オタマジャクシが空から降る現象について

http://n-kishou.com/corp/news/news090623.html
ラジオゾンデによる気象観測を行なっている日本気象(株)が「風船などで人為的に降らせた」可能性を検証、までは良いのだが。
落下地点への気流を逆算して「風船で飛ばしたと仮定した場合の」3日前までのルートを推定、結果風船はアジア大陸から放された可能性があることがわかりました


あ?
馬鹿じゃないのか。
プロットを見ても風船の軌道はてんでバラバラだ。18例中2例は日本近海からの吹き戻り、2例は樺太方向から、1例は南西から。残り13例中9例はまあ大連あたりを通っているように見えなくもないが、残り4例は大雑把に黄海付近を通過してはいるものの、その距離には優に500kmほどの開きがある。
これがユーラシア大陸からの風船による「爆撃」だとすれば、「犯人」は気流を読んで中国中を駆け回ったとでもいうのだろうか。


まあその馬鹿なことを過去の日本は実際にやったわけだが、あれは遥かに大きな的を狙ってのことであったため南北のみならず東西方向のズレもさして問題とはならず、それでも成功率は著しく低くまともな成果を上げていない。この事例では逆に小さな的を狙って広範な地点から発射したことになり、ちょっと行き過ぎでもすれば太平洋の藻屑。その効率の悪さたるや驚嘆に値する。


何らかの方法で上空に差し掛かった時に巧く切り離すような機構を用いれば東西方向の距離問題だけは解決するが、それならそれで風船などという風まかせの手段を用いずとも方法があろうものだ。


実際のところこの「検証」で判ることは単に「日本には偏西風が吹き付ける」という事実のみである。これを「ファフロツキーズは大陸から送り込まれたものかも知れない」と結論付けるのも「中国ならやりかねん」とかなんとか思っちゃうのも、どっちもどうかしてる。