はじめて未来館

日曜ははてなハイクの未来館オフに参加するため、長女を伴ってお台場へ。
彼女は前日まで発熱が続いており参加を危ぶんでいたのだが、体力的にはいたって元気に家の中で遊び回っており、当日朝にはすっかり熱も引いたので予定通り連れてゆくことにした。


ゆりかもめ先頭車両最前席で走行の様子を眺めながら最寄り駅へ。途中、例によって「歩くの疲れた」とか文句言いつつも開館時間前には到着。取り敢えず中で券を買うのかと思ったら、外で並んでる列がその券売待ちの列だった。
券を手配頂き、無事にメガスター上映の初回分受け付けを済ませ、開演まで1時間の間5階で常設展示を見学。手始めにLE-7エンジンを全方位から撮影しておく。しばしロケットで盛り上がりつつ、長女が興味を示した「せんすいかん」へ。しんかい6500の実物大模型である。が当の彼女はまずその手前の深海性カニ水槽に引っかかっている。
そんなこんなで5階を一通り周りつつ6階メガスター入口へ。直径15.24mのドームは決して大きくはない。
メガスターを見たのは2回目。最初は丸の内ビルに特設された小型のものだった。解像感は凄いんだが、上映プログラムとしては所謂「プラネタリウム」な感じではなく、星はまったくの背景扱い。ちょっと勿体ない。話としても「ここが○○星です」なんてのはなく5歳児には些か退屈。しかもBGMが山口とも演奏による前衛音楽とあって、これはあまり受けが良くなかった。
見終えた後は5階で生物関係の展示を見る。5歳児は脳や内蔵の断片モデルによるパズルがお気に入りの様子。ここから全球スクリーンを見つつ周遊回廊を通って下階へ移動。全球スクリーンはフルカラーLED方式でパネル1枚あたりの解像度はかなり低いが、球全体で見れば充分なだけの情報量を以て迫ってくる。中階のトラックボール式コントローラで自在にぐりぐり表示方向を変えられるようだ。
下階はロボット/情報工学メイン。特にTCP/IPの物理モデルとインタラクティヴ・アートは子供に人気であった。
とりわけ、平面にデジタルペンで線を書くとアニメーションするモデルは単純なアルゴリズムながら見飽きない。直線を引くと始点方向に向かって矢印が飛ぶ。曲線を引くと始点位置に花が咲く(花は線色によって違う)。三角を書けば内部がフラクタルに三角で満たされ、五角を書くと頂点を結んで星ができる。六角は雪の結晶が成長。折れ曲がった線や交差部を持つ線は、その線形状に相似した形状が次々生える。どれにも当て嵌らなければその場で拡大縮小しつつ回転。

これ、iPhoneアプリで作ったら面白いのではないかと思った。直線書いて矢印を飛ばす。横線でも書いて矢印をブロック。ごくごく単純なのに妙に燃えるゲームになりそうな気がする。
この階で4D2Uの予約を済ませ、一度1階に降りてロッテリアで昼食。絶品チーズバーガーは写真との乖離著しく、絶品というより絶句。食べた感じとしては「1.5マクドナルドぐらい」まあぎりぎり180円ぐらいまでは許すが240円ではちょっと高い。
ASIMO実演を見学ののち、また少し待って4D2Uへ。id:Imamura氏はインターネット物理モデルに夢中になって開演時間を逃がす。
42DUは立体眼鏡によるインタラクティヴ・プラネタリウムである。演算済みモデルを利用し、惑星表面から観測可能な宇宙の最果てまでをシームレスに見せる。
地球-月のスケール、太陽-海王星のスケール。オールトの雲を越え、銀河系を飛び出して銀河団から全宇宙の泡構造まで飛ぶ超スケール。対数的スケール変化を見せるズームイン/ズームアウトは、これだけでヴィジュアルドラッグとして秀逸である。
単に星の相対位置関係を確認するだけではない。月の形成を「個々に引力を持つパーティクルの演算」でシミュレートした映像や星系同士の集合による銀河形成など「仕組み」への理解も織り込まれている。
しかし目玉はなんといっても「自分で操作できる」点ではなかろうか。4D2Uレンダリング済み映像を放映するだけのプログラムではなく、3Dデータをその場で係員が操作するリアルタイムかつインタラクティヴなシステムであり、希望すれば自身で操作も体験できる。任意の系内惑星/衛星を間近で観察したり、時間軸を操作して太陽系惑星の回転を上から眺めつつ視点を水平に落として見かけ上の逆行現象を確認したり、星座というものが奥行きを無視した天球状の平面位置だけで成立していることを認識したり。かなり天文学学習効果も高い。
娘も操作を希望し、太陽を視界一杯に拡大してご満悦であった。
ところでコントローラはどう見てもPS3なんだけど、これは単に操作端末として利用しているだけで裏側ではクラスターが動いているのか、それともプレレンダリング済みのデータそのものはPS3程度で動作可能なのか、その辺が知りたいところ。もしPS3でリリースされたら、そのためだけに本体ごと買っちゃいそうな勢いである。
あと立体視用のメガネはもうちっと子供用のスケールを考慮して頂きたかった。5歳児ではどうやっても耳にかけることができないのだが。せめてゴムバンド式にするとか、あるいは子供用を別途用意しておくとか。
見終えてから例のインタラクティヴアートを再び楽しみつつ、1階へ降りる。ここでImamura氏と合流、JAMSTECの人に地球深部探査船「ちきゅう」の解説を受けた後、未来館を離脱。
8時半の出発から5時半の退館までテンションを保った娘も、流石に草臥れて抱っこをせがむ。座らせる席もないので抱いたままゆりかもめに乗って新橋。
ここで呑み組と別れ帰路に着く。


抱いた腕の筋肉痛と脚の疲労が著しいが後悔はない。