電車内で行き先を表示する電光掲示板などの文字が流れるのを見て、やや傾いているように感じたことはないか。
静止状態では各LED列は確かに垂直であり、微妙な傾きを生じようはずもないのに、移動している文字は確かに数度傾いて見える。
以前から疑問に感じていたのだが、この度某所にて質問が出ていたのでちょっと調べてみた。
事前の予想では、段ごとに描画タイミングが異なるために生じる錯覚のようなものだろうと考えた。これは当たらずと雖も遠からずであったようだ。
素直にLEDの点灯制御システムを作ると、LED1個につき1つの制御回路を配線することになる(これをスタティック方式という)。どのLEDも自由に点灯/消灯を制御できるのでプログラミングは容易だが、これでは配線量も部品量も膨大になり生産コスト面では好ましくない。そこで、制御回路そのものは単一とし、制御回路に接続するLEDをスイッチングする回路を新たに設けた方式が考案された(こちらはダイナミック方式と呼ばれる)。
ダイナミック方式では、(ひとつの制御回路に接続されている範囲では)常に1つのLEDしか点灯しないし、一瞬しか点灯しない。しかし、視認できないほど高速で点滅させることで常時点灯であるかのように感じさせることができる。
静止状態ではこれで違和感ないのだが、点灯点が移動する場合はどうしても各点の点灯タイミングのずれが位置のずれであるかのように認識されてしまい、表示位置の移動方向に対して垂直な線が傾いて見えるようだ。
つまりディスプレイのプログレッシヴスキャンのような列単位再描画と考えたところ点単位再描画であったわけだが、まあ原理的には合っていたので良しとする。