め刻みや数字面の潜像など特殊加工が多く施されているから、普通の方法では鋳造できない。とはいえ今回の偽造貨幣はあくまでATMや自販機のセンサーを騙すためのもので、精巧である必要はないから普通の鋳造方法でも充分なのかもしれない。
この部分のコストや設備投資に関しては情報不足で算出は難しい。しかし恐らく偽造グループは以前から高額貨幣偽造を組織的に行っていて、既にある程度の設備は整っているのだろうから、追加投資はそれほど必要ない筈だ。精々百万円のオーダー、場合によってはもっと安価かもしれない*1
そうすると、大雑把に見て1枚あたり100円の製造コストがかかっているとして、換金による利益は1枚あたり400円。設備投資が200万だとして5000枚ほどを換金すれば元が取れる計算となる。実際には15000枚ほどが使われているらしいので、+400万の利益か。


ところで500円硬貨は世界で最も高額な硬貨である。EUの2ユーロ貨が270円程度(2005-02-04現在)に相当するので、価値はそのほぼ2倍。しかもチェックが甘い*2。狙われるのもむべなるかな。

*1:極めて感覚的に導き出されたもので、根拠はない

*2:実際のチェックシステムを知っているわけではないが、多分重量、サイズ、電気抵抗位しかチェックしようがないと思う。対して紙幣は画像読み取りや磁化インク検知による印刷パターン認識、透かしの透過度、紫外線による蛍光インクの発光など高度なチェックが可能であり(実際にどこまでやっているかは不明だが)、額面よりも高いリスクを負うことになるだろう