夏の空を撮る

今年の夏はちょっと異常じゃないかと思うぐらいの雲ひとつない炎天下続きだったが、ようやく雨も来て気温が落ち着いたと思ったのも束の間、台風が通り過ぎてまた夏の日射しが戻ってきた。けれども今日は夏の雲も連れてきて、久しぶりに抜けるような空の青さと白い雲の素敵な風景が撮れた。









夏の雲には電柱が似合う。空の明るさを背景に、逆光がシルエットを強調する。







紫色に染まる空と、薄闇に沈む街。いちばん撮るのが楽しい時間帯。

Nikonの新ミラーレス機を予想する

事前の噂通り、23日にニコンが新ミラーレス機と見られるカメラ情報を公開した。これまた事前の予想通り、実際に公開されたのはテイザー的な情報量の少ない映像だけだ。
正直なところ、私はニコンユーザどころかフルサイズ路線ですらないマイクロフォーサーズ派なので、一連の流れは割合冷めた目で見ていたのだが、テイザーからわずかに伺えるニコンの新戦略が思ったよりも「攻めた」内容に思われ、俄然興味が湧いた。いや買うつもりは毛頭ないけども。

どうやら25日がニコン創立記念日なのだそうで、恐らくそこで具体的なスペックや実機が(モックだとしても)公開されるだろうから、それまでに好き放題妄そ……予想しておこう。

マウント径は60mm

ほとんど真っ暗で僅かにシルエットが伺える程度の映像だが、その中でマウント部だけが光のリングで強調されている。
その外側にわずかに円弧状のシルエットが見えることから、このリングはどうやらマウント内径を示しているものと思われる。
ボディサイズが明かされていないのでマウント径もはっきりわからないが、どうやらボディサイズを目一杯に使ったかなり大径のもののようだ。

サイズを推定してみよう。
グリップ上側にシャッターボタンと思われる部分が見える。二重リング状になっており、恐らくは現行一眼レフと同じく外側がパワースイッチ、内側がシャッターボタンだろう。現行機のサイズと同程度と考えると、たとえばD850は外形18mm内径9mmほどのサイズなので、この部分の幅が18mmと仮定すると、マウント部分の内径は(パースによるズレもあるので誤差はあると思うが)おおよそ60mmほど、外形が70mmほどになると思われる。
これは従来の35mmフルサイズのマウントサイズよりもかなり大きく、むしろ富士フイルムなど中判ミラーレスのそれに近い。
また、テイザーの映像内ではマウント径を過剰に強調する反面、センサーサイズは完全に隠されている。つまりニコンは(現時点では)センサーサイズではなくマウント径を売りにしたい、ということだ。

センサーサイズはどうなるか

これまでの憶測では、35mm判一眼レフ機で市場を席巻するニコンキヤノンソニーに対抗すべく「フルサイズ」ミラーレス機を出してくるだろうと思われた。従来ならば「プロ御用達は一眼レフ」と胡座をかいていられたものを、ソニーのαが「プロのニーズに耐える」とお墨付を得るところまできてしまったことで、慌てて対抗策を用意せざるを得なくなった、というのがその筋書だ。しかしAPS-Cサイズとはいえ既に独自製造の全像面位相差AFを搭載するCMOSセンサーをミラーレス全機種に展開しているキヤノンはいざ知らず、消極的展開に終わったNikon 1しか持ち合わせのないニコンにとっては厳しい勝負になる。
ところが、ここへ来てニコンは敢えて「フルサイズのミラーレス」を予期させず、センサーを隠してマウントサイズを押し出してきた。ここから考えられるのは、つまり「ニコンは35mm判での勝負を避け中判市場に打って出る」ということだろう。

元々、現在の「フルサイズ」は、元はといえば単に「フィルム時代から継承したレンズ資産をそのまま生かせる」ことこそを強みとして成り立ったものに過ぎない。手持ちのレンズを、慣れた画角でそのまま使えるから、ボディさえ買えば新たにレンズを揃える必要がない。それこそが敢えて35mm判を選択する唯一の理由だった。逆に言えば、資産継承の必要がないのならばセンサーサイズを35mmにする理由はなく、むしろ像面を小さくした方がコンパクトで機動性に富んだシステムに仕上がる。
いち早く一眼レフ路線を捨てたマイクロフォーサーズの選択は正にそういう計算の上に成り立っている。
これに対して一眼レフメーカーは「センサーの大きさによる優位性」を打ち出した。もちろん間違ったことを言ってはいないのだが、本来の利点はあくまでレンズ資産の継承にこそあったのだから、自ら勝負どころを別の面に求めるのは強みを捨てることと同義である、ということを理解していたかどうか。
果たして、ソニーはそこに正面から組み付いた。なにしろソニーは世界最大のイメージセンサ製造元である。そこに相手から「フルサイズ」という土俵に降りてきたのだから、「同じサイズならば開発者有利」という単純な勝負だ。
そして実際にソニーはそれに勝利してのけ、今まで一眼レフががっちり押さえていた「プロ向け」市場に食い込んだ。
センサーサイズの差がなくなれば、あとは一眼レフが誇れるのはファインダーの見え方とバッテリの保ちぐらいのものになる。機能性について言えばミラーの動作という枷がなく、撮影前からの映像解析による補佐が可能なミラーレスの方が遥かに有利なのだから、勝負の土俵を間違えた時点でもうソニーの勝ちは時間の問題だった。

だからこそニコンが新ミラーレスカメラで敢えてセンサーサイズへの言及を避けたということは、恐らく真っ向から「フルサイズ」での勝負をするつもりがない、ということなのだろう。ならばどうするのか、もう答えは見えている:つまり「中判ミラーレス」だ。
APS以下のサイズに対してこそ「フルサイズ」は優位性をアピールできたが、元々35mm判なんてのはさほど大きなサイズではない。同じサイズでは勝負にならないのであれば、より大きなサイズへ土俵を移せばいいのだ。内径60mmの新マウントにはそれができるが、ソニーは(Eマウントを捨てない限り)中判を出せない。
もちろん、中判ミラーレスではレンズが揃わない。しかしどうせフランジバックが短縮されマウント径が変わり、一から揃え直すしかないのだったら同じことだ。

もしかしたら、25日の時点ではまだ35mm判しか発表してこないかも知れない。でも中判への移行を前提にマウント径を決めたであろうことは(推定される寸法が正しいならば)ほぼ確実だ。

追記アスペクト比16:9の可能性



映像でマウント内部のに真っ黒な矩形が見え、これが通常の3:2や4:3よりも横長であること、背面モニタも横長に見えることからアスペクト比16:9のフォーマットを採用してくるのではという推測。たしかに、紙焼きに合わせたサイズに縛られる必要がないならば従来のアスペクト比を維持する理由もなく、むしろ写真を表示する環境はほとんどPCのモニタだし動画ならテレビであることが多いと考えると、いずれも16:9を採用しているわけでカメラのフォーマットもそれに倣うのは理に適っている。

Fマウント/一眼レフはどうするのか

いかに新しいマウントへ移行するとはいっても、従来からの忠誠度の高いユーザを蔑ろにするわけには行かない。彼らに最大限の便宜を図りつつ、他社へ逃げられぬように新システムへ移行してもらわねばならない。
新たに出すのがフルサイズミラーレスならば、せいぜいFマウントと新マウントの間に挟むマウントアダプターを出すぐらいのことで、以降Fマウントは新規展開を終了して一眼レフ機は1機種を細々と販売継続する程度の、現在の銀塩一眼レフと同じぐらいの立ち位置になるだろうと予想された。
しかし、中判で出すとなれば俄然話が違ってくる。つまりは現状のAPS-C一眼レフ機と同様に、中判機より安価なグレードとして「フルサイズ機」を出せばいいのだ。マウント径は同じだから中判レンズを使用でき、マウントアダプターでFマウントレンズを使うことも可能な、乗り換え準備のための中間機。そして同時にFマウント一眼レフ路線も継続することで、「今まで通りの一眼レフ」+「一眼レフ資産を継承しつつミラーレス」という選択肢に加えて「もっと高画質にシフト」という新たな選択が可能になるという寸法である。
中判ミラーレス機にもハッセルブラッド富士フイルムといった先行する競合がいるが、いずれも充実しているとは言い難い状態であり、5年かけてフルサイズ用レンズを充実させてきたソニーと正面から戦うよりも明らかに分が良いだろう。またそれによって中判市場が活性化すれば、競合各社にとっても悪いことではない。

と、まあ妄想を逞しくしてはみたが、噂通りならば2日後には答えが明らかになるはずだ。答え合わせを楽しみにしておこう。

ソフトウェア本位時代のカメラ

中国HUAWEIスマートフォンP20が、「カメラ機能の優れたスマホ」として注目を集めている。

デュアルカメラを用いた、視差からの距離情報認識による「一眼レフのようなボケ」加工。しかもピント位置を撮影後に変更可能だ。
ダイナミックレンジの広いモノクロセンサー+色調と解像度に特化したカラーセンサーの合成による、小センサーカメラとは思えない階調表現。
電子補正のみで数秒間のスローシャッターにも耐えてみせる手ブレ補正機能。
そして撮影シーンを自動で判断して最適なセッティングに切り替えるAI認識機能。
もはや「カメラ付きスマホ」どころか下手なデジカメでは太刀打ちできないレベルの写りである。
いや製品のレビューをしようというのではない。それよりも注目したいのは、これらの機能のほとんどが「カメラとしてのハードウェア」ではなく、ソフトウェア処理によってもたらされているという点だ。

カメラは「光を捉える」装置であり、最も重要なのは精密に加工された光学系である。こうした製造技術に於いてはドイツや日本が群を抜いており、今までカメラといえばほとんど日本製、高級品についてはドイツ製……という認識があった。しかしデジカメの到来以降、その常識は通用しなくなりつつある。
デジカメでも光を導く光学系については従来と同じだが、光を捉えるセンサーから先の部分については電子的な処理が大きく影響し、たとえばデジカメに先鞭を付けたのは銀塩カメラメーカーでもなければビデオカメラメーカーですらなく、電子機器メーカーであるカシオだった。

しかし現在のデジカメ市場は、銀塩カメラメーカーが高級機分野を確立し、ふたたび光学機器優位の時代に復権を果たした……かに見える。
その反面、ニーズを開拓した電子機器メーカーはカメラ付きスマートフォンに押されて撤退しつつあり、市場は事実上「レンズ交換式高級カメラ」と「スマートフォン」に二分化されている。そのスマートフォン側の急先鋒こそがHUAWEIというわけだ。

HUAWEI P20は、ハードウェアとして見れば特筆すべき点は少ない。スマートフォンのカメラモジュールとしては大きめのセンサーも、「ライカ」ブランドを冠したレンズも、コンデジとしてはなにも目新しいことはなく、「レンズが2つある」ことですら、今や特筆に値するほど珍しいものではない。
にも関わらず、ありふれた技術の組み合わせが作り出す画は驚くべきものだ。少なくとも、スマートフォンのカメラどころかちょっとした高級コンデジの域をも上回っているように思われる。
この事実が示すのは、つまるところ「光学機器より電子機器、ハードウェアよりソフトウェアの勝利」なのだろうと思われる。

「ドリルを買いにくる客が本当に欲しいのはドリルではなく穴だ」という格言があるが、カメラで言うならば「本当に欲しいのは高機能なカメラではなく写りの良い写真だ」ということになる。もちろん従来より自動露出補正やらオートフォーカスやら「簡単にちゃんと写せる」カメラの開発はずっと続けられてきたのだが、ではそうしたカメラで「良い写真」が簡単に写せたかというと、首を傾げざるを得ない。それはスマートフォン時代にあっても同様で、「写りの良い写真を見せびらかす」欲求の高まりと共に一眼レフやミラーレス需要が喚起されていることからも、これまでのカメラが「写りの良い写真」という需要を満たせていなかったことが伺える。

しかしP20は、ソフトウェアの力で問題を解決にかかった。「撮影者が撮りたいもの」をカメラが認識して最適な撮り方をサポートし、また加工によって「写りの良い写真」に見せるよう補正する。カタログスペックを誇るのではなく、ただ結果を出すことに徹した道具だ。それはまだ発展途上ではあり、「顧客が本当に欲しかったもの」に届かない部分もあるのかも知れないが、それでも一番近い場所にはいる。
これがハードウェアスペックではなくソフトウェアから生み出されているという事実は、今後のカメラが向かうべき方向を端的に示しているのではないだろうか。

そして日本のメーカーは全般に、ソフトウェア開発力が弱い。これは何もカメラに限った話でもないのだが、これまでハードウェアの土俵で勝負してきたメーカーばかりであるためどうしても開発体制がハード偏重であり、結果として「ソフトウェアの発展速度に追い付けなくなっている」ように思われる。

かつて高級カメラの雄として知られたライカは、(現在もまだその地位を失ったわけではないものの)「ライカのブランドを付けた他社のOEM製品を高く売る」メーカーに堕しつつある。光学機器メーカーとしては一流であっても電子機器メーカーとしての力がなかったからだろう。
国内でも、「本格的なカメラ」としての地位を築いてきた一眼レフはついにミラーレスに追い越された。元々が「フィルムが邪魔で撮影像を確認できないので仕方なく」ミラーを付けていたに過ぎず、センサーが捉えた像を直接確認できるデジカメ時代にあっては無用の長物であることは疑いようがない。それでも今日まで生き永らえていたのは単に液晶ディスプレイの性能が追い付いていなかったために光学ファインダーに利があったからでしかなく、並ばれた時点でもう先がないことは明らかといえる。家電メーカーと揶揄されてきた側が伝統あるカメラメーカーを追い落とすのだ。
そして光学機器メーカーとしても電子機器メーカーとしても一流である日本のカメラメーカーは今後、ソフトウェアメーカーとしての弱さによって中国あたりに追い落とされにかかるのかも知れない。10年後、20年後、日本のカメラはまだその地位を保っていられるだろうか?

雨を撮る


雨の日は気分も晴れない。
陰鬱な空。体に纏わり付く湿気の不快感。外に出るにも傘が要るし、なにかと億劫だ。
だけどそんな雨の日も、カメラがあれば楽しい日に変わる。

雨の日はいつもと違う写真が撮れる日だ。すべてのものが濡れて色を深め、水たまりは風景を反射し、草花には水玉が転がる。マクロで水滴の向こうに写し込まれた景色にピントを合わせてもいいし、激しい雨なら暗めの背景に雨粒の流れを写すのもいい。陰鬱な空の色も弱々しく散乱する光も、撮りようによってはしっとりと落ち着いた雰囲気を出してくれる。雨上がりには日光を受けて輝く水滴が見られるし、夜には地面がネオンを反射して幻想的に彩られるのも素敵だ。
そう考えると雨も悪くない。

さあ雨を撮りに行こう……と言いたいところだけれど、それには準備が要る。機材を濡らしてしまうのは好ましくないし、傘を差していると片手が塞がって撮りにくい。
そういうわけで今回は、撮影用の雨具の話。

体を雨から守る

正直、レインウェアってあんまり良いイメージを持っていない人、結構いるんじゃないだろうか。
子供の頃に着せられたようなレインコートのすごく安いやつなんかだと単なるビニール生地の服で、たしかに水は通さないんだけど内側に熱が籠るし、汗も通さないので湿ってベタつく。耐久性を高めるためなのか厚手のビニールだったりすると硬くゴワゴワした感触で、重量も結構ある。特に半袖で肌に直接レインウェアが触れることになる夏などは不快感が強い。

でも最近のレインウェアはちょっと違う。水を通さず汗の蒸発は逃がす「防水透湿」素材で作られたものも多く、薄く軽くて熱が籠りにくく、肌触りも良い。いつの間にか雨具も進化しているのだ。

特にスポーツ用のやつは、雨の中で長時間着たまま激しく動くことを想定しているので、脇の下など濡れにくい場所に空気を取り入れるベンチレーションがあって風通しが良かったり、また登山などではしばしば多数の荷を背負うことになるので、携行するレインウェアもなるべく薄くて軽くなるよう工夫されている。
もちろん街中での撮影用途ならそこまで高性能なものじゃなくてもいいんだけど、でもせっかく雨の日を楽しもうというんだから、快適さにはお金をかけた方がいい。薄くて軽いやつなら傘の代わりにいつも鞄に突っ込んでおくことだってできるし、荷が軽くなるのは(交換レンズなどで重くなりがちな)カメラと一緒に持ち歩く時にだって嬉しい。

各メーカーから色々なものが出ていて、品選びは悩ましい。私も色々知っているわけではないので、ひとまず自分が購入時したものを貼っておく。

(ホグロフス)HAGLOFS L.I.M PROOF JACKET MEN 602501 2C5 TRUE BLACK S

(ホグロフス)HAGLOFS L.I.M PROOF JACKET MEN 602501 2C5 TRUE BLACK S

実測で243g(男性用Lサイズ)の撥水・透湿レインジャケット、フード・胸ポケット付き。袋はないので畳んで丸めてフード部分に突っ込む形でまとめている。折り畳み傘より少し嵩張るけど少し軽い。
ただ守れるのは上だけ(パンツは買わなかった)なので、そこは割り切る。
これで雨の時の動きがかなり軽やかになったけど、フードがそれほど深くないので顔が濡れるのはちょっと気になる。なるほど、鍔付きの帽子が必要になるわけだ……

カメラを雨から守る

カメラは精密機器なので、決して水に強くはない。とはいっても少々の雨で壊れることはそう多くないけど、なるべくなら濡らさない方がいい。
カメラにかけるレインカバーというものもある。だいたいはレンズ先端を出す穴(ゴムか何かで軽く締め付けてレンズに固定できるようになっている)の空いたビニールシートみたいな感じで、裏側が空いているのでそこから手を突っ込んでカメラを操作し、ファインダを覗く。確かに雨からは守れるけど操作はちょっとやりにくいし、レンズの長さによっては守り切れないかも知れない。
カメラ自体を防水のものにする、という手もある。コンデジなら各社から防水機が発売されている。これらは水の中でも撮影できるような機材なので、雨ぐらいならなんともない。ただレンズも交換できないしセンサーも小さいので、割り切って使うのでなければちょっと不満が出るかも。
価格.com:防水カメラ

レンズ交換式にだって、水に強い機種はある。
ニコンNikon 1にはAW-1という「レンズ交換式防水カメラ」があって、これは15mまでの水中で撮影が可能だ。すごく良い試みだと思ったんだけど結局専用の防水レンズがキットのズームレンズ1本しか出ずに終わってしまった。
その他のカメラメーカーでも防滴防塵のカメラは色々出ている。
価格.com:防滴機能を持つ一眼ボディ
ボディだけ防滴でも、レンズが壊れてしまってはどうしようもない。各社、レンズについても防滴製品がある。

主要なものだけ抜き出したが、これだけあればボディとレンズについて結構満足の行く組み合わせを見付けられるんじゃないだろうか。

鞄を雨から守る

これはまあ、鞄にかける防水カバーなども売られているけど、普段使っている(防水じゃない)鞄をそのまま使いたいということでなければ、別途防水性の鞄を用意した方が話が早い。
防水カメラバッグなんかも色々出ている。

私は普段からターポリンのメッセンジャーバッグを使っているので、少々の雨程度なら気にしない。

雨の撮り方

雨が降っている様子を撮りたければ、背景が暗い場所を探そう。水滴は白っぽく見えるので、白けた空など明るい背景では溶け込んで見えなくなってしまう。
シャッタースピードが早いと雨粒が止まって見える。流れるような雨をイメージする時はシャッタースピードを遅めにする。だいたい1/160より下ぐらい、1/80〜1/50ぐらいだと雨粒が流れて線に見える。1/10ぐらいになると白糸のような繊細な雨に写る。
まあこの辺は好みで、色々と試してみよう。ただシャッタースピードが遅くなると手ブレしやすいので、三脚で固定するなど対策が必要になってくるかも。

レンズはなるべく望遠がいい。これは何故かというと、圧縮効果で雨の密度が上がるからだ。広角だと広い範囲に雨が散らばるので密度が低くなるが、望遠だとたくさんの雨が重なって強い雨に見える。

水滴を撮る場合はもちろんマクロが要るけど、マクロはなにしろすごく狭い範囲を大きく写すから、ピントや手ブレがすごくシビアになる。意識できないぐらいの微細な体の揺れでピントがずれたり手ブレでぼやけたりする。
ピントについては、ミラーレスならば強い味方がある:それが「タッチシャッター」だ。これは背面液晶モニタをタッチすると、その場所にピントを合わせ、合った瞬間に自動でシャッターを切る機能で、手ブレでピント合わせが難しい場面でも確実に合焦してくれる。
ブレの方はシャッタースピードでなんとかしよう。雨の日は暗いのでシャッタースピードが遅くなりがちで、手ブレも被写体ブレも起こしやすい。ノイズがあっても不鮮明に写るよりはマシなので、思いきってISO感度を引き上げてシャッタースピードを稼ぐといい。だいたい1/250秒ぐらいあれば手ぶれはかなり抑えられるはずだ。

あと、雨の夜景とか水溜まりに映った景色とかを撮りたい場合。基本的にはカメラを地面/水面ギリギリの高さに置くと反射する範囲を大きく撮ることができていいのだけれど、カメラを水に直置きすると(防滴製品でなければ)ちょっとまずい。そういう時は「低い三脚」を使おう。

Manfrotto 卓上三脚 POCKET三脚Lブラック MP3-D01

Manfrotto 卓上三脚 POCKET三脚Lブラック MP3-D01

普通の三脚は立って使うことを前提としているからカメラ位置がかなり高い。脚を伸ばさずに使うことで低くできるやつもあるけど、それでも30cmぐらいの高さにはなる。
スマートフォン用のミニ三脚などでも10cmぐらいの高さはあるし、耐荷重や安定性的な意味ではちょっと不安がある。
そこへ行くとこの板状の三脚は脚の長さが数cmぐらいしかないので、すごく低いところで角度を調節して置きたい時とかには便利だ。耐荷重も1.5kgあるので、フルサイズじゃないミラーレス機であれば耐えられるんじゃないかな……

耳に挿れないイアフォンを

私の耳はどうも標準的な形状から外れているらしく、現在の主流となっているカナル型イアフォンが耳道に収まらず、押し出されて脱落してしまう。
昔ながらの耳介軟骨に引っ掛けるインナーイアフォンならば使えないこともないが、耳の硬い面に当たるのでしばらく着けていると痛くなってくるし、やはり脱落しやすい。
耳かけフックで支えるタイプは脱落の心配こそないが、眼鏡の蔓と干渉するため好ましくない。
ヘッドフォンもまた蔓を押し付けてしまうため、着用していると耳の上あたりが痛くなる。一応、イアパッドの柔らかい機種にすることで圧迫感を減らし、ヘッドバンドを長くすることでイアパッドの上側を開き気味にして圧を減少させ、また着用時は眼鏡の蔓をイアパッドの上にかけるようにしてみる……など工夫すれば使えないわけではないのだが、色々と気を使う必要があるのは若干面倒だ。
ついでに、雨具を傘からレインジャケットに替えたこともあり、フードを被るのにヘッドフォンだと邪魔になるという問題もある。

そういうわけで、「しっかり固定できて脱落しない」「眼鏡と干渉しない」「フードの邪魔にならない」を条件として新たにウェアラブルな音響装置を選定することにした。
基本的な候補としては、「肩に乗せるスピーカー」「骨伝導タイプ」そして「耳朶を挟んで止めるタイプ」の3種である。

ウェアラブルネックスピーカー

Amazon:ウェアラブルネックスピーカー
首から肩にかけて小型のスピーカーユニットを乗せ、耳に近い位置から音を鳴らす個人用スピーカー。
主に映画やゲームなどで、大型のサウンドシステムを導入できない場合に迫力をカヴァーすることを目的にしているらしく、重低音を「体感」するための振動板が入っていたりする。
音楽プレーヤーとの接続をメインにしていないため、専用のワイアレス送信機を据え付ける必要がある機種もあり注意を要する。また比較的高価格(2〜5万ぐらいが中心のようだ)。
これはこれで興味はあるものの、周囲に音が伝わるスピーカーでは通勤中の音楽再生用途に向かないので、今回は見送る。

サウンドイアカフ「Ambie」

これは耳を挟んで止めるタイプの、変わったイアフォンである。
ambie.co.jp
耳介を後ろ側から挟み、耳道の側まで伸びた管で音を届ける。耳を塞がないために外の雑音もイアフォンからの音も遮音されないという特徴があり、装着方法も含め良くも悪くも独特。
有線型とBluetooth型があり、今回はBTモデルを買ってみた。

以下、レビューする。

装着感

イアカフユニットとネックバンドはシリコーンで被覆されており肌触りが良い。緩く丸まった細身のネックバンドは柔軟で軽く、首に沿って抜け落ちないが締め付けもせず、装着感はほとんどない。
イアカフも耳朶をしっかり挟み込むが圧迫感はなく、4時間ほど着けっ放しにしてみても痛みなどは生じなかった。
動いてもずれない程度の強さで固定されているが、頬擦りしたら取れるぐらいの弱さでもある。あまりないとは思うが、ネックバンドと繋がるケーブルを引っ掛けられてもイアカフが外れて断線せずに済むのではないかと思う。

耳の窪みに嵌まるのではなく耳道の方向を向くように調節せねばならないので、装着には若干の慣れを要する。サウンドを再生しながら一番良く聞こえるポジションを探るといいだろう。

音量

ユニットが小さくパワーが少ないのと遮音性がないため周辺音に紛れること、また音の発生位置が普通のイアフォンより遠いことが原因かと思われるが、音量は小さい。これまで使っていたヘッドフォンと同程度の音量を得ようと思うと、Musicの再生音量制限(これまで最大ヴォリュームを50%程度に抑えていた)を75%程度まで引き上げる必要があった。
環境音も素通しなので音楽に没頭する感じではないが、そういうものと割り切って使い分けるのが良さそうだ。なお音管の上から指を添えて遮音性を高めてみると伝わる音量も上がるので、もう少し遮音性性を高める交換用イアピースとか出てもいいのではという気もした(有線モデルは取り外し可能だがBTモデルは接着されているので、外付けがいいのかも知れないが)。
音量を上げない限りは周囲の音を阻害することもなく、音楽を流しっ放しで普通に会話できる。自分にしか聞こえていないことを忘れそうだ。
なお、(恐らく通話時に声が遠い時の対策なのだろうが)ネックバンド左のボリューム+を押すとプレイヤー側の設定ヴォリュームを越えて音量を上げることが可能だ。ただし一時的なもので、プレイヤー側で音量を操作すると設定音量に戻る。

音漏れ

オープンエアなのでどうしても漏れるだろうと思っていたが、実際に試してみると意外なほど漏れは少ない。耳朶から抜き取った時点でもう聞こえなくなる、ぐらいに音の伝達範囲は限定的だ。
勿論これは音量にもよってくる。雑踏でもはっきり聞き取れるようにかなり音量を上げた場合は、耳から50cmほど離して机の上に置いても「何か鳴っている」ぐらいには感じられた。
まあ周囲がうるさい場合は漏れた音もまた雑音に紛れてしまうが、いずれにせよ音量は下げ気味に、感覚としては「店内でBGMが鳴っている」ぐらいのところに留めておくのが良さそうだ。あくまで集中して音を聴くためのものではなく、漠然と音楽を流しておくためのものと割り切った方がいいだろう。

音質

わかっていたことだが、低音はぜんぜん鳴らない。拍手の音さえ違ったものに聞こえる。
が、中高音域は結構クリアで、ヴォーカル曲などは違和感なく聴くことができる。反面、ドラムを多用するロックなどはどうしてもショボい。意外だったのは音域・音量ともにレンジの広いクラシックで、もっと貧相かと思ったら結構ちゃんと聴ける。
面白いのは音場感だ。イアフォンのように「耳の中で鳴っている」とかヘッドフォンのように「耳の側で鳴っている」感があまりなく、なんというか「前の方から音が来る」感じに聞こえてくる。最初はiPadのスピーカから音が出ているのかイアカフが鳴っているのか判別できなかったほどだ。
一人用のBGM装置としての効果が極めて高いので、たとえばゲームのサントラなどBGM用の曲がすごくマッチする。

使い勝手など

BluetoothのペアリングはNFCに対応しておりタッチで完了するらしいが、iPadにはそれがないので手動でペアリング。電源OFFの状態から電源ボタン長押しで起動→LEDが青く光ったらiPadの設定画面でBT機器をタップしてペアリング完了と、まあこの辺りは他のBT機器と特に違いはない。

通信の感度はかなり弱い。私はiPadなので普段は本体をショルダーバッグに入れて腰のあたりに下げておくのだけれど、イアフォンのBTレシーバ 部分と距離にして1mも離れていないだろうに、少しの姿勢差程度でそれはもうブツブツ切れる。「はっきり聞く機材ではない」特性が却って救いになるほどに切れる。
体の水分が通信を乱しているのか、手に持って使っている時などにはほとんど切れないので、リンク先がスマートフォンで胸ポケットに入れておくような使い方なら大丈夫なのかも知れない。しかし私のように鞄に入れて腰より下ぐらいに下げる使い方だと、少し首の角度を変えたとか手を下ろしたとか、その程度でも途切れる。正直なところ、Bluetoothモデルじゃなく有線モデルにするべきだったかと後悔するぐらいに切れる。ここは最優先で改善して欲しい。

充電はマイクロUSB、フル充電に2.5時間、連続再生時間は公称6時間。長くはないが、充電ポートがネックバンド側であり充電中も電源が切れることはないため、必要ならばモバイルバッテリーで給電しつつ再生することも可能ではある。
(なお実際の持続時間を調べてみようと朝から再生しっ放しで放置しつつiPad側でバッテリ残量表示を確認してみたが、4時間経過時点で70%、8時間で50%となっていた。フル充電後、ペアリングしっ放しでずっと使ってみたところ12時間ほどで電池切れとなった)
全体がシリコンで被覆されてはいるが、防水仕様ではない(充電用のUSBポートなどが開口しているためだろうか)。挟んで止める形式からずれ落ちにくくスポーツ向きであるように思われるので、この点はちょっと残念。将来的に防水モデルが出ることを期待したい。

骨伝導ヘッドフォン

Amazon:骨伝導ヘッドフォン
鼓膜を震わせるのではなく、骨を介して内耳まで直接振動を送り込むことで音を伝えるヘッドフォンである。
耳道を介したイアフォンとは異なり耳の中に固定する必要がない。ただ、左右の耳にそれぞれ振動を伝えるためにはだいたい耳の付近に押し付けるのが好ましく、耳道の前や耳介の後ろあたりに振動ユニットを押し付けるために耳かけフック式か頭を左右から挟むバンド形式のものが多く、眼鏡との相性はあまり良くない。
また、鼓膜を通す音とは聞こえ方が異なるため、音声の聞き分けはともかく音楽用となると厳しいのではという印象もある。

その中で、振動ユニットの固定に耳朶を挟むクリップ方式を採用した「earsopen」という製品がある。これなら眼鏡との干渉については問題ない。
www.boco.co.jp
耳に挟むイアピースとコントローラのみの有線型とネックバンドにイアピースが繋がるBluetooth型、それに一種の補聴器としての機能を有する会話用Bluetooth型の3モデルがラインナップされている。

ambieのBT接続が使いものにならぬほど酷かったので、こちらを買い直してみることにした。
以下、レビューする。

装着感

クリック感があり段階的に開き角を変更できるアームによって耳介軟骨を挟むようにしてユニットを固定する。アームの先端にはシリコーンのカバーが着けられておりクッション性を有するが、ambieに比べ装着感は固く、圧迫感による若干の痛みがある。earsopenの方がユニットが大型な分だけ重みがあり、しっかり固定せざるを得ないのも影響しているのだろう。付属のシリコーンカバーピースに異なる形状のものがあるので、場合によってはそれらを試してみるといいかも知れない。
また全体が丸みを帯びたambieと異なりearsopenのユニットは角張っているので当たり方によっては擦れて痛くなりそうだ。この辺りはデザインに再考を要する。
ネックバンドも太く、シリコーンで滑らかに覆われているため肌触りは良いが、ambieよりはかなり重い。それで疲れを感じるほどではないが、耳に装着するユニットの方はあまり長時間の利用はちょっと辛いかも知れない。

音量

ユニットはかなりパワフルである。どれぐらいパワーがあるかというと、ドラムなどの瞬発的な低音によってユニットが発する振動が耳朶で感じられるほどだ。むしろこの振動を目安として、音量を絞った方がいいだろう。

音漏れ

かなり漏れる。静かな部屋の中だと、耳から外して胸元に下げたユニットから漏れる音が、iPadの音量4でも小さく聞こえてくるぐらいに漏れる。ギリギリで音が聞こえる程度の音量調整が求められそうだ。

音質

ハイレゾ」を謳ってはいるものの、お世事にも「いい音」とは言い難い。もっとも、これはユニットの問題というよりも多分に骨伝導という方式の特性なのだろうとも思われるが、他の骨伝導ヘッドフォンと聴き比べたわけではないのでなんとも言えない。
中音域はクリアに聞こえるが、低音はかなり寂しい。また、どうやら聴こえにくくなる部分の音域について倍音強調で補うらしいのだが、その故か普段と音色が違って聴こえる感じがある。
まあこの辺りはどうしてもスピーカー>ヘッドフォン>イアフォン>骨伝導な感じが否めないので、相応に音質は厳しいという前提の上で「その割には結構聴ける」。

使い勝手など

イアユニットは片手で開いて片手で止められるので、ambieよりも装着は容易。
固定はしっかりしており、激しく頭を振ったりしても落ちる気配はない。
ただ、ambieよりもユニットが重いために取り付け位置によっては歩行の振動などで耳が揺れるのが若干気になる。

通信品質については、ambieの時ほど厳しい感じはなく、普段はiPadを鞄に放り込んだ状態でも問題なく聞ける。ただ、状況によっては頻繁な音飛びを生じる場合があって、原因がよくわかっていない。人混みの中と雨の日にそうなったので、もしかするとBTは宿命的に水分と相性が悪いんだろうか。

ネックバンドはambieのものよりも太く重い。その分だけ通信性能も高くバッテリ容量も多いのだが、細くしなやかで軽いバンドが首にフィットしたambieと異なり硬いものが首にかかっているだけなので、動きによっては鎖骨のあたりに軽い衝撃を生じることになる。せっかくイアユニットが激しい動きでも落ちないのに、これではジョギングなどの際には少々鬱陶しいのではという気もする。
またバッテリがambieよりも長く保つのに、イアユニットの長時間連続装着には不安がある(痛み的に)のがどう出るかは気になるところ。こちらも長期運用の結果によって追記したい。

サブウェイ改造案

サブウェイが苦戦している。
サブウェイが4年で170店舗も閉めた理由 | プレジデントオンライン
ここでは「コンビニの発達した日本ではおにぎりや弁当に敵わない」と分析しているが、米国でも店舗閉鎖が相次いでいるようで、問題はもっと別のところにあるのかも知れない。

一度でも利用したことがあればご存知かと思うが、サブウェイの注文システムはちょっと独特だ。注文者はカウンターの端でどのメニューを注文するのか店員に告げる。すると「パンの種類と長さ、トーストするかどうか」「追加するトッピング(有料)」「具材と一緒に挟む野菜の種類や量の指定」「ドレッシング・ソースの種類」を順に訊きながらカウンターを進んでゆき、組み合わせて出来上がったサンドウィッチと共にレジに到達する。そこでサイドメニューなどの要求があれば一緒に注文し、支払いを済ませる。
このような「客と担当者が一緒に移動する流れ作業方式」によって細かいカスタムオーダーに対応しているのだ。もちろん、面倒なら「おまかせ」で済ませてもいい。

このカスタムオーダー方式は苦手な食べものがある人や逆にたっぷりの野菜を食べたい人などには好適な仕組みだが、その反面「色々と選ばされる」という問題がある。慣れてしまえば特段難しいことではないのだが、初めてで勝手がわからない時には軽くパニクるかも知れない……特に、後ろに他の客が並んでいる場合は。
実際、サブウェイに対するネガティヴな意見のほとんどは「値段が高い」と「注文が難しい」に集中しているようだ。

値段はまあいいとしよう。それは利益率の問題でもあり、あるいはターゲット層の問題でもある。「高いと感じる客に向けた店ではない」という割り切り方は可能だ。
問題は「注文が難しい」の方で、これは値段とは別のところで客足を遠退かせる原因になってしまう。

べつにオプションが多い注文が受け入れられないということはない。ラーメン屋でトッピング注文するのだってピザの出前で4種類盛り合わせを注文するのだってオプションの種類には大差なく、しかしそれが障害になっているという声は聞かない。オプションを連ねると呪文のようになり注文が難しいと揶揄されるスターバックスだって、それで敬遠されるという声はあまり上がらない。
じゃあ何が難しいのか、というと……恐らく「制限時間」ではないかと思われる。

前述の通り、サブウェイの注文は流れ作業方式だ。つまり自分が選択に時間をかけていると後ろの客がそこで待たされることになり、そのプレッシャーが注文への焦りとなる。
逆に言えば、この注文方式を改善すれば、プレッシャーから開放されゆっくりと好きな組み合わせを選べるようになり、オプションの多さはポジティヴな要素に変わるのではないか。

たとえば注文をアプリ化する。まずは店頭でバーコードをスキャンして注文店舗を確定、次にメインの具材→パンの種類→トッピング→野菜→ソース……とオプションを選んで(デフォルトの組み合わせが自動入力されているので好きに入れ替える)、複数注文したければ「ご注文を続ける」で冒頭に戻る。すべての注文をカートに入れたなら「お支払い」に進み、そのままオンライン決済で済ませるか、あるいはレジで画面を見せて現金で支払う。これで注文番号が確定、出来上がったら通知されるので商品を受け取る。
予めアプリをインストールしないと注文できないというのはちょっとアレなので、なんなら店内に専用のタブレット注文端末を用意してもいい。操作がよくわからないという人も出てくることが予想されるので、そういう時は店員が注文を聞きながら代わりに入力して、確認ののちレジへ案内する。

これなら注文を急かされることもなく、ゆっくり選ぶことができると思うんだけど、どうだろうか。
追記:この「注文アプリ」案にこんな反応を頂いた。


「お気に入りの組み合わせを登録しておいて1タップで注文できる」「おすすめの組み合わせをオンラインで共有できる」のはいいアイディアだなぁ。

なおサブウェイは
公式サイトで注文方法を説明している。わかりにくさは自覚しており多少なりとも改善しようという努力は感じられるが、実際の問題が「流れ作業でのオプション指定」にあるのだとすれば、本当に改善すべきはそこではない、ということになる。
個人的には好きなチェーンなのだが近隣に店舗がないため食べるに食べられずにいるので、経営改善して店舗増加してくれることを期待している。

一眼レフとミラーレス、よくある誤解

今、ミラーレスの立ち位置は微妙なところにある。元々センサーサイズが一眼レフよりも小さい規格から広まったこともありハイエンド指向の一眼レフユーザからは下に見られがちな反面、135フルサイズのソニーαなどがハイエンド向けにも高く評価された結果として逆に「もう一眼レフは古い、これからはミラーレス」みたいな妙な期待感が高まっていたりもする。どちらも些かバランスを欠く見方に思われる。
また、その結果として性能や特性について誤った風説が流布されているように感じられたので、ちょっと修正しておく必要があろうと考え、これを記す。

一眼レフ/ミラーレス/コンデジという区分について

カメラの種別はそれぞれに由来が異なるため、排他的……つまり「AかBかにはっきり分かれる」ように分類できない面があり、その曖昧さが話をややこしくしがちである。ので、まずこれをちょっと整理する。

一眼レフは、レンズの後ろに斜めのミラーを置き、その後ろにあるフィルムや撮像素子を避けてレンズからの像を視認するファインダーを持つカメラを言う。フィルムカメラではこれ以外にレンズからの光景を直接見る方法は(基本的に)なく、あとは撮影用レンズの上に視認用に同じレンズをもうひとつ持つ二眼レフや、撮影範囲確認用の覗き窓を持つビューファインダー、ビューファインダーに左右の小窓からの視差映像を重ね合わせてピント位置を確認するレンジファインダーなど、撮影レンズとは少しずれた視点から見るやり方しかなかった。
ところがデジタルカメラは出現当初から、センサーに写る映像を直接ディスプレイに映し出して確認できた。ミラーによる反射(レフレックス)がないから一眼レフではないが、一眼レフが複雑な機構で実現していることをもっと直接的に行なったのだ。その意味ではたしかに、「一眼レフ以外のデジカメはミラーレス」ということができる。
しかし実際には、「ミラーレス」という言葉が一眼レフ以外のすべてを指すことはない。その前にまず、「コンデジ」という区分があるからだ。

コンデジ=コンパクトデジカメは、そもそもがフィルムカメラ時代の、一眼レフやレンジファインダーなどレンズ交換式の大型カメラに対してレンズ一体型でビューファインダーの小さなカメラを指した「コンパクトカメラ」から生じている。したがって図体の大きさに関わらずレンズ一体型デジカメすべてがコンデジと呼ばれており、これはこれで用語として歪なのだが、現実問題として他に適当な呼び名が発明されていない。センサーを大型化して画質の向上を図った高価格路線を「高級コンデジ」と呼んだりはするが、それ以前に一眼レフ的なサイズを指向しているカメラとポケットに収まる大きさを指向するカメラとを呼びわける何かが欲しい。

ともあれ、まず「コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)」という区分が先にあって、後から「デジタル一眼レフ」が成立し、更にそこからミラーをなくした「ミラーレス一眼」という区分が登場したので、それが更に省略されて成立した語であるミラーレスは最初から「レンズ交換式だがミラーがない」デジカメのみを言い、一体型は除外されていることになる。

電子ファインダー(EVF)は光学ファインダーに劣る

何を以て優れている/劣っているとするか、というのはあるが基本的にはむしろ「EVFの方が様々な点で優れている」と言える。よく問題視されるのは「遅さ」と「見え方」だ。

常に光の速さで情報が到達する光学式に対し、電子式ではセンサーが光を捉える→ファインダーに写すまでに若干のタイムラグが発生することは事実だが、認識できるレベルの遅延時間ではなく、それよりも目が情景を捉えてから脳が把握するまでのタイムラグの方が遥かに長いため、実質的な差はないに等しい。

古いEVFでは解像度が粗く映像がはっきり見えにくい時代もあったが、現代のEVFは超高解像度液晶によってその問題はほぼ払拭されている。光学式ではファインダーで見える範囲と実際に写る範囲が完全一致しないが、EVFならば100%の視野率で表示できる。また露出補正やホワイトバランスの適用結果を見ながら撮ることができ、暗所での撮影も明るい映像で確認が可能である。さらにピーク強調によりピント位置を掴みやすい点でもEVFの方が機能的と言えよう。長時間露光による光の軌跡をリアルタイムに確認できるモードなどもあり、「仕上がりを予想しやすい」ミラーレスは撮影の敷居をぐっと下げてくれる。

ミラーレスは電子シャッター

知る限りでは、ボディに機械式のシャッターを搭載しないミラーレスはコンデジサイズのセンサーを採用したペンタックスQぐらいのもので(代わりにレンズ側に機械式シャッターがある)、ほとんどのミラーレスでは機械式シャッターを持っている(ただ、機種によっては先幕は電子式のみだったりすることはあるようだ)。
ただしミラーの跳ね上げによる手応え(ミラーショック)はないので、手に伝わる感覚の違いに戸惑うことはあるかも知れない。
また無音モードにするとシャッターが全電子式に切り替わり一切の手応えがなくなったりはする。

ミラーレスは撮影時にブラックアウトする

ブラックアウトというのは、撮影した像を取り込み処理するまでの間ファインダーやモニターに映像が表示されなくなる状態だ。これはセンサーからの転送速度限界と画像処理や書き込みのためにCPUの処理能力が消費されてモニタの表示を書き換える余裕がなくなることによって発生する現象であり、そのあたりのスペックに余裕を持たせたハイエンド機などでは発生しにくく、なかには完全にブラックアウトを解消した機種もある。
逆に一眼レフは、撮影の瞬間にはミラーを跳ね上げるため必ずファインダーが「ブラックアウト」する。シャッタースピードが早ければミラーは一瞬で戻るため無視界の状態が長く続くわけではないが、スローシャッターならばその分長く視界を奪われることになるし、原理的に避けようのない無視界が発生するという意味では逆にミラーレスに対して弱点を抱えていることになる。
とはいえミラーレスのエントリー機などでは未だブラックアウトを生じるのも事実で、用途によっては機種選定の際に注意が必要だろう。

ミラーレスは動きに弱い

これは複合的な要因によるので、個別に解説する。よく言われるのは、「シャッターが遅い」「AFが遅い」「像が歪みやすい」などだ。

ミラーレスはシャッターが遅い

これは何を比較しているのかイマイチ明確でないが、「シャッターの速さ」は機械式シャッターの動作速度限界による短時間露光の上限速度を示す場合と、シャッターボタンを押してから実際にシャッターが動作するまでのレリーズタイムラグを指す場合がある。

一般にシャッターの動作速度上限は機械的な構造に拠るため、速度を追求すれば部品の精度や材質などを高めざるを得ず、必然的に高価な部品となるためエントリー機では妥協する傾向がある。つまりミラーレスか否かによる差ではなく、ハイエンド機かエントリー機かの差だということだ。
対してレリーズタイムラグの方はシャッター部材の問題よりも、どちらかというと電気的なシャッターボタン入力からの反応速度の差であるため、ミラーレスかどうかにはまったく関係がない。というかむしろミラーを跳ね上げるまでの時間が挟まる一眼レフの方が速度的にはやや不利となる。

レリーズタイムラグはメーカーによって公表されていたりされなかったりするが、一例として


を挙げておく。ここでもわかるように一眼レフでは0.05秒を切ることはないがミラーレスでは0.02秒とあっさりそれを上回っている。

シャッターの速度についてはもうひとつ、前述の「EVFの遅さ」に絡んで、「そもそも目に入ってくる情報が遅れているためにシャッターを押すタイミングがずれる」と言われることも多い。が、EVFの遅延が体感不能なレベルであり認識の遅れの方がよほど問題になることは既に述べた通りであるので、実際にはミラーレスが遅いということはないものと思われる。
むしろ、この「人間の反応速度の限界」問題への対応に関してはミラーレス機の方が先を行っている。センサーで常時光を捉えておけることを利用し、シャッター半押し中は事前に映像を連写しておいてシャッターが押された瞬間+その前1秒間ぐらいの数十枚をすべて記録する「プリキャプチャー」機能や、同様に動画撮影しておいて最適な一瞬を取り出してみせる4K連写機能などで、人間が認識した時には過ぎ去っているシャッターチャンスをしっかり捉えることができる。
一眼レフで同じことをしようと思えば、「シャッターチャンスになりそうな瞬間を事前に察知して予め連写開始しておく」ぐらいしか方法がなく、徐々に近付く車両を捉えるなど予測可能な動きならばともかく、鳥が飛び立つ瞬間など不意の動きはどうしてもヒット率が低い。

ミラーレスはAFが遅い

一眼レフは専用の合焦センサーによる位相差AFを実装している。これは二つに分けた映像の僅かな視差からズレ量を判定する方式で、一瞬でピントのズレ方向とズレ量を計測できるため極めて高速な合焦が可能である。反面、専用センサーに光を導ける箇所が限られるため中央でしか焦点を合わせられず、またピントの精確さを欠く欠点もある。
コンパクトデジカメやミラーレス機のエントリーモデルではコントラストAFが一般的だ。これはレンズの焦点位置を動かしてみて画像のボケ具合の変化からピントを合わせる位置を確定するもので、精確な合焦が可能である反面、ピントのずれた方向を判定するために動かしてみる必要がある分だけ合焦が若干遅い。
ただ、ミラーレスでもハイエンド機ではコントラストAFに加えて撮像センサーの一部に位相差AFセンサーを組み込んだ像面位相差AFを併用するハイブリッド方式を確立しており、これは一眼レフの合焦の速さとコンデジのピントの精確さを両立させるものと言える。

つまり、「ミラーレスはAFが遅い」は情報が古いというか一般化しすぎというか、ハイエンドモデルではその限りではなく、むしろ精度を併せ持つことを鑑みれば総合的には一眼レフより上と言えるのではないだろうか。
ついでに言えば「カメラがピントを認識する速度」とは別に「レンズがピントを合わせる速度」も影響し、これはボディではなくレンズ性能によって変わるため、一概にどの機種が速い/遅いとも言えない。

ミラーレスだと像が歪む

これは「ローリング・シャッター」問題の話だろう。
カメラの撮像センサーは一般に、全体のデータを一度に読み取ることができない。そのため端から順に読み込んでゆくにあたり、読み出しタイミングに若干のズレが生じる。その僅かな間に被写体が動くと、本来の形が崩れて写ることになる。
だいたいのセンサーは横列ごとの読み込みなので、たとえば電車などが通過するところを撮った場合に最初の列で電車のいた位置よりも最後の列でいた位置の方が前にずれ、全体として下側が突出した平行四辺形に歪むことになる。また回転体を撮ると、このような理屈で妙な形状が発生する。

なぜこれがミラーレス特有の現象と勘違いされたのかは謎だが、あくまで撮像センサーの特性による現象なのでミラーレスだろうがデジタル一眼レフだろうが等しく発生する問題である。
最近では全画素を一度に読み込むことでこの問題を解消するセンサーの開発なども進んでいるそうだが、現在のところ実用化には至っていない。

結論として

  • ファインダのタイムラグはないに等しい
  • レリーズタイムラグはミラーレスの方が短かい
  • シャッターを押すより前に撮ることは一眼レフでは無理
  • AFの合焦速度は方式によって差があるが、ハイエンド機ならミラーレスも遅くない
  • 像の歪みは一眼レフでも生じる問題

なので、「ミラーレスの方が動きに弱いとは言えない」。

ミラーレスはバッテリが保たない

2つの理由から、たしかにミラーレスの方がバッテリの保ちは悪い。
ひとつは、撮影の瞬間にだけセンサーや背面液晶モニタを作動させればいい一眼レフに対してミラーレスは常時モニタやEVFを点灯させ、センサーで映像を捉え続けるために電力を多く消費すること。
もうひとつは、全般にミラーレス機の方が小型であることが多いためにバッテリ自体のサイズも小さめであること。

実際にどれぐらいの差なのか、調べてみた。

メーカー 機種 バッテリ容量 撮影枚数 1枚あたり
Nikon D850 1900mAh 1840枚 1.03mAh/枚
Canon EOS-1D X Mark II 2700mAh 通常撮影1210枚 2.23mAh/枚
Canon EOS-1D X Mark II 2700mAh ライブビュー260枚 10.38mAh/枚
SONY α9 2,280mAh ファインダー使用時480枚 4.75mAh/枚
SONY α9 2,280mAh 液晶モニター使用時650枚 3.51mAh/枚
OLYMPUS OM-D E-M1 mk2 1720mAh CIPA基準試験440枚 3.91mAh/枚
OLYMPUS OM-D E-M1 mk2 1720mAh 低電力モード950枚 1.81mAh/枚
Panasonic LUMIX GF10 680mAh 210枚 3.24mAh/枚

とりあえずフルサイズ一眼レフを代表してニコンキヤノンフラグシップ機、対比としてフルサイズミラーレスであるソニーフラグシップ機。
またミラーレスの中ではセンサーの小さいマイクロフォーサーズからもフラグシップ機とコンパクトなエントリー機をサンプリングした。
バッテリ容量はボディサイズの影響が大きい。最小のGF10ではわずか680mAh、最大のEOS-1Dでは2700mAhと4倍近い差がある。
電力の消費については、たしかに背面液晶モニターEVFへの表示が大きく関わっているらしいことがフルサイズの一眼レフとミラーレスの比較、あるいは同一機種での通常撮影とライブビュー撮影の差から伺える。

この中ではニコンD850の電力消費量の低さは突出している。決してバッテリ容量が多いわけではないのに撮影可能枚数では群を抜き、これぐらいの保ちが必要なのだとすればミラーレスはなかなか厳しそうだ。
ただ、ヘヴィデューティなプロユースを想定するとまだ一眼レフに一日の長ありとはいえ、アマチュアの日常的な使用範囲であればGF10の頼りないバッテリサイズですら不足に陥る局面はそれほどなく、予備バッテリを1〜2個携行する方がスタミナに優れた一眼レフを持つより遥かに手軽な選択だと思われる。

ミラーレスはボケない/ミラーレスは画質・感度が悪い

今更な話だが、ボケの強さはミラーレスかどうかの問題ではなくセンサーサイズの問題で、「135フルサイズよりも、よりセンサーの小さいAPS-Cマイクロフォーサーズの方がボケない」は正しいが「ミラーレスはボケない」ではなく、中判ミラーレスならフルサイズ一眼レフよりもボケる。
もちろん感度云々もセンサーサイズなどの影響が強く出るところであるので、問題はミラーレスかどうかではない。

画質について言えば、感度の問題でノイズの出やすさが違うという点ではたしかにセンサーサイズの影響があるのだが、それとは別に手ぶれ補正の恩恵というものも出てくる。
一眼レフの場合は基本的に、ファインダーにも手ぶれ補正を作用させようと思えばレンズ内で補正するしかない(例外的に、ペンタックスK-1は一眼レフながらボディ内手ぶれ補正を実装している)が、ミラーレスならばセンサーを動かしてのボディ内補正がそのままファインダーにも適用されるため、レンズ内+ボディ内の両方で補正できる。その分だけシャッタースピードを遅くしても撮影可能で、ISO感度を低く抑えることができるので、結果としてノイズの発生を抑えられるという面もあり、(他の条件が同一なら)一眼レフより画質は良くなるのでは、という話もある。

ミラーレスはセンサーが汚れやすい

これはまあ、「一眼レフと違ってミラーに遮られていない」という意味ではそうかも知れない。ただ、その分だけダストリダクション機能に力を入れているメーカーは多く、ホコリ程度であれば問題になることはない。もちろん手で直接触れたりするのは厳禁だが。
同様に「センサーが焼けやすい」というのもある。ミラーがないため直接カメラを太陽の方へ向けると焦点が文字通り焦げることがあるというもので、この点ではたしかにミラーレスの方が防御力が高い(が、もちろん太陽を撮るのは一眼レフでも避けた方がいい)。

ミラーレスより一眼レフの方が多機能

むしろ逆だ。
「一眼レフの方が高性能」な部分はたしかにある(AFの速度であったり、大半のデジカメよりも大きなセンサーによる画質や感度であったり)が、ミラーの存在による制約ゆえに「昔のカメラ」からの脱却が困難な一眼レフに対し電子的な機構のために自由度の高いミラーレスは機能面で言えば一眼レフよりも充実している。たとえばシャッター押下前に遡っての撮影記録機能などは一眼レフでは構造的に不可能だし、動画撮影なども一部機種にしかない。その他、コンデジやミラーレスにはよく見られる機能の一部、たとえば画像を加工するエフェクトフィルター機能や自撮りのための180度チルト液晶モニタなどは普通実装していない。

ミラーレスは小さくて軽い

これは「センサーサイズ次第」。
単純にボディの重量だけを比較すると、確かにすこし軽くはなる(フルサイズの一眼レフだと軽くて750gぐらい、ミラーレスだとフルサイズでも550gぐらい)。またフランジバックが短縮された分だけ厚みが減るので多少コンパクトではある。
しかし、むしろカメラの重量に大きく影響するレンズのサイズや重量は、センサーサイズが同じならばフランジバックが変わってもまったく変化がなく、たとえばニコンキヤノンソニーの3社で24-70mm F2.8のレンズを比較すると、大きさも重量もほとんど違いが見られない。

ならばセンサーが小さければその分だけ小さく軽くなるかというと、これもまた微妙なところで……たとえば現行のミラーレス中でもっともセンサーの小さなマイクロフォーサーズでも、最上位機種であるE-M1 mk-2やG9などはハイエンド系の一眼レフと(厚み以外は)ほぼ遜色ないボディサイズを持ち、重量も相応である。ただ、もっとコンパクトで軽い機種も選べるし、とりわけレンズがかなり小さくなるのは強みと言える(同じ画角を得るための焦点距離が半分になるためレンズの長さも半分で済み、またイメージサークルが小さい分だけ径も細いので重量も価格も1/3程度に抑えられている)。

ミラーレスはレンズが少ない

たしかに、各マウントの対応レンズ数を見るとキヤノンEFマウントやニコンFマウントは300を越える製品があるのに対し、ミラーレス機の対応レンズは多いものでも200を越えない。ただ、逆に言えば主要な機種では100〜200本ぐらいのレンズはあるのだ。比較すれば少ないとは言えるが、不足を感じるほどとは思えない。
じゃあなんでレンズが少ないと言われるかというと、恐らくは「135フルサイズ機を主力とするメーカーのAPS-Cなど小さいセンサー向けは」少ないから、だろう。上述のキヤノン製品で言えばAPS-Cミラーレス機用レンズはわずか40本しかない。ニコンは1インチセンサーのミラーレス機をラインナップしていたが、こちらはレンズ24本で打ち切られた。フルサイズもAPS-Cもミラーレスで展開するソニーα Eマウントでさえ、APS-C用は25本と少ない。
しかしAPS-Cが主力の富士フイルムXマウントは94本、オリンパスパナソニックの2社が中心となって展開するマイクロフォーサーズでは184本と、少なくとも本数を見れば充分なだけの厚みがある。

つまり要点は「ミラーレスvs一眼レフ」ではなく、「このメーカの主力はどっちなのか」でしかない、ということだ。もうちょっと自分の使っているメーカー以外も見てから言っていただきたいところ。

ミラーレスは部品が少ないから安い

たしかにミラーレスでは一眼レフで必須だったペンタプリズム(あるいはダハミラー)、跳ね上げ式のミラー、AFセンサーユニットやAEセンサーなどが不要になる分。しかしその代わりにEVFのある機種では液晶パネルが増えているし、また追従性を求めない一眼レフでのライブビュー撮影などと異なりミラーレスのEVFでは追従性確保のために表示更新速度の速さが求められ、また画像解析による機能性のためにも電子的な処理系の重要性が高い。したがって単純にミラーレスの方がコストが下がるとは言えないし、むしろ枯れた技術である一眼レフのボディ内光学系よりも発展を続けるミラーレスの電子系の方が常に新技術による更新が行なわれ価格が下がりにくいと考えられる。
具体的なコストの算出は容易でないが、少なくとも「部品が少ないからミラーレスの方が安い」とは言えないだろう。

ミラーレスと一眼レフのどちらが優れているか

両者は上下関係にあるものではなく、別の特性を持った製品である。あくまで各々の需要に応じて最適な性能を追求した結果としてそれぞれの機種に行き着くのであって、「ミラーレスは入門機、卒業して一眼レフへ」でも「一眼レフは時代遅れ、捨てて新時代のミラーレスに乗り換え」でもない。
ただ、どうもカメラ業界では「センサーサイズ大型志向」が強くあるようなので、それについては一言物申しておきたい。

センサーサイズはたしかに感度やノイズ耐性となって画質に表れる。その意味で大型志向が間違っているとは言わない。しかし、そのために犠牲にしている性能についても目を配るべきだろう。
コンパクトなカメラは画質や感度の面では確かに劣る部分があるだろうが、その代わりに「常に持ち歩ける」という重要な性能を手に入れている。撮りたいときに撮れる、それに勝る性能はない。たとえ優れた性能の道具であろうとも、手元にないものの価値はその時点では常に0だ。
これらは体感的なものであるから比較に表れにくいスペックだが、カメラを選ぶ時には意識しておいた方がいいだろう。とりわけ、これから始めようという人は日常的に撮影機会を増やすために小型なものから始めることをおすすめしたい。

また、一眼レフはファインダーに目を近付けて覗き込みながらの撮影となるが、普段スマホコンデジで画面を見ながら撮ることに慣れている人は、ファインダーを覗くよりも背面液晶モニタを見ながら撮る方がやり易い場合もある。ミラーレスにも、一眼レフ風スタイルを志向するものと背面液晶を重視するものがあるので、撮影スタイルに合った機種を探すといいだろう。