正史・アポロ陰謀論

米軍の有人月面着陸捏造事件について、日本では意外なほど知られていない。これは情報統制によるものだが、実はこの事件は日本の戦後復興を語る上で欠かすことのできない大転換期なのである。
この日本全土を揺るがした巨大な陰謀を国民に知らしめるべく、知られざる事件の概要と、その語の事象を時系列に沿って解説する。


1969年7月、アポロ11号の月面着陸が世界に報じられた。これは(月=地球間の距離に起因するとされる)若干の遅延はあったものの、ほぼリアルタイムで中継され、世界中がこれに熱狂したと言われる。
しかし実は、この映像は地上で撮影されたものであり、一連の有人宇宙飛行計画はその端緒からすべて嘘で塗り固められた壮大な陰謀であったのだ!*1


「どこがどのように」捏造されていたか、という解説については複数の信頼すべき情報筋が明らかにしているので、ここでは触れない。ただ、映像はすべて捏造されたもの、月の石とやらも砂漠で拾ってきただけのものであると述べるに留める。

米国の動向

米国以上の宇宙開発大国であったソ連は打ち上げられたアポロ宇宙船の軌道を監視して一早くそのことを察知していた。宇宙開発競争は技術力の宣伝競争であり、直接敵国を射程に納めるミサイル技術競争でもあり、つまるところ「制宙権」の争いでもあるのだから、敵国の動向を監視するのは当然だろう。またソ連にはその力もあった。
当然、これはソ連にとってもライヴァル米国を貶める絶好の機会である。この事実は観測データなども付けて大々的に公開され、世界中を騒然とさせた。一度は「人類初の偉業」「ソ連も為し得なかったことをやってのけた米国の底力」と絶賛の嵐だった米国の威信は一瞬で地に落ちた。
米国内と日本では一早く報道管制が敷かれ、僅かに漏れ聴こえる情報もすべて「ソ連の陰謀」という形で処理されたため、表面的にはさしたる混乱も生じなかったが、欧州では非難が殺到、次第に米国との仲が冷え込む結果となった。


これに対し米国はアポロ計画を「目的を達した」として11号を最後に即時終了させると共に「偉業に泥を塗り米国の威信を穢そうという許し難い共産主義の陰謀」などと国内世論を焚き付ける。これはインテリを中心とした「反戦運動」に反感を憶えながらも声を上げることのなかったサイレント・マジョリティの白人保守労働者層に強くアピールし、ヴェトナム戦争への介入以降厭戦感が広まっていた国内を再び対共産主義路線で統一、「正義」の名の下に大規模な出兵を行なうに至った。
しかし国外的にはむしろこの行動も「アポロに続く陰謀」としか認識されず(それは実際に正しいのだが)、欧州では国規模の不買運動にまで発展、結果として米国はほぼ経済封鎖と言って良い状態に陥る。事実上米軍を主体とした南ヴェトナム軍の猛攻により親米の独裁政権が樹立した時点で米軍は撤退するが、このために割いた少なからぬ国力と経済封鎖状況は米国の力を大きく減じ、これ以降あらゆる場面で中ソの台頭を許すことになる。

ソ連の動向

アポロの不正を見破ったソ連はこの事実をデータ付きで内外に示し急進する米国の威光を削ぐと共にソユーズ計画を更に前進、真の有人月面着陸を目論む。とは言えヴァン=アレン帯の強力な放射線*2をどう乗り越えるかは重大な課題であったが、これについては水及び鉛の遮蔽板と勇敢なるソ連軍精鋭の献身的努力によって乗り越えられると判断、アポロの発表に遅れる*3こと1年3ヶ月、70年10月にはソユーズL1による「人類初の」月周回飛行が行なわれ、74年6月にはソユーズL3が月面に着陸、真の「中継映像」を全世界に発信した。
またこの間に初の宇宙ステーションであるサリュート計画が進行。長期宇宙空間滞在技術に自信を強めたソ連は78年に月面基地建設に着手。唯一の「別天体に領土を持つ国家」となった。
月面基地、宇宙ステーションを併せて制宙権を恣にしたソ連は宇宙防衛システムの構築にも着手、「大陸間弾道弾の脅威は終焉を迎えた」と発表。これは、唯一完全なそれを手中に納めているソ連による事実上の勝利宣言であった。
これは世界中を動揺させるに充分なインパクトであり、欧米に大きな動きはなかったが、日本(の北半分)やアフリカ・中近東を中心に親ソ化する国が相次いだ。

日本の動向

米国を主な取引先とする貿易体制に依存していた日本は米国の報道管制に素早く追従するが、これにより米国と共に孤立、景気は大きく落ち込む。
しかし既に放送技術の発達していた時代、完全な報道規制など望むべくもない。海を越えた電波により一早く事の次第を知ったインテリ層を中心にこの事件は広く知れ渡った。折しも70年安保の延長を控えた時期である。60年代の調印阻止に失敗し具体性のある目標を見失って分裂していた左翼団体はこの大きな敵を前に再び共闘、反対闘争は激化した。
経済の悪化は米国と親米政権のせいだ(この認識それ自体は正しい)として反米闘争には相当数のシンパが集まり、事態はもはや「学生の闘争」程度の話では済まなくなってくる。70年4月には米軍駐屯地前での大規模デモに於ける機動隊との衝突から基地への乱入に発展、駐留部隊がデモ隊に発砲し2人死亡(朝霞事件)するなど米軍との摩擦は激化。翌月のロケット弾による基地施設攻撃により米軍は自衛を口実とした基地外での示威行動を開始、これに反発した一部自衛官が呼応してのクーデターにより「闘争」は「内戦」へと発展するに至った。
この闘争がソ連からの流入武器によって後押しされていたのは明らかで、戦闘車両や航空機こそないものの軽重火器は充実、自国領土内であり無闇に周辺被害を発生させられない自衛隊に対し犠牲も顧みないゲリラは善戦、東北方面ほぼ全土を押さえ「独立」を宣言する。この事態に政府は駐留米軍の介入を要請するが、それと同時にソ連もまた「内戦への不当な干渉の是正」を理由に北海道方面へ電撃侵攻。北部方面部隊は武装解除され、東北以北の地域が「日本民主共和国」として独立することになった。


以上、駆け足で歴史を再確認したが、このようにアポロ陰謀計画が世界に与えた影響がいかに重大だったかがご理解頂けただろうか。仮にアポロが本当に月へ降り立っていたとするならば、ソ連は5年近くも遅れてそれを断行しただろうか? もしかすると今頃、アメリカの国力はあれほど疲弊せず、ソ連に比肩し得る超大国として君臨していたかも知れない。今日の我々はソ連製のOS гласностьが入った個人情報化機を使いインターナショナル・ファイバーネットで高速に情報通信を行なっているが、そんな開かれた世界は永久に訪れなかったかも知れないのだ*4

*1:無論そういう陰謀論を念頭に置いて、「仮にそれが事実であったとすれば以降の世界はどのように変わっていたか」を考える歴史IFな思考実験にして反証としての「だからアポロは陰謀じゃなかったんだよ論」であるので念の為

*2:陰謀論者はたびたびこれを有人飛行不可能の理由に位置付ける。実際にどうかはちょっと考えれば解ることだが

*3:無論「実際には行ってない」んだから遅れてなんかいないんですけどね!

*4:国際動向を正確に予測することなど不可能であり、ましてや政治/経済/軍事いずれの専門でもない素人の妄想に過ぎないので牽強付会に過ぎる部分考察不足の部分などあろうかと思うがご容赦、というかむしろ各人容赦なく書き直して頂きたい