例えと喩え

この中で「電車内のマナー」話をしているのを見て「比喩禁止話の中でたとえ話とは」と思ったのだが、考えてみればそれは適切な見方ではない。
「たとえ」には2種類あるのだ。「例え」と「喩え」である。


例えはサンプルの例示である。主題に沿って具体的な事例を紹介するもので、(適切なサンプルでないという可能性はあるにせよ)基本的に事象として一致しているため論旨を歪めることがない。
対して、喩えは主旨を感覚的に理解させるための置き換えである。本来の事象と置き換えられた事象は、ある一面で一致しているかも知れないがそれ以外の面では共通性がない。にも関らず、比喩の方に対して「いや、その場合はこうなる」などと突っ込みが入ってしまうことで論旨が歪められてしまう。


mixi某所で例示と比喩を区別できない人と議論したことがある*1。変な比喩にこだわって話が逸れるので何度もそのことを指摘するのだが、どうしても最初の比喩から離れることができず、比喩に比喩を重ねて迷走していた。
まるで日本語で話しているのに「その語順は英語の文法上おかしい」と言われているようなもの*2で、そこから英語の文法の話に発展させても意味がない。


多分これは「たとえば」という、例示か比喩か解らない書き方をするから問題になるのだ。「例えば」と書いていても単に変換の問題であって例示でない可能性はかなり高い。もっと明確に「例示すると」「比喩としては」とはっきり書いてしまうのが適切でないかと思う-----まあそれ以前に、議論の場では比喩を使わぬに越したことはないのだが。

*1:例示

*2:比喩