陰謀論も大概に

「アポロは月に行かなかった」だの「石油に代わるエネルギー源が登場しないのは石油会社の陰謀」だのといった御託は飽きるほど聞いたが、まさか温暖化までを陰謀と見る向きがあろうとは思わなかった。
平均気温が近年急激に上昇しているのは事実で、それが人類の活動によるものかどうかは断言できない*1にせよ温暖化は発生しているし、それを放置すれば陸地の幾許かが水没し居住面積が減少する(特に平野に発生した都市部に於いて影響が大きい)のは確実であるので、その有効な抑制手段として炭酸ガス削減が打ち出されている。
温暖化と炭酸ガス排出の関係性が科学的に証明されていようがなかろうが、将来それが明瞭になった時点では既に遅いので今から少しでも手を打っておこうという話である。それ自体に何の問題があろうか。
彼らに言わせれば、科学的に立証されていない「地球温暖化に対する炭酸ガスの影響」を盾に原子力化を推進しようとする電力業界の陰謀なのだそうだが、だとすればそれはあまり成功していないように見える。

*1:地球の気温は周期的に上下しているから「人類の活動で急激に温暖化した」のか「偶々気温の上昇期に当たったため急激に上昇している」のかは不明だし、また海水の炭酸ガス溶解度は水温上昇に反比例して低下するから「炭酸ガス増加→温暖化」なのか「温暖化→炭酸ガス増加」なのか区別できない