見栄えのためのタグ挿入に反対する理由

id:adramine:20050204#1107492546を受けて。
太字その他の機能については、現時点では解決したと見なせるので、いわし等にて意見のある文字色変更要望について、反対意見を述べておく。


見栄えの中でも、色の変更というのは最も忌避すべきものである。太字や打ち消し線は、見栄えを定義するものとして設定されてはいるものの、本質的には強調や削除といった意味を表すものとして認識されており、そのように置き換えても何ら問題はない。
しかし色は同じ設定でも状況次第で意味が変わる。そのことを考えれば、安易な文字色変更が如何に有害であるか理解できよう。


例えば、ごく一般的なダイアリーに於いて赤字は強調を表し、白字は隠匿を表すだろう。これは白い背景の上ではっきり目立つ文字色/見えない文字色であるからだ。
しかし、仮に背景色が赤だったら、上記の意味合いは逆転する。このように、色は意味と結びつかない。色を設定するのではなく、色によって表現しようとした意図を設定すべきだ
これはサイズについても同様で、強調のために大きくしたつもりの文字サイズがテーマ変更により通常サイズより小さくなるようなこともあり得る(通常、極端にサイズをいじることはあまりないからこの線は薄いが)。


念の為申し添えておくが、fontタグの使用に反対するのではない。局所的な文字色の変更に反対しているのである
はてなではデザインをテーマの選択あるいはスタイルシートへの自由記述によってカスタマイズしている。意味に基づきマークアップされたページであれば、デザインを変更した際にそれがすべての箇所に渡り反映され、機能を失うことはない*1
しかし局所的に色が変更されている場合、それらはテーマ/スタイルの変更と無関係に元の色のまま残留し、結果として下の色の組み合わせにより表現された機能を失う。それを防ぐには、過去に遡ってこれまでに指定したすべての色設定を変更するか、またはデザインの変更を諦めるしかない。


安易に局所的な色設定を導入することで一番困るのは、他ならぬ書き手自身であることを肝に命じられたい。

*1:適切に設定されていればの話だが