カルドセプト新作を予想する

ついにカルドセプトの次回作が発表された。タイトルは「カルドセプト リボルト」、これまでのような1st/2ndのリメイクではない完全新作、プラットフォームは3DS
これまで様々なプラットフォームを転々としてきたカルドセプトシリーズ初の1プラットフォーム2タイトル目、しかも(自社開発でない)「サーガ」以来10年ぶりの新タイトルとあって否が応にも盛り上がる。
全容どころかタイトルと短かいイメージ映像しかない段階で時期尚早なこと著しいが、居ても立ってもいられぬ心持ちなので早速判明していることを纏めつつ新作予想をしてみよう。

発表されていること

  • タイトルは「カルドセプト リボルト」
    • revoltとは「反乱」の意
  • OP映像は「閉ざされた門」
    • 世界を封鎖する存在とその開放が予感される
      • 「街を支配する伯爵が閉ざした」らしい
  • プラットフォームは3DS
  • 発売は2016年中

Nintendo Direct 2015.11.13 プレゼンテーション映像 - YouTube
omiyasoft | 最新作「カルドセプト リボルト」発表

予想できること

「サーガ」からの機構取り込み

カルドセプト サーガは2001年の「カルドセプト セカンド」以来5年ぶりの完全新作であり、様々なルールを新規に盛り込んだ意欲作……のはずだったが、大宮ソフト自身が開発に直接関われない(ゲームデザインのみ担当する)体勢となり、ルールとしては魅力的な新機軸が盛り込まれていたもののゲーム全体としてはバグだらけでまともにプレイできる代物ではなくなってしまった、悲運のタイトルであった。
作品としては失敗作に過ぎてその後顧みられず、そもそも大宮ソフト側にソースコードがない以上移植などもやりようがないため封印された状態にあったのだが、さりとてゲームデザインそのものが悪かったわけではない。となれば、新作にあたりサーガの要素を取り込んでくるというのは充分に考えられることだ。
複数の土地から地形効果を得られる「複属性クリーチャー」、場に出た瞬間に自身へ呪いを付加する「呪身」、場に出た瞬間に領地能力を発動可能な「即時」、スペル使用後に続けて他のスペルを使用できる「復唱」、セプター自身に付加される呪い効果でありながらその支配下にあるクリーチャーに対して効果が発揮される「加護」、そのほかマップの変動や新たな特殊地形(本作での追加要素:カルドセプト・サーガ=wikipediaより)など魅力的な変更が色々加えられており、そのまま棄ててしまうのは惜しい。既に「モーフ地形」は3DS版で採用済だが、他についてはルールそのものが大きく変化してしまうため見送られており、今回の新作ではそれらが復活するのでは……と見ている。

新たなプラットフォームホルダー象徴カード

カルドセプトシリーズでは毎作、そのプラットフォームごとに象徴的なカードを用意している。
初代セガサターン版ではセガサターン筐体そのまんまなクリーチャー「ミミック」、そのプレイステーション移植版であるカルドセプト エキスパンションではSCE開発タイトル「クラッシュ・バンディクー」からバンディクート、カルドセプトdsでは「ファイアボールを撃ち、ダメージを受けると小さくなる」パイロマンサー、あるいは青いハリネズミ「ヘッジホッグ」などもあった。
今回もそういった新カードを用意するとしたら何になるだろうか。任天堂の代表タイトルは多数あるのだが、今このタイミングで企画するならやはり「イカ」しかないのでは……しかし既にイクストルやダゴンなど頭足類を思わせる既存カードがある以上、何か「明らかにそれとわかる」けれども捻ったものを出してきそうでもある。新種族「インクリング」だったりして。
あるいはかつて存在したスペルカード「ジャッジメント」を復活させ絵柄をブチネコに……

勝手な要望

以下は「こうなったらいいな」を。

短時間化

カルドセプトは大変面白いゲームではあるのだが、1戦あたりの時間が長く、腰を据えて遊ぶ必要があるため気軽に遊べない面がある。このことは初心者の敷居を高くしてもいるし、また慣れたプレイヤーでも継続的に遊ぶ人を少なくする要因にもなっている。「たまに遊ぶ」にはすごく良いのに、「毎日遊ぶ」にはなりにくいというか。
なんらかの形で短時間化が図られると状況改善するのではないかな……という、漠然とした希望。
もっとも開発元もこのあたりは意識していると見られ、「テンポよく遊べるよう改良」するそうなので期待している。


カード集め

「勝つと少しだけ貰える」方式のカルドセプトでは昔からカード収集コストの高さが問題視されており、様々な手法でコスト圧縮が図られてきた。とりわけ3DS版では「ネットに接続すると毎日1枚もらえる」「不要カードをランダム交換してくれる商人機能」など公的にもそのあたりを意識した改善が見られたのだが、それでも劇的に変化があるわけではない。すべてのカードを入手容易に……とは言わないが、カードセット単位での入手など、ある程度「序盤からブックを組み易くする」方向に期待したい。

アバターアイテム

スプラトゥーン人気の一端にはファッションアイテムとしてのギアが欠かせない。他のゲームでもアバターキャラの外見変更はかなり重要視されており、なかには「性能と外見を別指定できる」機能を備えたゲームもあったり、あるいは「アバターの着せ替えだけを楽しむ」Webサービスがあったりするぐらいで、外見カスタマイズの需要はかなり高い。
しかしカルドセプトシリーズではアバターアイコンこそそれなりのヴァリエーション展開があるものの、細かいカスタマイズには対応せずに来た。唯一の例外はサーガぐらいだ。
新作ではそのあたり強化されると嬉しい。ゲームには全く関与しないのだけど、だからこそ遊び甲斐がある。

AI戦

かつてPS2版「カルドセプト セカンド エキスパンション」に搭載されていたAI機能は結構面白かった。デッキを持たせ、侵略率や魔力温存率などを設定するだけのもので、基本的にはシナリオキャラ以外の対戦相手を用意するための機能なのだが、特筆すべきは「AI同士の自動対戦が可能」だったこと。
友人同士のプレイの合間にこれを使って、持ち寄ったAIが戦うのを見ているだけ……というのがなかなか楽しかった。あれが復活してくれたら嬉しい。

amiibo対応

せっかく3DSにもNFCリーダが備わったわけで、どうせならamiiboカード発売してブックやカードセット入手できたり、あるいはアバター増えたりといった機能があったら良いのでは。特にカード入手(の手間短縮)は大人的にはすごく欲しい。

カルドセプト

カルドセプト

カルドセプト [オンラインコード]

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Culdcept 1 (1) マガジンZコミックス

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iPad Proを液晶ペンタブレットと比較する

iPad Proが発売された。iPadシリーズ初のA4サイズというだけでなく、専用のスタイラスペンを採用し「描く道具」としても期待されている。iOS用のアプリ上での制作だけでなく、やりようによってはMacと同期しての液晶ペンタブレット化も可能になりそうだ。
そうすると、既存の液晶ペンタブレット、あるいはタブレットPCとの比較が気になるところだ。

ざっと比較してみた。
スペックはメーカーの公称値。価格は執筆時点での価格.com最安価格を採用、iPad pro以外はオプション・カスタマイズなしでの仕様に因る。最も数値的に優れたスペックのみ強調表示した。

機種 画面サイズ(mm) 画面サイズ(px) 解像度(ppi) 本体サイズ(mm) 本体重量(g) 価(円、税別) 備考
iPad Pro Wi-Fi 32GB 263×197 2732×2048 264 306×221×7 713 106600 最安構成、キーボードなし
iPad Pro Cellular 128GB 263×197 2732×2048 264 306×221×7 723 159600 最高構成、キーボード付き
Cintiq 13HD 294×165 1920×1080 166 375×248×14 1200 95837 ペンタブ、独立動作なし
Cintiq Companion2 294×165 1920×1080 166 374×248×17 1700 154766 Winペンタブ
Cintiq Companion Hybrid 294×165 1920×1080 166 375×248×14 1800 124800 Androidペンタブ
VAIO Z Canvas 260×173 2560×1704 250 301×213×14 1210 269780
Surface Pro 4 260×173 2736×1824 267 292×201×8 786 134779 m3版、メモリ最小

あくまで比較可能なカタログ値のみを抜き出したものに過ぎず、ここから何かを評価するには些か不足の感があるけれども、これだけ見る限りだとiPad Proは優れた性能を持ちながら価格も決して高いものではないように見える。
ただ、逆にこれぐらいまで来るともうこれ自体がメインの作業環境になり得る感じなので、だとするとPCがバックアップ的役割を担うことになってきそうで、Mac miniでその辺りが賄えるかどうかが問題に……

ブレイクエイジの話をしよう

20年前に描かれた、「ロボット対戦ゲーム」漫画の傑作が、Kindle化された。漫画全10巻+外伝、それに小説がリリースされている。
BREAK?AGE 1BREAK?AGE 2BREAK?AGE 3BREAK?AGE 4BREAK?AGE 5BREAK?AGE 6BREAK?AGE 7BREAK?AGE 8ASIN:B0176EZKE8BREAK?AGE 10BREAK?AGE 外伝 ボトルシップトルーパーズ完全版
(理由は不明だが9巻のみリンクできない。はてな側の問題と思われる)

どんな漫画?

一言で表せば「Boy meets Girlでモラトリアム部活モノなロボットゲーム漫画」。

舞台は2007年の日本。既に過去の世界になってしまったが、漫画の執筆時点からすれば15年先の近未来だったことになる。
この時代、ゲーマーたちは専用回線を通じて多人数対戦する、大型筐体アーケードゲーム「デンジャープラネット」に夢中になっている。今でこそ2006年「戦場の絆」や2009年「ボーダーブレイク」などによってゲームセンターでの通信対戦ロボットゲームが実現してはいるが、この時点ではまだ「電脳戦機バーチャロン」すらない時代である。

デンジャープラネットの特徴は、「自分でロボットが設計できる」ことにある。
現代のゲームでも、用意されたパーツを自由に組み合わせた「オリジナルの機体構成」は可能だが、デンジャープラネットでは専用の編集ツールを使用することで既製品の機体構造そのものを改造することが可能であり、それを持ち込んでゲーム内で使用できる。ある意味で現在のPCゲームに於けるMODめいた、データの自作がユーザの手に委ねられているのだ。
これは個人ユーザの話に留まらない。デンジャープラネットは、それ自体がある種の「ロボット・シミュレーション・プラットフォーム」であり、その上で動作可能なロボットを、他メーカーが制作し販売することを可能としている。単なる1ゲームタイトルの域ではなく、そこには「仮想ロボット産業」が成立しているのだ。

ゲームに夢中になったことのある諸兄は、一度ならず「作る側になってみたい」という夢を抱いたことがおありかと思う。この世界では、それが「仮想ロボットを作る側になりたい」という形になる。
しかし、仮想ロボットの設計には、ソフトウェア/ハードウェア工学の素養が必要だ。ゲーム産業に憧れるティーンエイジが工学を学べる場所といえば……そう、工業高校/大学である。
そんなわけで、主人公は国府高専ビデオゲーム同好会に所属する高専生であり、部活とゲームセンターの話が中心となる。
人気ゲームが一大産業化している世界なのだから、ビデオゲーム研究を旨とする同好会には人が集まりそうなものだが、部員数ほんの数名の弱小同好会に留まっているのは、ひとえに「先輩が変人」だからであろう。ビデオゲーム同好会の創設者にして会長であり、「4年生以上は私服」の規定を最大限に濫用した着ぐるみ登校者、また留年限度一杯まで学生生活を謳歌している「卒業しない4年生」。彼を中心とした部活描写は、永遠に続く(かのような)遊びの時間を追い求めるモラトリアム生活である。

そしてBoy meets Girl。主人公は、ゲーム上での最強ライヴァルであるヒロインにこう申し込む。
「俺が勝ったら、つき合って」
「あたしが勝ったらチャラってことね?」
ゲームを通した、友情に限りなく近い恋。趣味を共有する分だけ距離の近い、けれどそれ故に踏み込めない、そんな関係性。
しかしヒロインは、明かせない秘密を抱えていた。それはやがて、主人公を、社会を巻き込み環境を一変させてゆく──

これはそんな、「ゲーム社会」SF漫画だ。(やたらと美形だったり優れた技能者だったりする面はあるけれど)普通の人たちが普通に暮らす、社会にゲームが浸透した、現代の日本と何も変わらない、だけれど魅力的な夢の詰まった、そういう社会を描く漫画だ。

試し読みできる?

ここに、内容を簡単に紹介したPVがある。

コミックスからの無断裁スキャンなので端の方がボケているし、圧縮で鮮明さを失ってはいるが、雰囲気は伝わるかと思う。
もっと中を読みたければ、
マンガ図書館Zにも登録されているので、読むだけなら無料だ。ちなみに無印の「BREAK-AGE」および「外伝」が漫画、「EX」が小説。

小説投稿サイトと作品傾向

anond.hatelabo.jp



ということがあって、もっともな疑問だと思うので、ざっくり調べてみた。

調査方法

matome.naver.jp
を参考に、小説投稿サイトからランキングを見て、1~5位に入っている「異世界転生もの」の作品数を見てスコア化する(1位:5点、2位:4点、以下点数下がる)。複数のランキング方式がある場合、もっとも長期のランキングに準拠。ランキングのないサイト、およびデイリーランキングしかないサイトは(調査内容と最新ランキングがすぐ食い違うので)除外。
なお、大元となったはてな匿名ダイアリーの記述に準拠し便宜的に「異世界転生」としているが、「召喚」や「ゲーム内に閉じ込められた」などの転生を伴わない異世界転移系も含めている。ただし舞台が異世界でない異能モノなどは対象外とする。
流石に104ものサイトをすべて調べ尽くすのは辛いので、20までで切り上げることにした。

小説家になろう! 15/15点

本丸。たしかにランキングが異世界系で埋め尽くされている感。二次創作が禁じられている(「なろう」内の作品で作者許諾のあるもののみ可)ため「オリジナル作品なのにどれも異世界ファンタジー転生」。

  • 1位 無職転生 - 異世界行ったら本気だす - (異世界転生モノ:5点)
  • 2位 謙虚、堅実をモットーに生きております! (異世界転生モノ:4点)
  • 3位 八男って、それはないでしょう! (異世界転生モノ:3点)
  • 4位 異世界迷宮で奴隷ハーレムを (異世界転生モノ:2点)
  • 5位 ありふれた職業で世界最強 (異世界転生モノ:1点)

ハーメルン - SS・小説投稿サイト- 10/15点

こちらは二次創作系のため、元となった作品が異世界モノかどうかに左右されるが、それでもランキング内容は異世界モノかそれに近い作品で占められている。

  • 片翼の天使(笑)で剣をふるうのは間違っている (異世界転生モノ:5点)
  • モモンガ様ひとり旅 (異世界転生モノ:4点)
  • はぐれ一誠の非日常 (異世界のある転生モノだが基本現代世界……?:判断保留)
  • 俺だけ能力を持ってない (異世界なのか現世なのか不明だが転生ではない)
  • 思ったより強かったオンライン (異世界転生モノ:1点)

ベストセラー - 小説 - エブリスタ 0/15点

こちらは対象読者層がまったく異なるのか、女性向け恋愛作品、かつ18禁が上位を占める。

  • Liar (恋愛モノ、18禁)
  • ミツのあじ second ver (恋愛モノ)
  • コーヒーに角砂糖 (恋愛モノ)
  • 染色体 (恋愛モノ、18禁)
  • Perfect Crime (恋愛モノ、18禁)

暁 〜小説投稿サイト〜: 日間ランキング 6/15点

二次創作系。上位2作品が異世界転生ではなく銀英伝だが、これは「サイト内トップ作品が全体に影響を与えやすい」と言えるかも知れない。「それが読みたい読者が集まる→集まった人に向けて書く」の傍証。

  • 転がる石の意志 (銀英伝二次創作)
  • 銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝) (銀英伝二次創作)
  • MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士 (異世界転生モノ:3点)
  • ダンジョンに転生者が来るのは間違っているだろうか (異世界転生モノ:2点)
  • 転生とらぶる (異世界転生モノ:1点)

日間ランキング 1位-30位 魔法のiらんどNOVEL - 魔法のiらんど 0/15点

「女の子のための小説総合サイト」とあるように若い女性向けに特化しているらしく、ランキングは完全に恋愛モノで占められている。

  • きっと、ずっと一緒。 (恋愛モノ)
  • Stray cat (恋愛モノ)
  • そして言う、『家族をやめよう』と。 (恋愛モノ)
  • 危険人物 (恋愛モノ)
  • 若頭と私 (恋愛モノ)

ランキング | 小説サイト ベリーズカフェ 0/15点

「女性に人気の小説を読むなら ベリーズカフェ」こちらも女性向け。

  • イジワルな男 (恋愛モノ)
  • Again (恋愛モノ)
  • 陽だまりの中で君と恋をする (恋愛モノ)
  • O♡L (恋愛モノ)
  • 絶望エモーション (恋愛モノ)

星の砂 0/15点

ケータイ小説&コミック」とあるように携帯特化型。月間ランキングとレビュー数ランキングのどちらにするか悩んだが、変動の少なそうなレビュー数ランキングを採用した。そもそもあまり活発でない感はあるが、その代わりランキングは多様性のある内容に。

  • ひまわりの笑顔 (恋愛モノ)
  • 犬を侮れば「犬」 (ジャンル不明)
  • あたしのカレは不良です!? (恋愛モノ)
  • High School Again (ジャンル不明)
  • 緑花火 (家族モノ)

すぴばる小説部 - 小説投稿SNSサイトはすぴばる 3/15点

ランキングが読み切りと連載に分かれ、デイリーとウィークリーしかないようなので、連載のウィークリーランキングを採用した。

  • 滅びの国の王子と魔獣 (非転生系ファンタジー)
  • 魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~ (異世界は絡むが転生ではない)
  • 神の子ハンター世界に行く (異世界転生モノ:3点)
  • 拝啓、苦しみます (恋愛モノ)
  • 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート (ファンタジー)

総合ランキング - FC2小説 2/15点

作品点数も多く、かつジャンルもバラけている。

  • 大嫌いな、好きな人 (恋愛モノ)
  • 彼・・・ (恋愛モノ)
  • リヤカーに乗った白い花。 (家族モノ)
  • 光の姫と魔法の一カ月 (異世界転生モノ:2点)
  • 『楽園』。 (ジャンル不明)

投票ノベル一覧 | ネット小説SNS - dNoVeLs 0/15点

タグクラウドを見ると、上位が恋愛(839) 短編(575) ファンタジー(561)となっている。年間ランキングトップのジャンルが「短文(詩・俳句・短歌) 」、詩と短編集がランキングを占めているというのも珍しい。

  • Deep Blue (詩)
  • 封筒 (家族モノ)
  • 心の かけら (詩)
  • 短編集 「シナモン・シュガー」 (ジャンル不明)
  • 競馬道一直線 (ジャンル不明)

オンライン小説ランキング(週間) - オンライン小説投稿SNS「ノベリスト.jp」 0/15点

長期ランキングは作者準拠のためウィークリーを採用した。BLが上位というのはそう不思議でもないが、それと並んで医者のエッセイがランクインしているので読者層がよくわからない。

  • 女性は寄せられる好意に鈍感である (現代BL)
  • 君ト描ク青空ナ未来 (現代BL)
  • 特別強攻機動隊 美少女拷問惨殺団 (猟奇)
  • 新 ドクター・ヤブ田の「医者だって笑いたい」 (エッセイ)
  • らくらく、医学講座 (エッセイ)

ケータイ小説サイト 野いちご 0/15点

若い女性向け携帯小説サイト。タイトルからBLかと思った作品がいずれも「男子校に女の子が」妄想系だった。

  • そんなに、可愛い顔すんな。~男子校は、ドキドキですっ!!~ (恋愛モノ)
  • 甘々100% (恋愛モノ)
  • ♡ケダモノだらけの男子校LIFE♡ (恋愛モノ)
  • 酷男子の溺愛 (恋愛モノ)
  • 保坂クンは私のことが大嫌いなんです。 (恋愛モノ)

ランキング - ぱろしょ 3/15点

個人運営。小規模ゆえか、ジャンルはわりあいバラけている。

  • 連載小説 - SF ハンドロイドGG ⑬ (SF)
  • 羨望の高市 ( 仮 ) - 第一話 「嫉妬」 (恋愛モノ)
  • 途越ゑシリーズ - 途越ゑノ御噺 其の壱 (異世界転生モノ:3点)
  • いい加減な奴ら (実話系)
  • 第二次世界対戦 戦後 - 原爆ドーム 平和の記念碑 (戦争モノ)

結論のようなもの

リスト20までのうち、ウィークリー以上の長期ランキングがあるものは12だった。そのうちランキングの比重が異世界転生モノに寄っているのは「小説家になろう」と「ハーメルン」の2つのみ。意外に世界は異世界転生モノ全盛というわけではないようだ。まあこれは当然といえば当然の話で、小説のすべてがラノベではないように、他ジャンルが隆盛なサイトでは別の尺度があるということだ。
サイト別にランキングを見ると、最人気作品と同じジャンルがその下に続く傾向が伺える。「サイトの傾向がランキングを決める」のか、「ランキングがサイトの傾向を決める」のかは定かでない──というか相互に作用しているのだろう。従って新規サーヴィス立ち上げ初期にどのような人気作が投稿されるかで、その後の傾向がある程度固まるのではなかろうか。
また、今回は単に誰かの作ったリストの頭から20を見るという乱暴な方法を取ったが、たとえばユーザ数や投稿数で見た場合、あるいは書籍化作品だけをリストアップした場合などではまた傾向が違ってくる可能性はある。

伊藤計劃の遺した屍者の帝国

劇場版アニメの評価が、賛否両論著しい。「原作たる円城塔版から改変された部分」もさることながら、「伊藤計劃自身の書いた冒頭を削ぎ落とした」として批判が少なくないようだ。
元より伊藤の遺した冒頭部分とプロットとも言えぬメモ程度から書き起こされたものとはいえ、「冒頭と違う」から(プロジェクト伊藤計劃としては)駄目だ、というのであればそれはむしろ屍者の帝国に対する伊藤の影響力を冒頭の文章それ自体にしか認めぬ謂いと受け取れる。
そんなにちっぽけなものであるものか。

以下に、伊藤計劃の手になる冒頭部分を手がかりに、円城塔の書籍版および劇場アニメ版が「どこまで伊藤計劃であるか」を検証する。
当然のことながらネタバレを含むので、そのつもりで。

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日出処の屍者

屍者労働社会に於ける目下の問題は、社会の高齢化である。
労働力として重宝されるのは若く壮健な肉体だが、自然死は当然ながら老齢のものが多く、それらは肉体機能が低下した状態で提供される。かといって、若い肉体であっても事故死では肉体の損壊著しくまともに利用できない。
皮肉にも、高齢化すなわち平均余命の上昇をもたらしたのもまた屍者であった。肉体を酷使する長時間単純労働が屍者に置き換わったことにより下級労働者の余命が伸び、また社会全体の経済発展による貧困の減少も生活を改善したのだ。
屍者そのものの利用だけでなく、関連技術の発展もまた社会を変えた。屍者のメンテナンス需要は解剖学・外科医療の発達に繋がり、また肉体の腐敗防止技術は食品の保存だけでなく防疫にも役立った。
つまるところ、死亡率の高さが生み出した潤沢な屍者供給が社会を発展させ、社会の発展が屍者需要を引き上げると共に死亡率を低下させたことになる。

短期間のうちに生じた急激なバランスの変化は様々な歪みを引き起こす。需要の高騰はときにモラルを踏み越えさせるに値するだけの利益をもたらし、「若く損傷のない死体」を得るための毒殺事件や誘拐など陰惨な事件が各国の新聞を賑わせた。警察機構は人手不足に悲鳴を上げたが、こればかりは屍者に任せるわけにも行かない。そこでスコットランド・ヤードは捜査の一部を民間に委託する措置を講じ、これを機に犯罪捜査を行なう私立探偵という業が成立したが、犯罪の解決はともかくとして根本的な原因である屍者向けの死体不足は如何ともし難く、各国は屍者技術の普及が遅れている植民地、たとえばかつて奴隷を買い付けていたアフリカなどから死体を輸入するようになる。奴隷制の横行していた当時そうであったように、現地では輸出可能な死体を調達するための「狩り」なども行なわれたという。

日本では更に事情が異なる。開国後の日本は欧米諸国の生産力に追い付くべく富国強兵を国是としたが、そのためには出生率と共に平均余命も伸ばす必要があり、一方では屍者を増産する必要もあるという矛盾を、初期のうちに抱え込んでしまった。
その上、国内の屍者技術水準は低い。供与されるのは形式の古い輸出型、お雇い外国人技術者も決して腕利きではなく、国内の技術者養成も覚束ない。そんな状況下で必要な屍者素体は、とにもかくにも頑健で長持ちのする死体ということになる。
そんな都合の良い死体が、偶々国内にあったのだ。

京都は大江山の麓。
平安の頃、この地に君臨した三本角の巨鬼、朱点童子。それを討ち果たした一族がいる。
言い伝えによれば、彼らは朱点童子にかけられた呪いにより、幼少のうちに成人へと成長し、僅か数年のうちに死を迎えるのだという。鬼をも討つ力は鬼神の血を引いているためだともいわれるが、事実その肉体は鬼をも討つに相応しい膂力を有し、また死の床にあってなお肉体は若々しく、少なくとも外見的には衰えた様子を見せない。
「我ら一族が身をば、生くる時も死して後も、御国の為に捧げ奉らむ」
もはや討ち果たすべき鬼を持たぬ鬼狩の一族は、そうして生前は帝の守護職を得、死後その遺体を国に納めたという。

余人の十分の一という短期間で供給される頑健な死体は不慣れな技術者の拙い保守にも耐えて経験の蓄積に貢献し、あらゆる点で日本の屍者技術の基礎を支えた。無論、十倍を越える生産量とはいえど供給源の人数規模からして国内のあらゆる需要を支うるような数ではないが、それでも退役させた諸外国供与の旧式屍者を解析に回す余裕を得るには充分なものであった。
また、「大江山の屍者」は卓越した肉体能力がとりわけ軍事用途に最適と見做され、「特屍」と呼んで重宝された。当初は宮城警備などに優先配備されたが、これは「死してなお帝をお護りする」と国民から好意を以て受け入れられ、屍者の印象改善にも大きな効果があったという。
国産屍者が充分に供給され始めると、特屍はその精強さを買われ特別部隊を編成、後に日清戦争で陸戦を制し、日露戦争に於いてもロシアの最新鋭を相手に互角以上の性能を見せた。
この屍兵隊の強さが後年に仇となり、陸軍は対屍戦術/兵器の開発を怠ったままあの泥沼の総力戦へと突入してゆくのだが、それはまた別の話。


…………………………
屍者の帝国×俺の屍を越えてゆけ」というネタで一本書いてみた。

劇場版を見る前におさらいする屍者の帝国

「原作未読で今から読める気がしないけど映画を見に行こうと思ってるので勘所だけ押さえた解説が欲しい」人のための、あるいは「原作未読で映画観たんだけどよくわからないところが色々あるので簡単な説明が欲しい」人のための、ちょっとした記事を書いてみた。
解説するのは映画に登場しながら説明されていないモチーフだけで、ストーリーについては基本的に触れないが、それでもネタバレは含まれざるを得ないのでその辺注意。
なお、ここでは主要なモチーフについて軽く解説を加えたのみに留まっているが、「原作読んだけどよくわからない」という人は用語集をどうぞ。

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