星のきざはし

軌道エレヴェータを2018年までに建造すると豪語した会社は倒産したようだが、現在のところ技術レヴェルでその構築は絶望的に遠い。
地球の重力下では静止軌道までの距離が36,000km、その距離のテザーに要求される破断長が凡そ5,000km。カーボンナノチューブの単結晶ですら破断長は1,000km程度らしく、これを越える物質の発見もしくはこれを補う工法の開発までは実用に至りそうもない。


まあ、それは地球上での話であって、もっと重力の低い天体ならば話は簡単になってくる。しかし月の場合は事実上、安定して設置可能なポイントがラグランジュ点に限られてしまうため長さの上では地球上での建造よりも分が悪い。火星ならばかなり理想に近いが、それでもCNTの強度で不足する程度の長さになりそうだ。


逆はどうか。もっと高重力下での建造を考える。すると静止軌道高度ももっと高く、塔もより太いものにならざるを得まい。無論、物質的にも技術的にもオーヴァテクノロジが必要な段階であり地球文明に可能な所業ではないから、異星文明の産物ということになろう。
例えば、今より20年程度先の近未来。光学的観測技術は一層の発展を遂げ、近傍星系の惑星を捉えることが可能になってくる*1。そんな中に、惑星から伸びる線が写る。最初は画像処理の不具合かと思われたが、他の装置でも観測され人工物の可能性が高まった。あれは多分軌道エレヴェータだろうと思われる、その距離たった数十光年。それ探査機を送れ、恒星間有人飛行計画だ!
本当にそんなことがあったら、宇宙開発はかなり活性化しそうだ。……無論、「宇宙人が攻めてくるんじゃないか」てな杞憂から軍事も強化されそうだが。

*1:現状でも可能ではあるが、まだまだ解像度が低い